鉄道食べすぎひとり旅

富山で鉄道乗りすぎ旅!立山黒部アルペンルート

YASCORN
2018/11/20 44

大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、食べて食べて、また食べる鉄道旅の楽しさをご紹介します。後編は立山黒部アルペンルートを大横断。山の上でも食べ物はあるのか⁉ 11月末で廃止となるトロリーバスにも乗りました。

富山で鉄道乗りすぎ旅[後編]立山黒部アルペンルート
【目次】
  1. 立山黒部アルペンルートは、6種類の乗り物で横断できる
  2. アルペンルートスタート! ……食べ物ってあるの?
  3. 実は2か所あるトロリーバス。まだまだ続く乗り物リレー
  4. 徒歩でも移動。黒部ダムの絶景ポイントに立ち寄ります。
  5. お目当ての、関電トンネルトロリーバスに乗車!

立山黒部アルペンルートは、6種類の乗り物で横断できる

前編を読んでいない方はこちら「富山で鉄道乗りすぎ旅[前編]黒部峡谷トロッコ電車

立山黒部アルペンルートが険しい山をひたすら歩く山登り専用道のことではない……と知ったのは、最近です。それどころか単に通り抜けるのであれば、ほぼ歩かずに済むことがわかりました。どうりでみんなが気軽に「アルペンルートに行ってきた」と言うはずです。

立山黒部アルペンルート

立山黒部アルペンルートとは、北アルプスを貫き、富山県の立山駅から長野県の扇沢(おうぎさわ)までを結ぶ山岳観光ルート。今回私は、富山駅〜長野駅まで大横断したいと思います。乗車する乗り物は、立山黒部アルペンルート内だけで6種類。富山駅〜長野駅までを含めると、1日でなんと8種類もの乗り物に乗ることになります。結構忙しいです。

ダブルデッカーエキスプレス
富山地方鉄道・電鉄富山駅からダブルデッカーエキスプレスに乗車

立山駅までの特急は1日1往復。特急は事前予約可能で、きっぷは窓口で引き換え。3両編成のうち2号車(1、2階席)のみ座席指定です。空いていたので今回は自由席にしました。立山連峰の素晴らしい車窓を眺め、駅弁を食べつつ立山駅へ向かいます。

「伝承館ますのすし 富富富」は四角い。自分で切り分けて食べる

実は事前に富山駅の駅弁売り場で、源の「伝承館ますのすし 富富富(ふふふ)」を入手していました。こちらは富山の新ブランド米・富富富と、ますのすしを組み合わせた新商品。

数量限定なのと、朝の特急の時間までには商品が入荷されていないとのことで、予約して昨夜受け取っておいたのです。ちなみに賞味期限は2日間。通常のますのすしも好きですが、こちらはよりお酢がやわらかで、ますの身も分厚く、新米のやさしい味と融合していました。

アルペンルートスタート! ……食べ物ってあるの?

立山駅から立山ケーブルカーに乗り
立山駅から立山ケーブルカーに乗り、美女平へ

立山駅に到着しました。ここからがいよいよ立山黒部アルペンルートです。アルペンルートの通しきっぷも事前にWEBで予約していました。事前予約だと、割引になる切符がありました。ただし、立山駅で紙のきっぷに引き換えないとなりません。

それからアルペンルートの乗り物は、全て指定席ではなく、定員制。満員になったら、次の便を待つことになります。その時間も考慮しましょう。

立山高原バスは50分間の乗車
立山高原バスは50分間の乗車

美女平(びじょだいら)から立山高原バスに乗り換え、室堂(むろどう)へ向かいます。途中の称名滝(しょうみょうだき)など、車窓からの景観も見事。車内が温かくて寝ている方もちらほら……気持ちはわかります。

人が多い場合や季節によって、バスの臨時便が出るようで、この日もそうでした。

みくりが池
みくりが池。霧で目の前の池が見えないこともある

室堂を降りると、気温が先ほどとは明らかに違います。寒い! 室堂ターミナルは日本最高所に位置する鉄道駅だそう。駅周辺に遊歩道があり、気軽に散策できます。この日は一時雨との予報でしたが、見事に晴れ。晴れ女の力、健在です。

