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- 同時感染の危険も!冬の三大感染症から身を守る
新型コロナウイルスの感染がまだ続く中、冬はインフルエンザなどとの同時流行も懸念されています。感染症から身を守るためには、日頃の対策が鍵です。「自分がならない、家族にうつさない」ためにも、感染予防策を含む新たな常識を専門医に聞きました。
教えてくれた人:矢野邦夫(やの・くにお)さん
1955(昭和30)年、愛知県生まれ。医学博士。感染症専門医。浜松市感染症対策調整監、浜松医療センター感染症管理特別顧問。81年名古屋大学医学部卒業。名古屋大学病院や、米国フレッドハッチンソンがん研究所での勤務を経て、浜松医科大学臨床教授、三重県立看護大学客員教授を歴任。近著は『ねころんで読めるウィズコロナ時代の感染対策』(メディカ出版刊)。
インフルエンザと新型コロナの同時流行に注意
冬は、乾燥や寒さによる免疫力の低下などから、ウイルス性感染症が流行しやすい季節です。特に今は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(以降、新型コロナ)との“同時流行”について、専門家などから指摘されています。感染症専門医で、感染対策のスペシャリストでもある矢野邦夫さんもその一人です。
「新型コロナの流行以降、感染対策の徹底などにより、インフルエンザの患者数は激減しました。そのため、インフルエンザの抗体を持っている人が少ない状況です。さらに今は再び海外から多くの旅行者が来日しており、ウイルスが持ち込まれる機会も格段に増えています。
実際に日本と季節が反対のオーストラリアでは、2022年4月末(季節は秋)から3年ぶりのインフルエンザ大流行が起こりました。日本でも、新型コロナとの同時流行の可能性は高いと考えられます」
もう一つ、冬の代表的な感染症といえば、ノロウイルス感染症(以降、ノロ)です。ウイルスに汚染された食品や、ウイルスを含む粒子を吸うなどして感染し、1~2日後に嘔吐や腹痛、下痢を引き起こします。ノロも新型コロナ流行以降、感染者数は減少していますが、再流行の可能性もあり、要注意です。
どうしてかかる?どんな症状が出る?冬の三大感染症
新型コロナウイルス感染症
[病原体]
新型コロナウイルス
[感染経路]
飛沫、接触
※飛沫から水分が抜け、より小さくなった粒子(エアロゾル)から感染する可能性も
[おもな症状]
発熱、強い咳、倦怠感、のどの痛み、息切れ、関節痛、味覚や嗅覚の異常・消失など
インフルエンザ
[病原体]
インフルエンザウイルス
[感染経路]
飛沫、接触
[主な症状]
突然の高熱、のどの痛み、咳、鼻水、全身の倦怠感や悪寒、関節痛など
ノロウイルス感染症
[病原体]
ノロウイルス
[感染経路]
経口、接触、飛沫
※乾燥した吐しゃ物等からウイルスを含む小さい粒子が空気中に舞い、それを吸って感染することも(塵埃<じんあい>感染)
[主な症状]
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱など
「ただの風邪」と油断は禁物!冬に活性化するウイルス
冬はヒトコロナウイルスや、RSウイルスによる風邪が流行します。春先にかけては、ヒトメタニューモウイルスも活性化。いずれも気管支炎や肺炎などの合併症を引き起こす可能性があり、70歳以上の高齢者は特に注意。
自己判断は禁物!必ず医療機関で診断を
三大感染症のほかにも、従来のヒトコロナウイルスやRSウイルスなど、風邪症状を起こすウイルスも冬に流行します。症状が出たとき、新型コロナかインフルエンザか、もしくは風邪かは、診察や検査を受けないと判断できません。
「いずれも主に呼吸器からうつる感染症で、症状も発熱やのどの痛み、倦怠感など似通っています。『微熱だからただの風邪』などと自己判断はせず、症状が出たら正しい手順で医療機関にかかりましょう」
急に発熱したらどうする?医療機関のかかり方のキホン
急な発熱があった際、今は「電話で相談・予約をしてからの受診」が原則です。いざというときに慌てないために、症状が出てから受診するまでの基本の流れを確認しましょう!
発熱してから医療機関を受診するまでの流れ
かかりつけ医がいる場合
まず電話でかかりつけ医に相談。そこが診療・検査ができる医療機関であれば、予約を取り診察を受ける
↓
【かかりつけ医で診療・検査が受けられない場合】
診療・検査に対応している医療機関を紹介してもらう
↓
診療・検査が受けられる医療機関に事前予約を入れ、受診する
かかりつけ医がいない(もしくは診療時間外の)場合
自治体の発熱相談センター等の窓口に問い合わせて、診療・検査が受けられる医療機関を紹介してもらう(相談窓口や対応の医療機関は、通常自治体のHPに掲載)
↓
診療・検査が受けられる医療機関に事前予約を入れ、受診する
特に新型コロナ対策にはここがポイント!
【パルスオキシメーターで重症化のリスクを早期発見】
パルスオキシメーターがあると、新型コロナの自宅療養時も安心です。酸素飽和度が95%以上ならひとまずOK。90%以下は救急車を呼ぶなど、対応の判断基準になります。
【抗原検査キットの利用で診察の流れがスムーズに】
65歳未満で持病がない方は、受診前に抗原検査キット(一般用か医療用)の利用がおすすめ。陰性なら発熱外来以外の医療機関で診察が受けられる場合も(事前の予約は必須)
次回から、どの感染症にも共通する基本の対策について詳しく解説していきます。
取材・文=新井理紗(編集部) イラストレーション=高橋マサエ
※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年1月号を再編集しています。
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