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- 【映画レビュー】「1917命をかけた伝令」
50代以上の女性におすすめの最新映画情報を映画ジャーナリスト・立田敦子さんが解説。今回の1本は、前線にいる部隊に重要なメッセージを届けるという任務を任された青年兵が、命がけで戦場を駆け抜ける姿に心を揺さぶられる作品です。
「1917 命をかけた伝令」
監督デビュー作「アメリカン・ビューティー」でアカデミー賞作品賞、監督賞に輝いたサム・メンデス。本作はこの英国の名匠が長年温めてきた企画である。
1917年4月のフランス。西部戦線ではドイツ軍と連合国軍が一進一退の消耗戦を繰り返していた。イギリスの若き兵士、スコフィールドとブレイクは、マッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務を命じられる。
大佐の軍は翌朝、撤退するドイツ軍を攻撃する作戦を実行する予定だが、航空写真により、それがドイツ軍の罠だと判明。作戦を止めなければ、1600人の兵士を抱えた隊は全滅をまぬがれない。そこにはブレイクの兄もいるのだ。ドイツ軍によって通信手段を絶たれている英国軍にとって、彼らの伝令は最後の頼みの綱となった。果たして、2人は、敵陣を縫うように、前線へと向かう……。
物語の元になっているのは、監督が子どもの頃に、祖父から聞いた戦争体験である。メンデスの祖父は、19歳で軍隊に入隊し、西部戦線で伝令兵として第一次世界大戦に参戦した。小柄だった彼は、敵味方が膠着状態でにらみ合う“ノーマンズランド”を駆け抜けるのに好都合だったが、それは命がけの任務であり、運がいいことに、彼は負傷しながらも生き延びた。
映画は、メンデスの祖父のような名もなき青年兵が、戦場で何を見て、何を感じ、どうやって生き延びたかをリアルに伝える。ワンシーンを長回しで撮る手法は、全編がまるでワンカットで撮影されたかのようで、彼らの時間との切実な闘いを緊迫感と臨場感を持って描き出す。青年は戦場を駆け抜けるが、私たちは彼らの感情の旅を共にするのだ。その体感は心に深く響く。戦争がゲームのように実感を伴わない時代だからこそ、観るべき反戦映画である。
1917年4月。英国軍の若手兵士、スコフィールドとブレイクは、前線にいる部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。果たして翌朝までに友軍に追いつけるのか。命がけで戦場を駆け抜けるが……。
監督/サム・メンデス
出演/ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ他
製作/2019年、イギリス・アメリカ
配給/東宝東和 2月14日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷他、全国公開
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転勤で盛岡に移り住んだ今野秋一(綾野剛)は、同僚の日浅典博(松田龍平)と親しくなるが、ある日、何の相談もなく日浅は会社を辞めていた。しばらくして二人は再会を果たすが、元の関係には戻れない……。東日本大震災を背景に、人間の心の深淵に迫るヒューマンミステリー。「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督が芥川賞受賞の同名の小説を、監督の出身地でもある岩手でオールロケし映画化した意欲作。
監督/大友啓史
出演/綾野剛、筒井真理子、中村倫也、國村隼、安田顕、松田龍平他
配給/ソニー・ミュージックエンタテインメント 配給協力/アニプレックス
2月14日(金)より、全国公開
文・立田敦子
たつた・あつこ 映画ジャーナリスト。雑誌や新聞、webサイトなどで執筆やインタビューを行う他、カンヌ、ヴェネチアなど国際映画祭の取材活動もフィールドワークとしている。共著『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社刊)が発売中。
※この記事は2020年3月号「ハルメク」の連載「トキメクシネマ」の掲載内容を再編集しています。
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