現地在住の日本人フォトグラファーがガイドします!

本場のスリランカカレーは健康食⁉おすすめ店も紹介

公開日:2019.03.22

2019年訪れるべき国第1位のスリランカ。現地在住の日本人フォトグラァーの石野明子さんが魅力をお伝えします。今回は、本場のおいしいスリランカカレーを食べたい人必読! 食べ方やおいしさの秘密、コロンボ周辺のおすすめ店をご紹介します。

スリランカカレーって、どんなカレー?

旅行の醍醐味といえば食事は外せません。今回は、スリランカのカレー事情をご紹介しますね。

スリランカはインドのちょっと下に位置しているだけに、カレーのイメージが強いのではないでしょうか。確かにカレーはカレーなのですが、日本にもレストランが多いインドカレーとはかなり異なったカレーです。

ランチどきになるとライス&カレーを売る屋台があらわれる
ランチどきになるとライス&カレーを売る屋台が現れる

最近はスリランカカレーレストランも日本に増えているようですが、やはり本場はお料理のバリエーションも豊富で値段も安いのが魅力的!「これぞスリランカカレー」と言われるのは、「ライス&カレー(発音はライセンカリー)」と呼ばれるランチどきに食べられるものです。

スリランカカレー
緑はゴトゥコラ サンボル、黄色はレンズ豆、赤はビーツ……スリランカカレーはカラフルだ!

パラパラのごはんをお皿の中心によそい、そのまわりに箸休め的な野菜の和え物と野菜カレーを3種類ほど盛りつけ、ごはんの真ん中にメインのチキンカレーやポークカレー、フィッシュカレーをのせて完成です。

どのお店もメインのカレーはいくつか用意しているので、何を選ぶかはその日の気分次第。このライス&カレーが日本でいうところの定食になります。「毎食カレー?」と思ってしまいますが、組み合わせ次第でバリエーションは無限大です。おかず(カレー)を4、5種類作らなければならないと考えると結構な手間ひまかかった食事だと言えると思います!

スリランカカレー
ミルクベースのカレー、胡椒ベースのカレーとバラエティ豊かなスリランカカレーの世界

私が初めてスリランカで本場の味を食べたとき、こんなにも味のバリエーションがあるのかと驚きました。そして一皿の中にさまざまな食感が存在していることにも! トロッとした食感のマンゴカレーやサクサクのゴーヤのサラダ、たけのこのような食感のバナナのつぼみカレーなど決して日本では食べられないカレーばかり。チリを生かした真っ赤なカレーには鼻水が止まらず辟易しましたが……。

手前はクリーミーなスリランカ名産カシューナッツのカレー(「カレーリーフ」)
手前はクリーミーなスリランカ名産カシューナッツのカレー(撮影場所=カレーリーフ)
ココナッツはスリランカ料理に欠かせない
ココナッツはスリランカ料理に欠かせない
「これさえあれば何杯でもごはんがイケる」というスリランカ版ふりかけのポルサンボル(削ったココナッツの和え物)
「これさえあれば何杯でもごはんがイケる」というスリランカ版ふりかけのポルサンボル(削ったココナッツの和え物)

アーユルヴェーダの理論に基づいた健康食

スーパーマーケットでスパイスの棚はとても広い
スーパーマーケットでスパイスの棚はとても広い

スリランカといえば「アーユルヴェーダ」。マッサージやリラクゼーションをイメージされがちですが、5000年以上の歴史を持つ伝統医学です。実はスリランカカレーも、「医食同源」のアーユルヴェーダの考えに基づいて作られています。例えば、一食の中に、甘み、辛味、塩味、酸味、苦味、スパイスの刺激という6つの味覚が混在していることが体によいとされています。ランチどきにしっかり食べることも、アーユルヴェーダの考えによるものです。

スリランカカレーにはインド洋で獲れるカツオを干して使うモルディブフィッシュというものがあります。日本の鰹節のような役割でカレーに旨味のアクセントを加えます。野菜や魚の旨味を用いているのは日本人にも共通するものがありますね。

また日本にも「身土不二」*1という言葉があるように、「スリランカの気候のもとではスリランカの太陽や雨を浴びた食物をいただく」というアーユルヴェーダの考え方があります。私にはその考え方がとてもしっくりきます。きっと真面目にアーユルヴェーダ食だけを食べていれば、かなりいろいろ改善されるのでしょうが、私はカフェイン大好きですしついつい洋菓子も食べてしまいがち……。いつかアーユルヴェーダ 施設でしっかりと取り組んでみたい!

