50代・60代女性に!おすすめ本90冊を一気に紹介
2023.04.292021年04月16日
ハルメク編集部が選ぶ大人の女性におすすめの書籍情報
【書評】『くそじじいとくそばばあの日本史』他3冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、歴史の授業では絶対に教わらない、小林一茶の性行為記録が記された日記や、昔からあったという老害や毒親、8050問題など奇想天外な事実が満載な本など3冊をご紹介します。
大塚ひかり著『くそじじいとくそばばあの日本史』
この本には歴史の授業では絶対に教わらない、奇想天外な事実が満載です。例えば、俳人の小林一茶(こばやしいっさ)は52歳で初めて結婚、自身のセックス回数を日記に記していたとか(小林一茶『七番日記』)、戦国武将の最期が細かく記録に残っているのは、合戦の最後まで立会人としてルポした、話し上手の老女がいたから(アレッサンドロ・バリニャーニ宛フロイス書簡)とか。
老害や毒親、8050問題が今も昔も変わらぬ社会問題だったことも、著者自身が渉猟した膨大な資料から示されます。古典の豊かさ、奥深さには驚かされるばかりです。
刺激的な表題ですが、実はこの「くそ」という言葉も古語として深い意味があるのです。それは読んで確かめてみてください。
銀粉蝶著『カンタン服でいくわ~銀さんの春夏秋冬~』
舞台やテレビドラマなどで活躍する銀粉蝶(ぎんぷんちょう)さん。本書では、自分らしいファッションを楽しむ銀さんの私服コーディネートが季節ごとに披露されています。
「カンタン服」とは、大正時代に生まれた和装より動きやすい安価で簡単なデザインの服のこと。母親が銀さんのために作った夏服をそう呼んでいたそうで、このレトロな響きが好きという銀さんは「楽ちんな発想で着る、楽しみが広がる服」という独自の解釈で使っています。
着る楽しみが広がる服は、高校時代から愛用している「コム・デ・ギャルソン」から「ZARA」「GU」といった今どきのプチプラ服までさまざま。読み進めるうちに、真似しておしゃれしたくなる、そんな一冊です。
鎌田實著『 鎌田實の人生図書館 あなたを変える本と映画と絵本たち400』
医師の鎌田實(かまたみのる)さんが、何度も読み返し、見返してきた国内外の近・現代作家による本や絵本、映画を400以上も紹介する本書。
鎌田さんは貧しい家庭に育ちました。その事情を知る担任の先生に「図書館の本は何冊でも借りていいよ」と言ってもらい、本との人生が始まりました。岐路には必ず本があったそうです。だからタイトルは、「人生図書館」。納得です。
この本には、自分が好きな作品を鎌田さんがどう評しているのかを読む楽しみがあります。そして、10代の頃に好きだった本を、いま一度開きたくなることでしょう。当時の思い出、そして今だから感じられること。これからの人生の指針を見つける時間を持つことができそうです。
※この記事は2021年3月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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