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- 人生相談:失言が原因で友人ができない自分を変えたい
読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は53歳女性の「思ったことをストレートに言ってしまう性格が原因で友人ができない…そんな自分を変えたい」という相談に、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く、住職・名取さんが回答します。
53歳女性の「失言を減らして友人を作りたい」という相談
人付き合いが苦手で、人間関係を築くことができません。
私は、思ったことを悪気なくストレートに言葉に出してしまう性格で、若い頃から友人を作ることができませんでした。今までお付き合いしてきた方もいましたが、同じ理由で離れて行ってしまいました。
これからの人生、友人もパートナーも無く生きていくのはつらすぎます。失言してしまう自分の性格をどうにかしたいのですが、何かいい方法はあるのでしょうか……。
(53歳女性・ひとみさん)
名取さんの回答:相手を包み込む「思いやり」の気持ちが大切
思ったことを“悪気なく”それも“ストレートに”言葉に出してしまう性格……それでは、厄介なことに巻き込まれることが多くなるでしょう。
ひとみさんは「(悪気がなければ、何を)言っても大丈夫だろう」と相手の許容力を信じていらっしゃるのですね。しかし、悲しいかな、後になってから「悪気はなくても、失言だった。やってしまった」と気が付くのですから、自己嫌悪にもなるでしょう。
ひとみさんは、「自分に正直でいい」という言葉を、そのまま鵜呑みにしていないでしょうか。もしそうなら、まず、ひとみさんには心地よい「自分に正直でいい」という言葉を疑った方がいいですよ。
この言葉は、自分をいつわって他人に合わせて、精神的に追いつめられている人を励ます言葉です。自分をいつわらず、もともと自分に正直に生きている人に対して「そう、そう、そのままでいいよ」とお墨付きを与えるものではありません。
私の経験では、自分にだけ正直な人の中には「正直という剣」と「悪気がないという斧」を振りかざし、周りに対して不誠実な人が少なくありません。その人数は片手では足りません。
ひょっとすると、ひとみさんもそのグループに入るのかもしれませんね。
自分をいつわる必要はありません。周りに対して、ただ誠実であろうとすればいいのです。
誰かのことが嫌いなのに「あの人のこと好きだよ」と嘘は言わない方がいいのですが、だからといって、誠実さを放っておいて、本当のことを言わなくてもいいのです。
いくら自分に正直でいるのがモットーでも、「あの人、イヤなんだ」と自分の気持ちをミサイルのように発射しなくてもいいということです。「あの人、ちょっと苦手なんだ」くらいで済ませることは可能でしょう。
誠実さで大切なのは、目の前にいる人への思いやりです。“正直”や“悪気がない”には、残念ながら、相手を包む“思いやり”という要素が欠けているのです。
言葉は相手を傷つけない!傷つけているのはあなたの「心」
さて、私が話し方を教えてもらった大ベテランのアナウンサーは、「言葉は人を傷つけるから怖いと言う人がいますが、そんなことは金輪際ありません」ときっぱりおっしゃいます。
大和言葉(やまとことば)の「は」は、何かの先端を表します。刃(やいば)は刀のはしっこです。山の端(は)も山の稜線。歯も顔の先端。葉は木の末端です。「は」には、本体があるのです。
言葉の本体は、心です。ですから、言葉が相手を傷つけるのではなく、言葉の本体である心が、相手を傷つけているのです。
例えば「あなたはズルイ」という言葉が相手を傷つけるのではなりません。相手をズルイと思っている心がすでに相手を傷つけているということです。
意中の人に、サプライズで愛を告白されたときの「あなたってズルイ」は立派な愛情表現です。本体の心がうれしさで満たされていれば、口から出る言葉など、大した問題ではあまりせん。
ですから、本体である心を丸く、穏やかにする練習をすることをおすすめします。本体の心を磨けば、どんなことを言っても、人を傷つけることはありません。
磨いていく心は、ひとみさんの中にすでにある(だけど今は少し曇っている)相手に対する関心や感謝、思いやりやいたわり、そして人を傷つけないユーモアのセンスなどです。
これらを意識し始めると、しばらくたってからでないと気が付かなかった今までの失言に、言った直後に「おっと、今の言葉は失言かな」と気付けるようになります。
すぐに気付けるようになれば、しめたもの。思ったことをストレートに言葉にした直後に、「でも、考えてみれば……」と誠実なひと言が加わるようになります。
私がそうなるには3年かかりましたが、これだけ苦しんでいるひとみさんなら1年でクリアできるでしょう。
どうぞ、楽しく自己改革をして、豊かな人間関係が織りなす人生を送ってください。
回答者プロフィール:名取芳彦さん
なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所所長。豊山流大師講(ご詠歌)詠監。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)『気にしない練習』(三笠書房)、『心がすっきりかるくなる般若心経』(永岡書店)など、著書多数。
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