あなたの終活、間違ってます!13・親子で思いを共有

「明日何が起こっても後悔しない」気持ちの伝え方とは

公開日:2024.08.26

終活コーディネーター・吉原友美さんの連載コラム第13回。「もしものとき」に備えて親子で思いを伝え合っておくのは簡単ではありませんが、その助けとなるツールをご紹介。その名も「1ページノート」。今日からでも始められる、おすすめの方法です。

吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

吉原友美(よしはら・ともみ)

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

親子で話し合っておきたいことはあるけれど

この夏も毎日暑い日が続いていますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? お盆を故郷で過ごした方も多くいらっしゃると思います。

お正月もそうですが、家族が集まるタイミングというのは終活を進める上でとても重要です。とはいえ、親御さんに対して、あるいはお子さんに対して、これからのことを伝えたり話を切り出したりすることに難しさを感じている方も少なくないでしょう。

理想と現実のギャップ

親も子も、理想とする親子関係があるものです。相手にこうしてあげたい、こうしてほしいという思いがありつつも、なかなか形にできないことも多いのが実情ではないでしょうか。

こちらのデータをご覧ください。子が親に対してしてあげたい、親が子に対してしてもらいたいと考える親孝行の内容をまとめたものです。

子は親に「一緒に食事をする」「記念日のお祝いをする」「一緒に旅行する」など、いろいろしてあげたい意識がある一方、親の希望は子に比べて全体的に控えめです。

上位に入っているのは「家族と一緒に顔を見せてもらう」「(子に)余計な心配をかけない」などで、子の割合では30.0%となっている「介護や生活の支援をする」も親では2.7%となっています。

こちらのデータは親子の居住地の距離関係をまとめたものですが、どちらも約8割が「隣近所に住む」「1時間以内の近い所に住む」を理想としているものの、実現しているのは約5割にとどまっています。

※データはいずれも冠婚葬祭総合研究所「家族に関する意識調査」(2020年調査)から

それでも思いを伝えるには

親と子で考えのズレがあったり、理想と現実にギャップがあったりして、思い描くような親子関係を実際に築けている人はそう多くはないでしょう。まして、自分の気持ちや大切にしている思い、この先こうしたいという願いを親子できちんと伝え合うのは難しいものです。

しかし、終活は一人で完結するものではありません。人は必ず、誰かの世話になって最期を迎えるのです。

そこで心の中にある思いを少しでも伝えるために、おすすめの方法を一つ、ご紹介します。

思いのままを自分の言葉で書き留める

それは自分の思ったこと、感じたことを、ノートや手帳の1ページだけを使って書き留める方法で、私は「1ページノート」と呼んでいます。

私は早くから家族を亡くす経験をしていて、若い頃に亡くなった家族に宛てて1ページだけの手紙を書いていました。それがとても心の救いになっていたのです。

以来、自分の大切にしていることや、心を動かされたことを、自分らしい言葉で書き留めるツールとして、1ページノートを活用してきました。例えばこんな内容です。

祖母、母、私と三代で愛用している腕時計。私が受け継いだときには針が止まってしまっていたものを、修理して大切に使っている。眺めているだけでも、誇らしい気持ちになる。

亡くなった母のメモ書きと記憶を頼りに、母親の料理のレシピを再現することに挑戦している。普段の食卓の風景や味覚も、家族を思い起こさせてくれるものだ。

形式にこだわることなく、思いのままを綴っています。こういうスタイルの方が、人の価値観やその人らしさがにじみ出てくるのではと思います。

愛する人へのプレゼントとして

自分の思いを、自分らしい言葉で書き留める1ページノートは、大切な人に気持ちを伝える有効な手段になります。

親から子にメッセージを残すツールにもなりますし、親が元気なうちに子からの思いを伝える使い方もできます。

そのためにも、「明日何が起こっても後悔しないように」と思いながら書くことがポイントです。もしあなたに愛する人がいるなら、その方に1ページノートをいつの日かプレゼントしてみるつもりで書いてみましょう。

心に感じたものをかたちに残す、大切な人との思い出を辿る、そして胸に秘めた気持ちを届ける1ページノート。あなたなら何を書いていきますか?


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吉原友美

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。終活サポートサイト「今日から終活!」インスタグラムはこちら。

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