立山と湧き水
左 向こうに見えるのが立山 / 右 立山玉殿の湧水は全国名水百選

ところで私にはまだ懸念していることがありました。山の上で食べ物は売っているのだろうか? という心配です。調べても、黒部ダムカレー以外の飲食情報がほぼ出てきません。しかし心配は杞憂に終わりました。ここ、室堂ターミナルはアルペンルートで最大の規模を誇るレストランやティーラウンジ、立ち食い蕎麦など、選ぶのに困るほどの飲食店がありました。

運搬などの諸事象から、自販機のジュースは割高ですが、湧き水は無料で汲めます。

立山名物 さらさら汁と湧き水コーヒー
立山名物 さらさら汁と湧き水コーヒー

先ほどますのすしをいただいたばかりなので、軽めの名物はないかと探したら、「さらさら汁」を発見。戦国武将・佐々成政(さっさなりまさ)が敢行した「立山ザラ峠越え」に由来した地元料理を現代風にアレンジしたものだそう。具材に山菜、きのこ、にんじん、大根、米粉団子など野菜もたっぷり。寒かったのと、野菜不足になりがちな旅先で、温かい汁物はありがたかったです。

実は2か所あるトロリーバス。まだまだ続く乗り物リレー

立山トンネルトロリーバス
大観峰までトンネルの中を走る立山トンネルトロリーバス

実は立山黒部アルペンルートにはトロリーバスは2か所あり、それぞれ運営会社が違います。こちらの正式名称は立山黒部貫光無軌条電車線。

無軌条電車線とはトロリーバスのこと。名前の通り、電車線(架線)から電力の供給を受けて走るもので、法律上も電車に分類されています。軌条はレールのこと、つまり線路はありません。

魚津バイ飯おこわと先ほど汲んだ立山玉殿の湧水
魚津バイ飯おこわと先ほど汲んだ立山玉殿の湧水

大観峰(だいかんぼう)の売店でも、美味しそうなものが売られていました。源七の「魚津バイ飯おこわ」はもち米とバイ貝を炊き込んでおにぎりにしたもので、T-1(富山グルメ)グランプリを3連覇したそう。

屋上の展望台に椅子と机があったので、そこから素晴らしい景色を眺めつつ、先ほど汲んだ湧き水と共にいただきました。ちなみにこれはおやつです。

立山ロープウェイはま
立山ロープウェイはまるで動く展望台

さて、地面の下を通ってきましたが、今度は空の旅。本当に様々な乗り物に乗って移動します。
立山ロープウェイは景観と環境保全のため、大観峰と黒部平の間に支柱が1本もありません。360度の大パノラマ。高所恐怖症気味の私は、大きなガラス窓からちょっと離れて乗りました。

黒部ケーブルカーは日本で唯一の全線地下式ケーブルカー
黒部ケーブルカーは日本で唯一の全線地下式ケーブルカー

黒部平にもレストランや立ち食いそば、ソフトクリームなど、さまざまな食がありました。それにしても、それぞれのターミナルがこんなに充実しているとは思いませんでした。残念ながらここでは何も食べず、黒部湖に移動。またもや地下トンネルを通ります。

徒歩でも移動。黒部ダムの絶景ポイントに立ち寄ります。

展望台までの階段
奥のコンクリート壁に線のように見えるのが展望台までの階段

黒部湖から黒部ダムまでは、黒部ダムの上に作られた道路(えん堤)を15分ほど歩きます。せっかくなので、ここでは少し観光します。まずはダムの展望台に登ってみることにしました。

しかし前述のように、私は高所恐怖症気味です。タモリさんがまさにテレビ番組でここを登るのに躊躇していたのを思い出しました。足元はできるだけ見ないように登りますが、少し後悔。下を見ると更に怖くて後戻りもできず、ひたすら上を目指すしかないのでした。

