50代からの女性のための人生相談・119
人生相談:介護中の母と温泉旅行がしたいけど心配…
人生相談:介護中の母と温泉旅行がしたいけど心配…
更新日:2025年04月27日
公開日:2023年02月23日
回答者プロフィール:太田差惠子さん

おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など多数。最新刊は『子どもに迷惑をかけない・かけられない!60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)。
51歳女性「介護している79歳母と旅行がしたい」
夫婦ともに51歳、79歳で要支援2の母を介護しています。
母は、いつもはデイケア施設でお風呂や食事を済ませてくるのですが、温泉が好きだった母を旅行に連れて行きたいと考えています。
ヘルパーさんを一緒に連れていけないので、私と夫ですべてをサポートしなければならないのですが、どこまでできるか不安です。
宿選びのポイントや注意点などがあれば、教えてほしいです。
(51歳女性・KTさん)
太田さんの回答:「旅行」を目標に元気になる人もいます!

介護が必要なお母様を温泉に連れて行きたいとお考えのKTさん。お母様はもともと温泉好きとのことなので、きっと素敵な時間となることでしょう。
介護が必要になると、行動範囲が狭くなり、ご本人も介護者も「旅行なんて、もう無理だ」と諦めがちです。けれども、多くの方にとって、“旅行”とはワクワクの原動力。思い切って予定を立てると、前向きな気持ちになるケースが少なくありません。
一例ですがこんな方がいました。Aさんとしましょう。Aさんの父親(80代)は、がんの手術後、精神的にも肉体的にもすっかり弱ってしまったそうです。父親に対し、少しでも前向きになってほしいと願ったAさんは、「2か月後に、温泉に行こう」と父親に提案。
父親の枕元のカレンダーには、その予定をサインペンで書き込みました。車で1時間ほどの宿で、父親は何度か訪れたことがある、お気に入りの宿です。
Aさんの父親はうれしかったのでしょう。それから、リハビリをがんばり、笑顔が増え、実際、2か月後に家族揃って出掛けることができました。
後日「父の方から、『次はどこへ行こう』と言うので、新たな計画を立て、また父のカレンダーに書き込みました」とAさんはうれしそうに話していました。
もちろん体調にもよりますが、“ニンジンをぶら下げる”と意欲を引き出せるのは、年代問わず同じなのかもしれません。
初旅行はハードルを低く設定して!

KTさんのお母様は要支援2ということなので、サポートすれば、ご自身で歩けるだろうと推測します。それでも、初めての旅行は無理をせず、ゆったりプランを立てましょう。
観光はせずに宿に直行か、観光するにしても、1か所に限定するなど、欲張らないことが大切です。階段が多いところは避け、事前にトイレの場所は確認しておくと、さらに安心です。
宿を選ぶときは、Aさんのところのように“本人の行ったことがある旅館”を選ぶなど、ハードルを低く設定しましょう。
新たな宿にトライするなら、例えば「バリアフリー旅行×〇〇(温泉地)」というように検索をして探しましょう。いろいろな紹介サイトが出てくるので、参考になります。
ただ、「バリアフリー対応宿」との記載があっても、一部のみの対応であったり、実際には大浴場に行くまでに階段があったり、手すりや補助いすがなかったりすることもあります。詳細は直接宿に確認する方がいいと思います。
少々値段は高くなりますが、露天風呂付きの客室(バリアフリー対応)を探すのも一案です。それでも心配なら、事前に下見に行くと安心でしょう。
宿までの往復は、自家用車だとベストですが、公共交通機関を利用する場合は、事前に、駅のエレベーターの場所などを確認しておきたいものです。
多目的トイレの場所も要チェックです。座席指定をできる乗り物を利用するか、それほど遠くなければ、タクシーを利用するのも手です。駅への送迎がない宿なら、駅にタクシーが待っているか事前に宿に聞いておきましょう。都会のように、アプリでタクシーを呼ぶことができない地域もあります。
また、病状によっては、念のため、旅館の近くの救急病院の場所をチェックしておくといいでしょう。
観光介護タクシーや車いす対応のツアーなども活用

今後、要介護度が重度になっても、本人が希望し、医師やケアマネジャーに相談してGOサインが出れば、無理のない範囲で旅行を実行してもいいでしょう。
高齢の方でも、障害のある方でも、誰もが楽しめるバリアフリー旅行という考え方が広まっています。観光介護タクシーのドライバーなら、ヘルパーの資格を取得しており、サポートしてくれます。
また、車いす利用の方のツアーを企画したり、旅全般をマネジメントしたりする旅行会社もあります。いろいろなサービスを利用しながら、ぜひお母様と楽しい時間を過ごしてください。
※この記事は2023年2月の記事を再編集して掲載しています。
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