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- 吉祥寺・井の頭公園を散歩。湧き水と草花の秘密に迫る
身近な草花を見ながら散歩する「草花散歩」。猛暑の2018年8月に訪れたのは木陰と水辺が涼やかな、東京都・吉祥寺駅徒歩5分の井の頭恩賜公園です。都心でありながら自然豊かなこの公園で暮らす野草や樹木について、講師の清右衛門さんがレポートします♪
井の頭公園は、新宿から20分の都会のオアシス
草花散歩講師 清右衛門(せいえもん)
造園家・樹木医。1980年生まれ。千葉大学園芸学部卒。草花はもちろん、土地の歴史や地形にも詳しいハカセです。2014年からハルメク講師として活躍。豊富な知識と明るい性格で大人気です。
誰でも知っている緑豊かな、東京のデートスポット「井の頭恩賜公園」。
最寄り駅の吉祥寺駅までは、新宿駅から15分。都心部でありながら、およそ2万本の木々が植えられており、開園から100年目を迎えた今も多くの人が訪れます。でも花見や紅葉の時期を除いて、ここで草花をじっくり観察、という方はあまりいないのではないでしょうか?
今回はそんな井の頭公園で、都心ではなかなか出会えない草花を中心にご紹介していきます。
そして、この公園をご紹介するにあたって忘れてはいけないのが、ここは「神田川の源流の一つ」であり、湧水が集まった場所であるということ。井の頭池とその周りの谷を囲むような雑木林には、さまざまな野草や生きものが、湧き水の恩恵を受けて暮らしています。
井の頭公園で湧き水の恩恵を受ける生きもの
実際に公園に入ると、ムクノキ、ミズキ、サワラ、ハンノキと水辺に自生する植物が出迎えてくれます。特に家具材に使われるハンノキは湿地に生える樹木で、井の頭公園が古くから水の豊かな場所だったことを表しています。
また井の頭池の南側では、「リョウメンシダ」や「イヌシダ」、「クマワラビ」などの湿り気を好む植物も見つけました! 普通は、都心部で見かけることはできません。斜面が北向きなことで、直射日光が当たらず、このような植物がひっそりと生きているのではないかと思います。
他にも、公園内には渓流に生えるカツラやトチノキなどの樹木が植えられています。カツラは落ち葉から甘い香りがしますし、トチノキは栃餅に加工される面白い実が魅力的です。
源流を再現したかのような公園のつくり……設計者のセンスが光ってる!と思わず感心してしまいます。
そして井の頭池の南辺を端まで歩くと、草木の緑と建物の赤のコントラストがとても綺麗な井の頭弁財天にたどり着きます。
普段ならお参りして終わりとなりそうですが、今回は草花が生息している土地にも注目をしてみると……?
行く先に井の頭遺跡群の看板がありました!
なんでもこの井の頭池周辺には旧石器時代や縄文時代から中世の遺跡が数多く出土しているそうです。湧き水によってここには古代人が集まってきたのでしょう。つまり、野生の動植物だけではなく人間もまた湧き水を頼りにしていたのですね。
吉祥寺のお茶の水⁉ 将軍・家康もひいきにした湧き水
井の頭公園の西側・梅園のある坂を登ると、御殿山があります。御殿山はその字面のごとく、将軍家の鷹狩りの休憩所として使われた御殿がここに建っていたことから名付けられたそうです。
そこには水はけのよい、草地の植物が生える一角があり、早くもノハラアザミや、シラヤマギク、ツリガネニンジンなどの秋の花やツルボ、ヒメキンミズヒキなど晩夏の花も咲いていました。
少し、歩み進むと「お茶の水」という立て看板と井戸が現れます。
「なぜこんなところでお茶の水?」と思いますよね。
実は、徳川家康がこの水を好んで使ってお茶を点てていた、という言い伝えがあるのです。今ではポンプでくみ上げていますが、往古を忍ばせる清らかな水が湧き出ています。かつて家康もこの湧き水を飲んだのか……と思うと、なんだか感慨深いですね。
またその近くには、池の生態系を復活させるための「かいぼり」に関しての看板が建てられています。外来種を除去したり、湖底の空気を除去することで水質が改善し、絶滅危惧種のツツイトモやイノカシラフラスコモも復活したそうです。
ハーブ王子・山下智道さんとハーブ探し
実は今回、ハーブ王子こと山下智道さんをゲストにお迎えしました。食べられる野草や薬草などの植物を生活に取り入れる工夫についてもお話していきます。
「え、都心の井の頭公園に食べられる野草なんてあるの!?」と思うかもしれませんが、
実はよくよく観察すると、あるのです!!
早速、公園内の北向き斜面の一角にはノブキやヤブタバコ、ヤブミョウガなどが固まって生えているのを見つけました。本来、もう少し山奥に生えるノブキが生き延びているのは陽の当たらない北斜面ならではです。ちなみにヤブミョウガはクセがなくて、美味しく食べられるそうです。
ハーブ王子がヤブミョウガの白和えや水キムチ(漬け汁ごと楽しめる白いキムチ)などのレシピを紹介すると、
参加者のみなさんは
「へ~おもしろい!」
「今度やってみようかしら」
と興味津々で熱心にメモをとっていました。
その他にも実は食べられる野草としてぜひ紹介したいのがアキノエノコログサ。
「猫じゃらし」という名称の方がわかりやすいかもしれません。五穀のアワの原種で、煎って殻を外せばふりかけなどにして食べられるそうです! エノコログサはどこにでもあるので、すぐにでも試せそうですね。
※公園では植物の採集はできないのでご注意ください
草花目線で巡る井の頭公園はいかがでしたでしょうか?
今回のまごごころポイント
イベントを快適に楽しんでいただくためにご用意していた『まごころを込めたポイント』を、ちょこっとご紹介します。
ハルメクのイベントでは、どんなことを気にかけて企画・運営をしているか知ってもらえるとうれしいです♪
・暑さを考慮した開催地
夏真っ盛りで例年以上の猛暑となった8月。開催地に選んだのは、樹木が多いことから木陰が涼しい井の頭恩賜公園。また公園内には池があるので見た目にも涼やかなところがポイントです。
・ゲスト講師
ハルメクの草花散歩では時々ゲスト講師をお招きして開催しています。講師の清右衛門さんの草花知識に加えて、ゲストならではの知識は新たな発見や気づきがありひと味違った草花散歩を楽しめます。2018年8月に開催した草花散歩では、『食べられる野草』が多く観察できる井の頭恩賜公園を舞台にハーブ王子・山下智道さんをお招きしました。
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