50代からの女性のための人生相談・110
人生相談:貯蓄は使い切る!老後の生活費いくら必要?
人生相談:貯蓄は使い切る!老後の生活費いくら必要?
更新日:2024年08月30日
公開日:2022年12月25日
56歳女性「自分たちが使えるお金の目安を知りたい!」
今は夫(59歳)との二人暮らしです。世帯年収700万円、マンション(持ち家)住まいで住宅ローンはなし、貯蓄は2000万円ほどあります。
老後のためにお金を残しておかないといけないという思いがあって、今までは贅沢をしない生活をしてきました。でも「お金は元気なうちに、楽しく使う方がいい!」と思うようになってきています。
そのため、子どもたちに財産を残すことは考えず、私達夫婦が生きている間にすべて使い切ってもいいと思っています。
「老後のために必要な分だけ残して、あとのお金は自由に楽しく使う!」という生活を送るために、どの程度を目安に貯蓄を残しておくべきかを知りたいです。
(56歳女性・けいこまりさん)
畠中さんの回答:年間収支の赤字額を正確に把握することが大切

まずは、個人的な意見から述べさせてもらいますね。「自分たちで築いた財産を、自分たちのために使い切る」という考え方には賛同できます。自分たちが楽しむために、ぜひ、有意義にお金を使ってほしいと思います。
ただし高齢期とひと口に言っても、比較的に自由に動ける65~74歳までの前期高齢期と、介護や病気の心配が高まる75歳以降の後期高齢期とで、お金のかかり方が変わることは認識しておいた方がいいと思います。
海外旅行のように、お金も体力も必要になるイベントは、できるだけ前期高齢期にプランを立てることをおすすめします。
さて、自分たちのお金を自由に使うことには賛同しながらも、亡くなるまでの間に貯蓄が底をついては大変です。そこで、「どのくらいなら老後資金を自分たちのために使ってもよいか」を考える必要があります。
老後資金の使い方を考える際は、年間収支の赤字額をつかまなければ先に進めません。
年間の赤字を考える場合「特別支出」がポイント

年間収支の赤字額を計算する際に、ポイントになるのは特別支出です。
日々の生活費は年金内で何とかやりくりできても、固定資産税や自動車税、冠婚葬祭費、お子さんやお孫さんへの誕生祝や七五三などのお祝い、入院費といった特別支出が、年間で40~70万円くらいかかるのが一般的だからです。
実際のところ、65歳からの30年間では1000万~2000万円くらい、特別支出によって、貯蓄は減ることが予想されます。
けいこまりさんのご家庭は、ご主人がこれから退職金を受け取られて貯蓄が2000万円よりもかなり増えるのではないかと思われますが、特別支出分を含めた、年金生活での年間の赤字額を見積もってみてください。
赤字額は、65~95歳くらいまでの30年分くらいを取り置く必要があります。
介護費用は「どこで介護を受けたいか」で決まる

特別支出の他に、介護費用についても検討しておく必要があります。介護が必要になると、生活費が増えていきます。その結果、年間の赤字額が増えるのが一般的だからです。
介護を受ける場所として、高齢者施設への入居を考える場合、入居一時金の支払いで、貯蓄がグンと減ってしまう可能性もあります。
要介護状態になったとき、最期まで在宅で介護を受け続けるのか、ある程度、介護度が重くなったら高齢者施設へ住み替えるのかなど、要介護状態になった場合の住まいを想像してみる必要もあります。
例えば特養に入所するから、そんなにお金はかからないと思っている方は少なくないようです。ですが、現在の特養には以前と違う、資産基準という要件が導入されています。
単身者の場合、500~650万円(所得によって、適用額は異なる)を超える資産を持っていると「補足給付」という名の軽減措置が受けられないため、特養の入所費用は月額で10万円を超えてきます。私的費用も含めて考えると、1割負担の方でも月々15~18万円くらいは必要になるのが一般的です。
遺族年金では赤字になってしまうため、「特養は安い」と思い込まず、介護にかかる費用についても、勉強する必要があります。勉強した上で、介護費用についても、500万円前後は上乗せして考えた方が安全だと思います。
ここまで説明してきたように、年間の赤字額の30年分と介護にかかるお金を見積もってみて、それを差し引いた分は、余裕資金に当たるお金になります。
余裕資金額がつかめてから、そのお金については、自由に使うことをおすすめします。
回答者プロフィール:畠中雅子さん

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『お金のプロに相談してみた!息子、娘が中高年ひきこもりでもどうにかなるって本当ですか?』(時事通信社)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
※この記事は2022年12月の記事を再編集して掲載しています。
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