展望台からの景色。歩いてきたえん堤が見える

思った以上に階段がきつく、ハアハア言いながら登ってようやく見えた絶景。展望台にも売店やレストランがありました。売られているポテトチップスの袋がパンパンです。空気が薄いために余計に息が切れるのかもしれません。そして黒部ダムにも、あちらこちらに破砕帯からの湧き水があります。ひと口飲んで、ようやく呼吸が落ち着きました。

黒部ダムカレーと地ビール・黒部の月

帰りは先ほどの階段を下るのか……と不安になっていたら、なんと展望台の裏側から、地中を降りていく内階段がありました! 景色は見えませんが、これなら安心です。

階段は黒部ダムに続いていますが、出てダム脇のレストハウスに寄り、名物ダムカレーをいただきました。緑は湖面の色、ヒレカツはそこに浮かぶ遊覧船ガルベを表しているそうです。

お目当ての、関電トンネルトロリーバスに乗車!

関電トンネルトロリーバス
黒部ダムから扇沢へ向かう関電トンネルトロリーバス

さて、いよいよ関電トンネルトロリーバスに乗車です。結局乗るのは最初で最後となってしまいました。立山トンネルトロリーバスと同様、正式には関電トンネル無軌条電車と呼びます。

先ほどもこちらも、運良く1番前の席に座ることができました。

本のポールが架線につながり、電気を得ている
バスの後ろ、2本のポールが架線につながり、電気を得ている

関電トンネルトロリーバスは2018年11月30日で終了し、2019年4月からは充電式電気バスでの運行予定です。つまり「鉄道」ではなくなります。

青い光の部分が最大の難所だった長さ80メートルの破砕帯
青い光の部分が最大の難所だった長さ80メートルの破砕帯

黒部ダムの建設には大変な苦労がありました。事故が多発し、破砕帯からの大量の水の噴出などで171人の殉職者が出ました。石原裕次郎さん主演の「黒部の太陽」はその時の苦闘が描かれた映画です。黒部ダムでもあちらこちらでドキュメンタリーが展示・放映されていました。

関電とは、関西電力のこと。このダムのおかげで、関西の電力供給がまかなわれ、日本の経済成長を支えた…ということを知った上でトンネルを通ると、より一層感慨深いです。

扇沢駅でアルペンルートは終了
扇沢でアルペンルートは終了

扇沢の駅舎2階にはレストラン、1階には屋台がありました。ここまで全く食べ物に苦労することはありませんでした。バックにしのばせたチョコレートは手つかずのままです。

さて、長野駅までの特急バスはすでに最終便でした。夕方で道路が混んでおり、予定していた新幹線に乗り遅れたので、とりあえず長野駅で駅そばを食べ、北陸新幹線で帰途につきました。

富山マップ
2日目のルートはこちら!

2015年に北陸新幹線が開通したことで、本当に北陸地方へのアクセスが楽になりました。かつての寝台特急列車「北陸」や夜行急行列車「能登」に乗ったことがずいぶん昔に感じられます。もちろんそれはそれでよかったのですが……今回は寝台列車同様、列車そのものに乗車することが目的の旅ができて、初心にかえった気がします。

アルペンルートの営業期間は毎年4月半ば〜11月末まで。4月〜6月の間は高さ20メートルにもなる雪の壁(雪の大谷)が楽しめます。全く景観が違う時に再度来てみたくなりました。

 

次回は、18きっぷで乗車できる観光列車・長野への旅です。

長野青春18きっぷ

 

前編の「富山で鉄道乗りすぎ旅(前編)黒部峡谷トロッコ電車」をまだ読んでいない方は、こちら

トロッコ列車の旅

 

☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。

 

YASCORN

駅弁・駅そばが好きな鉄道好き漫画家&文筆家。温泉ソムリエ。児童誌から鉄道誌まで幅広く活動中。著書に「おんな鉄道ひとり旅」(小学館・プチコミック増刊で連載中)、「メシ鉄!!!」電子書籍1〜3巻(集英社)他。「鉄道漫遊記」を東洋経済オンラインで連載中。HP: yascorn.com

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