【後】小泉孝太郎!結婚しない訳&弟・進次郎との関係
2024.09.252024年09月24日
映画「愛に乱暴」で無気力&訳アリな夫を演じて
【前】小泉孝太郎!女性に嫌われる?理想の結婚像なし
映画「愛に乱暴」に出演している小泉孝太郎さん。これまでの小泉孝太郎さんのイメージを一蹴する、訳アリな雰囲気のお芝居を見せています。この映画の制作裏側と謎めいた夫を演じた心境についてインタビューしました。
サスペンスで「不倫疑惑もある無気力夫」を演じて
映画「愛に乱暴」の主人公は専業主婦の桃子(江口のりこ)。彼女は、自分に無関心な夫・真守(小泉孝太郎)と、なかなか距離が縮まらない姑(風吹ジュン)にモヤモヤしながらも、日々丁寧に暮らすことで心の平静を維持しようとしています。しかし、夫の不倫がわかるにつれて心がざわめいていく……というヒューマンサスペンス物語。
妻に無関心で歩み寄ろうとしない上に、不倫疑惑もある夫・真守役で俳優として新境地を開拓した小泉孝太郎さん。挑戦した理由からお話を伺いました。
「女性から嫌われる役」にあえて挑戦!
―映画「愛に乱暴」で小泉さんが演じた初瀬真守は、何を考えているのかわからない何事にも無関心な男性ですが、この役の依頼を引き受けたきっかけを教えてください。
小泉孝太郎さん(以下、小泉孝太郎)
まず妻役を江口のりこさんが演じると聞いて、江口さんと夫婦役は面白そうだと思いました。江口さんとは2013年に「名もなき毒」(TBS)というドラマで共演経験があり、江口さんは僕を精神的に追い詰める女性を演じていたのですが、この映画では逆に僕が夫役として江口さん演じる妻を苦しめてしまう。
江口さんと僕はこういう「極端な関係性の男女を演じる縁」があるのかなと思いました。前回とは違う、心苦しさを感じる役になると直感的し、面白そうだと思いやることにしたんです!
―真守という男性は、女性からは身勝手に見えますが、真守について小泉さんはどう解釈して演じましたか?
小泉孝太郎
森ガキ侑大監督とかなり話し合って真守役を作り上げていきました。というのは、この映画は男女で見た感想は違うでしょうし、独身と既婚者でも違うと思うから、監督と相談しながら役を丁寧に作り上げていこうと思ったんです。
一つはっきり言えるのは、「真守は女性からは嫌われるだろう」ということ(笑)。
とにかくはっきりしない男で、何を言っても手応えがない。妻と向き合わず、彼女の思いをかわし続けて、最後に最低なセリフを彼女にぶつける……。監督と話し合って理解した上で演じていたけれど、妻を演じている江口さんに対して申し訳ない気持ちにもなりましたね。でも俳優としては、「女性から嫌われる真守を」と思いながら演じていました。
―でも男性は共感する人がいるかもしれないですね。
小泉孝太郎
結婚している男性で、妻にはっきり物を言えない方もいると思うんです。自分が我慢すればいいと思ったり……。そういう方は「真守、わかるよ」と思ってくれるかもしれません。
僕が真守だったら……きっぱり離婚します
―小泉さんは真守の言動に対して、共感しますか?それとも反発しますか?
小泉孝太郎
秘密を抱えながらも夫婦生活を続けられる真守は「忍耐強い男」とも言えると思いますが、僕は彼の気持ちがわからないです。同じ状況になったら、妻に「こんな気持ちのまま夫婦生活は続けていけないから別れよう」と、はっきりと言いますね。裏切り続けて生活するなんて、妻に失礼だと思うので。真守のように逃げながら生きてはいけないです。
―小泉さんと正反対の真守を受け入れて演じるのは大変でしたね。
小泉孝太郎
そうですね。真守は「言いたいけど言えない……」と、ずっと抱えていたわけですから。そんな彼を演じるのは正直、苦しかったです。江口さんとの共演はとても楽しい時間でしたが、役のことを考えると息苦しい感じはありました。
―「愛に乱暴」の小泉さんは完全に自分を消して演じていました。最初、どこに出ているのかわからなかったくらいです。
小泉孝太郎
撮影を見にきたロケ地のご近所の方たちも、僕が小泉孝太郎だと気付きませんでしたから、大成功ですよ!気持ちよかったです(笑)。
おそらく監督がイメージした真守に限りなく近づけたんじゃないかと思っています。この映画で僕は前髪を下ろしているのですが、それでも黒目の動き、セリフの強弱など細かいところまでしっかり見ている監督なので、小さな動きも打ち合わせしながら進めました。だから自信を持って真守を演じ切れたんです。
結婚相手には「小泉孝太郎を諦めて!」と言いたい
―この映画で真守を演じて、小泉さんの結婚観は変わりましたか?また、理想の結婚像はありますか?
小泉孝太郎
結婚観は変わらないですし、理想を作らないようにしています。誰かと結婚したら、そこで人生は変わっていくと思うので。ただ結婚相手には「小泉孝太郎を諦めてもらわないといけない」と思っています(笑)
―どういう意味でしょうか?
小泉孝太郎
相手からあれこれ求められても、俳優業が優先となってしまい応えられないからです。だから僕は、理想を持っている女性は少し怖いと思ってしまう。僕が理想を持たない分、相手の女性も理想に固執せず、そのままナチュラルでいてほしいですね。
―結婚生活には家事が付きものですが、もともと小泉さんは料理も何もかもこだわりがあり、自分でなんでもできてしまうと聞いたことがあります。
小泉孝太郎
若い頃は、それこそこだわり抜いて、調味料を揃えて料理していました。洗濯も面倒だけれど、いかに楽しくできるかを考えて「この香りはいいな」と柔軟剤にこだわったり、部屋にアロマディフューザーを置いてみたり。そうやって、一つ一つのことに向き合って生活してきて、次第に省くことも覚えました。
今はもう料理にこだわったりしませんけど、やってみたからこそ必要なこと、そうでないことが見えるようになりましたね。
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小泉孝太郎(こいずみ・こうたろう)
1978年7月10日生まれ。神奈川県出身。2002年ドラマ「初体験」(フジテレビ)で俳優デビュー。映画デビュー作は「踊る大捜査線 レインボーブリッジを封鎖せよ」(03年)。以降、数々の映画、ドラマに出演。またバラエティー番組「ニンゲン観察モニタリング」(TBS)などのMCやラジオのDJもこなすなど、活躍の場は幅広い。
「愛に乱暴」
2024年8月30日より全国ロードショー
原作:吉田修一『愛に乱暴』(新潮文庫刊)
監督:森ガキ侑大
出演:江口のりこ、小泉孝太郎、馬場ふみか、風吹ジュン
取材・文=斎藤香 写真=泉三郎 編集=鳥居史(ハルメク365)