50代からの女性のための人生相談・151

人生相談:シングルマザー、今後の子どもの学費が心配

畠中雅子
回答者
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子

公開日:2023.09.15

読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は50歳女性の「中学1年生の子どもの子育て中。高校以降の子どもの学費のために、毎月どの程度の貯蓄をしておくべき?」という相談に、ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんが回答します。

50歳女性の「毎月の貯蓄額」についての相談

私は今年51歳になるシングルマザーで、現在、中学1年生の子どもを育てています。

現在の年収は300万円ほどですが、住宅ローンはもうすぐ完済する予定です。住宅ローンの返済が終わったら、今後のためにも、少しずつでも貯金をしていこうと思っています。

まだまだ子どもにお金がかかりますし、子どもは大学まで行かせたいと思っていますので、毎月どの程度貯蓄しておいたらいいか、教えてください。また、子どものためのお金は、あとどれくらいを想定しておくと安心でしょうか?

(50歳女性・むらさきさん)

畠中さんの回答:まずは高校と大学の助成制度を理解して!

畠中さんの回答:まずは高校と大学の助成制度を理解して!

お一人でお子さんを育てられているとのことで、ご苦労も多いかと思います。

お子さんの教育資金が気になるようですが、現在はさまざまな助成制度が設けられています。高校や大学の教育費の準備を考える際は、どのような助成制度があるのか理解した上で、教育資金プランを考えるのがいいと思います。

まずは、高校の助成制度である「国の就学支援金」の制度からご説明します。

公立高校に進学した場合は、授業料に相当する11万8800円(1か月9900円)について、実質無償になります。就学支援金は、全国一律の制度です。

ただし、就学支援金で無償になるのは授業料だけですので、教科書代や修学旅行代、部活の費用などは、従来通り、親側の負担になります。高校生になると、通学費用もそれなりにかかると思います。

私立高校に進学した場合は、国の就学支援金制度に加えて、各都道府県が実施している私学助成が受けられます。私学助成の基本的な助成内容はほぼ同じなのですが、自治体によって所得基準を緩和していたり、助成額を上乗せしています。

基本的な助成内容をご説明しますと、年収590万円未満のご家庭では年間で39万6000円(就学支援金を含む)の助成金が受け取れます。この助成金の金額は、私立高校の平均的な授業料相当額に当たります。

年収の基準額は、配偶者の収入や世帯人数などで変動しますが、むらさきさんのお子さんが私立高校に進学された場合、39万6000円の助成は受けられるはずです。

ただし公立高校と同じように、授業料以外の費用については、親側の負担になりますし、私立高校の場合は施設維持費やPTA会費、寄付金(任意)の負担もそれなりにかかります。

大学の助成内容は、年収によって異なる

大学の助成内容は、年収によって異なる

次は、大学進学後の助成制度についてです。

大学時代の助成については、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯に対して、入学金や授業料の免除や減免を行い、さらに給付型の奨学金(返済不要)を支給してくれるという制度が設けられています。この制度は、「高等教育の修学支援新制度」と言います。

この制度の助成額は収入によって三段階に分かれており、収入が少ないほど、もらえる金額は多くなります。

例えば、住民税非課税世帯のお子さんが私立大学に進学した場合、入学金が26万円、授業料が年間70万円ほど助成されます。給付型の奨学金も月額3万8300円(自宅通学の場合)もらえます。

むらさきさんのご家庭も、現在の収入が継続するならば、助成の対象になるはずですが、住民税非課税世帯よりも助成額は少なくなると思われます。住民税非課税世帯を第1段階とした場合、第2段階では第1段階の3分の2、第3段階では3分の1が、助成額の目安になります。

仮に、むらさきさんのご家庭が第2段階に該当するとして、自宅から私立大学に進学したとすると、授業料の減免は46万円強、給付型の奨学金は30万円強になります。

※両親・本人(18歳)・中学生(15歳)の家族4人世帯の場合の目安。本人の年齢や家族構成等によって、目安年収は異なります

「公立高校は安くて、私立高校は高い」と決めつけないことも大切

「公立高校は安くて、私立高校は高い」と決めつけないことも大切

ここまで説明してきた通り、むらさきさんのご家庭は、高校時代も大学時代も、国や自治体の助成金制度が受け取れます。そのため、助成制度内容をきちんと調べたうえで、不足する部分の学費の準備を考えるのが適切だと思います。

また助成制度の拡充により、「公立高校は安くて、私立高校は高い」とは言い切れない時代になっていることも理解しておいた方がいいでしょう。

私立高校の場合は、推薦入試で大学などに進学するお子さんの割合が、公立高校よりもかなり多くなります。さらに多くのお子さんが大学に進学するような公立校の場合、浪人する割合も私立高校より多いと感じます。

推薦入試で大学に進学してくれれば、受験料や塾代が抑えられるので、結果(総額)としては公立高校よりも少ない教育費負担で済むケースも増えてきているのです。

いずれにしても高校生になると、通学費用やおこづかいの負担も増え、通信費もかさんできます。お子さん自身がコンビニなどで買物をする機会も増えるので、生活コストがアップすることにも気を付けてください。

最後に、毎月の貯蓄額についても触れておきます。住宅ローンの返済が終わったのちは、手取り月収の15~20%程度を貯蓄に回したいところです。そのうちの半分くらいを、高校以降の教育資金として貯めていかれてはいかがでしょうか。

回答者プロフィール:畠中雅子さん

畠中先生

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。


50代からの人生相談一覧を読む

専門家に相談したい質問を募集中です!

連載「50代からの女性のための人生相談」では、専門家の方に相談したい内容を募集中です。下記応募フォームに、人間関係や老後の生き方、お金や介護、恋愛についてなど、相談したい内容を書いてお送りください。

応募はこちら

ハルメク365編集部

女性誌No.1「ハルメク」の公式サイト。50代からの女性の毎日を応援する「観る・聴く・学ぶ・つながる」体験型コンテンツをお届けします。
会員登録をすれば、会員限定動画を始めさまざまな特典が楽しめます!

マイページに保存

\ この記事をみんなに伝えよう /

いまあなたにおすすめ

注目の記事 注目の記事