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50代からの女性のための人生相談・162
人生相談:老後が年金だけは不安…でも貯金できない
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子
公開日:2023.11.25
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、55歳女性の「子育てがひと段落。夫婦の老後の生活が年金だけでできるか不安…でも貯金ができず焦ります!」という相談に、FPの畠中雅子さんが回答します。
55歳女性の「老後、年金だけで生活できるか不安」という相談
夫婦ともに55歳。三女が今年、大学を卒業する予定です。世帯年収は約500万円。住宅ローンはなし。貯蓄は50万円くらいです。
我が家の現在の不安は「定年後の夫婦生活が年金だけで生活できるのか?」ということです。
大学時代の奨学金は子どもたち自身に返済してもらいますが、高校時代の奨学金や、大学の入学金の200万円くらいは親である自分たちが返済する予定です。
夫婦ともに65歳までは働く予定ですが、あと5年で再雇用となり、収入が今よりも減りますし、その後の人生を年金だけで生活していけるのかが不安です。
今からでもできる貯金などをするべきだとは思うのですが、なかなか貯まらずに焦っています。
(55歳・あっこちゃんさん)
畠中さんの回答:今からの10年間で老後資金を作る覚悟を
「年金だけで暮らせるかが、不安」というご相談者はたくさんいらっしゃいます。多くの方が感じている不安ですが、生活の方を見直さなければ、お金の不安を抱えたままの年金生活に入ることになってしまいます。
あっこちゃんさんは、年金生活までの残された時間で、できる限りの努力をするしかありません。努力をされた上で、年金生活に入られたら「年金の受給額に近い金額で暮らせるような工夫」も必要になります。
年金の受給額に近い金額で暮らすと言っても、家電が壊れたり、家の修繕が必要になることもあります。貯蓄が今のまま増えないと、家電の買い替え費用なども年金の中から捻出せねばなりません。
実際に冷蔵庫が壊れたのに、買い替え資金が捻出できないため、食材をストックできずに困っているご相談者もいます。
あっこちゃんさんご夫婦は、まだ10年間も働ける時間が残されているわけですから、「貯蓄ができない」と嘆いているのは時間がもったいないと思います。同じ悩むなら「どうすれば、貯蓄が少しでも増えるだろうか」と貯め方で悩むべきではないでしょうか。
ネット銀行のサービスで「自動的に貯まる仕組み」を
ここからは、具体的な貯蓄方法を考えていきましょう。貯蓄を増やすためには、「先取りで貯める」のが大原則です。お子さんにかかっていたお金がなくなるタイミングにきているので、これからは自動的に貯まる仕組みを作ってはいかがでしょうか。
仕組み作りとしておすすめなのは、住信SBIネット銀行やソニー銀行などで扱っている自動入金のサービスを利用する方法です。例えば、住信SBIネット銀行では「定額自動入金サービス」、ソニー銀行では「おまかせ入金サービス」という名称で扱っているサービスを利用する方法です。
このサービスを利用すると、毎月決まった日に、自分が決めた金額を給与振込口座まで取りに来てくれます。資金移動に費用は掛かりません。
住信SBIネット銀行の定額自動入金サービスで、具体的な方法をご紹介しましょう。例えば、毎月27日(5日の引き落としも可能)に2万円を引き落とすと決めたとします。すると、毎月27日に給与振込口座から2万円の引き落としがあり、その4営業日後に住信SBIネット銀行の普通預金口座に2万円が入金されます。
入金された後は、10万円などの金額になったら、定期預金のように少しでも金利の高い預金に預け替えることもおすすめします。住信SBIネット銀行もソニー銀行も、ボーナス時期を中心に金利アップキャンペーンを行なっていますので、そのようなタイミングで預け替えるとより有利です。
1割上乗せ貯蓄で、運用と似た効果を得ることも可能
ご夫婦とも、現在の給与振込口座から自動的にネット銀行の口座に貯蓄分を入金してくれるサービスを利用して、コツコツとお金を積み立てていきましょう。定年までの5年間は、手取り収入の2~3割程度を貯蓄することをおすすめします。
再雇用以降は、手取り収入がガクンと減るはずですが、それでも1~2割程度は貯蓄にまわせるとよいですね。
手の込んだ方法で貯めようとしても、何年間もモチベーションを維持するのは大変です。それよりも、「自動的に貯まる仕組み」を作って、その仕組みを利用しつつ、コツコツと貯めていくのが確実だと考えます。
少しでも効率的に貯めるために、NISAなどを活用する考え方もありますが、貯蓄が100万円に満たない現在は、運用リスクを取ることはおすすめできず、堅実な方法で貯めた方が安全です。
ちなみに、2万円を貯めようと思ったら2万2000円に、3万円だとしたら3万3000円のように、貯める金額を1割上乗せしておけば、運用で10%の利益を得たのと似たような効果が得られます。ぜひ、1000円単位の金額にもこだわって、毎月の貯蓄額を決めてください。
自動的に貯まる仕組みを利用して、確実に貯蓄が増えていったら、65歳までに貯められそうな金額を計算してみましょう。その金額が、年金暮らしに入るときの貯蓄額(=老後資金額)になります。
がんばって貯めたお金は、日常生活費の赤字補填で消費するのではなく、家電などの買い替えのために計画的に使うことも大切だと思います。
回答者プロフィール:畠中雅子さん
はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
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