身土不二*1:生まれ育った土地に実った食物を食べる事で健康を保つこと

スーパーフードも、カレーの具材に

スリランカの野菜を使った充実のサラダバー(撮影場所=ガヴァナーズ・レストラン)

スリランカのアーユルヴェーダ、食文化が発展できたのはスリランカの大地が育んだ薬草やフルーツ、野菜が豊富にあったからこそ。抗酸化作用が強く、体の免疫をあげる食材として世界的に注目を集めているスーパーフード*2の「モリンガ(ワサビノキ科)」は日常的に食べられています。また「ネッリ」と呼ばれるフルーツは抗酸化作用が強力で、若返りのクスリとも言われています。ネッリは辛味以外の5つの味を持っているそう。

 

スーパーマーケットではゴトゥコラ がいつも山積み
スーパーマーケットではゴトゥコラ がいつも山積み

そしてWHO(世界保健機構)が「世界的に重要な薬草リスト」にあげている「ゴトゥコラ」! 美肌、むくみ改善、細胞活性化と嬉しいことだらけの食材です。朝の通勤タイムにはジューススタンドの定番メニューとなり、ランチどきにはライス&カレーに欠かせない「ゴトゥコラサンボル(サンボルは和えものの意)」となります。私も大好きなゴトゥコラ サンボルの作り方はいたってシンプル。刻んだゴトゥコラ にココナッツを削ったもの、みじん切りの玉ねぎ、ライム、塩を手でざっくり揉み込んでしっとりしたらできあがりです。爽快感のある酸味と苦味が後を引き、お皿に盛られたさまざまなカレーを引き立てます。おいしくて体にいいなんて最高です。

スーパーフード*2:一般の食品よりビタミン、ミネラル、クロロフィル、アミノ酸といった必須栄養素や健康成分を多く含む食材

スリランカカレーの食べ方

近所の行きつけ大衆食堂のショーケース、日替わりカレーが並ぶ

お皿に盛られたスリランカカレー、その食べ方は「右手」です。お皿の上でごはんとカレーを好きな分量で混ぜ合わせ、一度指先でぎゅっと一体化させてから口に運びます。こうすることでスプーンでは味わえない旨味が引き出だされるそうです。私はうまくできずポロポロこぼしてしまい、まだその旨味の境地を知りません..….。カレーを混ぜながら食べる必要があるため、お皿は大きいものを出すのがおもてなしの印だそうです。

さて実際このスリランカカレーをどこで食べるか、ということになりますが、私は近所のいろんな食堂にトライしてお気に入りを見つけています。しかし時間と胃袋が限られた旅行者にとってそれはかなり困難。なので、まず気軽に数種類のカレーが楽しめるホテルのカレービュッフェをおすすめします。 大衆食堂では衛生面が気になることがある、少しずつ試したいといった方にはぴったりです。

コロンボ周辺のおすすめのレストラン

「カレーリーフ」レストラン、悪魔払いのお面がお出迎え
レストラン「カレーリーフ」、悪魔払いのお面がお出迎え
いろんな味を少しずつ!(「カレーリーフ」)
いろんな味を少しずつ!

