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- 夫と同じお墓はイヤ!な人が考えるべき3つのコト
終活コーディネーター・吉原友美さんによる連載コラムの第12回。最近増えている「夫婦別々のお墓に入りたい」というニーズについて考えます。お墓を分けたいと思う人が押さえておきたい3つのポイントなど、吉原さんが独自の視点を交えて解説します。
吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール
東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。
最後ぐらいは自由になりたい
セミナーなどを通して終活世代の方々と多く接していると、「夫と同じお墓に入りたくない!」というフレーズをよく耳にします。特に15年前くらいから増えてきた印象です。
逆ももちろんあります。「妻と同じお墓に入りたくない!」という男性もたくさんいるのです。
ご夫婦のことですからお二人にしかわかりませんが、離婚したくてもいろいろな事情から離婚できずに年齢を重ねて、でも最後ぐらいは自由になりたいという思いなのかもしれません。わからないでもない感情ですね。
夫婦が別々のお墓に入ることは、法律的にも特に問題はありませんので実現はできます。ただ現実に進めるとなると、対応するのは残される家族たちです。そのこともよく検討し、話し合っておく必要があるでしょう。
お墓の考え方も多様化している
ここでいくつか、統計データを見てみましょう。
「お墓に入る意向の有無」※1という調査では、「お墓に入る」と答えた人が49.3%である一方、「お墓に入らない」とする人が23.6%、「わからない」とする人が27.1%。
およそ半数が「お墓に入らない」「未定」と答えていて、その人たちに希望する遺骨の埋葬方法を聞くと(複数回答)、「散骨でいい」が68.1%、「納骨堂にしたい」が64.2%など、従来のお墓に入るスタイルにこだわりのない人がそもそも多いことがわかります。
もう一つ、「家族・夫婦のお墓に対する意識」※2という調査を見ると、「家族は先祖代々の墓に入る方がよい」「妻は夫の家の墓に入る方がよい」という考えに肯定的な意見は、1988年から2018年の30年間でそれぞれ6割程度から4割前後の水準に減少。
家族や夫婦は同じお墓に入るもの、という考え方が社会的にも薄らいできていると言えそうです。
最近は墓地関係のチラシを見ても、「個人墓」や「樹木葬」と書かれていることが多くなったように思えます。家の墓を継承していく意識がかなり薄くなり、個の時代が本格的にやって来て、お墓の考え方もだいぶ多様になってきました。
では、これだけ選択肢が増えた中で、実際に「夫婦別々のお墓に入る」ためのポイントを3つご紹介しましょう。
※1 冠婚葬祭総合研究所「葬祭等に関する意識調査」(2022年調査)
※2 博報堂生活総合研究所「家族調査」(2018年調査)
夫婦別々のお墓に入る上でのポイント
「夫婦別々のお墓に入る」には、次のようなポイントを押さえておくのが良いでしょう。
<ポイント1>お墓を管理してくれる人の理解を得る
多くの場合、亡くなった人が入るお墓を管理するのはその子どもなど家族になります。夫婦で別のお墓に入るということは、管理も2倍になるということ。
ですから、自分が亡くなった後のお墓のことについて、前もって家族に自分の気持ちを伝え、理解を得ることが大切です。比較的管理に手のかからない永代供養墓や納骨堂なども検討してみると良いでしょう。
<ポイント2>お金の準備をしておく
夫婦で別のお墓に入るとなると、残された家族にとっては管理だけでなく金銭的な負担も増えることになります。
お墓や仏壇などを受け継いで法要などの祭祀を行う人を「祭祀継承者」と呼び、夫婦が亡くなった後はその子が祭祀継承者になるケースが多いかと思います。さまざまな管理や手続きに加えて出費も必要になる中で、お墓や供養が別々となると、その負担はいっそう大きなものになります。
家族の理解を得るためにも、ある程度お金の準備をしておき、負担を小さくできるようにしておくと良いでしょう。
<ポイント3>死後離婚という方法もある
「死後離婚」とは、配偶者が亡くなったときに、自分と配偶者側の親族との姻族関係を終了させる手続きのこと。この届出をすることで、妻であれば夫側の親族と「縁を切る」ことができ、自身が亡くなった後も夫の家のお墓に入ることはないでしょう。
ただ死後離婚では子との親子関係は切れませんし、心情的にも子が夫婦両方のお墓を管理するケースが多いでしょうから、ポイント1や2で触れたような負担が軽くなるわけではありません。配偶者側の親族との関係性も加味しながら、慎重に検討してみると良いでしょう。
ちなみに、死後離婚の手続きをしても戸籍から抜けることはありませんので、苗字が変わることはありません。また、亡くなった配偶者の遺産を相続する権利や遺族年金を受け取る権利はそのまま残ります。
それでも別々のお墓がいいですか?
「夫婦別々のお墓に入りたい」というご相談は私もよく受けます。そのときに上記の3つのポイントについてもお話しします。すると、ほとんどの方が「もう一度検討します」とおっしゃいます。
そして「よく考えたら、自分が亡くなった後のお骨の行先を感情的に考え過ぎると、子どもたちに迷惑をかけてしまうんですね」と言われる方が少なくありません。
長い年月を共に過ごしていれば、当然感情のもつれもあるでしょう。しかし亡くなってしまえば、誰もが先祖となり、平等に供養されていく方が幸せではないかと私は思います。残された家族に「うちの両親は仲が悪くて、2つのお墓を別々に墓守しているの」と言わせたいでしょうか?
もちろん考え方は自由ですが、私たちは誰もが支え合いながら人生を生きています。だからこそ改めて質問です。「夫と同じお墓に入りたくない」ですか?
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吉原友美
東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。終活サポートサイト「今日から終活!」。インスタグラムはこちら。
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