 

一軒目は「ヒルトン コロンボ」にあるレストラン「カレーリーフ」。

カレーリーフはスリランカカレーに欠かせないハーブ。シンハラ語でカラピンチャと呼ばれます。このレストランは、ライブキッチンが充実しているところが魅力です。おいしいできたてコットゥ(肉、野菜と小麦粉で作ったロティという生地を鉄板で刻みながら炒める人気料理)も食べられます。10種類以上のカレー、ゴトゥコラ サンボルを含むさまざまな種類のサンボル、ココナッツと米粉で作られた、ホッパーと呼ばれる丸っこい形が可愛らしいパリパリ食感のカレーのお供など、本当に種類が豊富です。

スリランカ人が皆大好きなコットゥ。食材が新鮮なホテルなら屋台フードにも安心してトライできる。
伝統のお菓子作りもライブで見られる
お正月にも食べられる花型のおめでたいお菓子コキス(「カレーリーフ」)
お正月にも食べる花型のおめでたいお菓子コキス

またショーケースから新鮮な魚介を選ぶと、お好みの調理法でテーブルまで届けてくれます。スリランカ産のワタリガニを使ったカニカレーやマグロが入荷していれば、胡椒の旨味で仕上げるスリランカ伝統のマグロの胡椒カレー「アンブルティアル」を頼んでみてはいかがでしょうか。スパイシーですが、スリランカらしいカレーです。お気に入りのカレーを見つけて、他のレストランでもぜひ試してみてくださいね。こちらのレストランはディナーのみの営業です。

海鮮が並ぶショーケース、シェフも料理法をいろいろ提案してくれる
海鮮が並ぶショーケース。シェフも料理法をいろいろ提案してくれる

 

■Curry Leaf (Hillton Colombo内)
2 Sir Chittampalam A Gardiner, Mawatha, Colombo 2 

 

 

ガヴァナーズ・レストランのあるマウントラヴィニアホテルでは、植民地時代のガードマンを模したコスチュームでお出迎え
気持ちのよい風が吹き抜けるテラス席(「ガヴァナーズ・レストラン」)
気持ちのよい風が吹き抜けるテラス席

そして二軒目は、コロンボから車で20分ほど南下したマウントラヴィニアという地区にある、1806年創業の「マウントラヴィニアホテル」の「ガヴァナーズ・レストラン」。日本でも名の知られたスリランカ料理のシェフ、パブリスシェフが在籍しているレストランです。

毎食違うカレーが並ぶ(「ガヴァナーズ・レストラン」)
ガヴァナーズ・レストランでは、毎食違うカレーが並ぶ
スリランカ産スパイスは香りも豊か

こちらのホテルも、カレー自慢のホテルだけあって種類が豊富です。カレーポットの横には食材が置かれているのでわかりやすい。私がよく行くのは、ランチタイムのビュッフェです。晴れた日にはインド洋と青空が目の前に広がり、海から吹くエアコン要らずの気持ちのよい風を浴びながら、たらふくカレーを食べます。インドスタイルのカレーも用意しているので食べ比べてみるのも楽しいかもしれません。

手際よくホッパーを仕上げる女性スタッフ
手際よくホッパーを仕上げる女性スタッフ
できたてエッグホッパー、まわりはパリパリ真ん中はトロトロ(「ガヴァナーズ・レストラ ン」)
できたてエッグホッパー、まわりはパリパリ真ん中はトロトロ
動物性食品を使わないデザートコーナーもある

■Governor's Restaurant(Mt.Lavinia ホテル内)
100 Hotel Rd, Dehiwala-Mount Lavinia, 

 

 

どうしても大衆食堂を試したい、そんなとき私は女性のお客さんが入っているかを判断基準にしています。世界共通で女性が選ぶところは野菜が豊富、しょっぱすぎない、衛生面がまとも、ご飯の量が常識的な量となっているからです(笑)。

次回は、今がぜん注目度があがっているアーユルヴェーダについてお伝えします。私もアーユルヴェーダドクターに診察してもらったのですが、1、2分ほどの脈診だけで過去に手術した箇所などを当てられました!そして母の持病も……!

4月11日に公開です。


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石野 明子

フォトグラファー。大学で写真を学んだ後、新聞社の契約フォトグラファーを経て2006年から女性誌やwebで撮影するフリーランスに。16年スリランカ・コロンボに移住し、写真館「STUDIO FORT」をオープン。著書に『五感でたのしむ! 輝きの島スリランカへ 』イカロス出版 

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