菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法

髪のボリューム減の原因は?抜け毛のメカニズムに迫る

公開日:2019.05.15

更新日:2024.03.04

最近抜け毛が増えた気がする……。もしかして病気? 抜け毛の原因が病気か、抜けた毛の毛根を見ると判断の参考にできる、と美容のプロ菅沼薫さん。まずは毛根のイラストを見て、チェックしてみましょう。他にも悩ましい抜け毛・細毛の原因を教わりました。

1日で100本程度も毛が抜けた!これ、大丈夫?

シャンプーしたら抜けた髪がたくさん指に絡みついた、朝起きると枕に髪がついているなど、抜け毛が気になり出すタイミングは人それぞれ。髪がペタンとして、ヘアスタイルが決まらなくなり、抜け毛や薄毛を意識する人も多いようです。ですが、抜け毛が1日に100本程度であれば、それほど心配する必要はありません。

一般的に、大人の女性の髪は10万本程度生えていると言われています。髪には生えてから自然と抜け落ちるヘアサイクルがあって、この10万本には、生えはじめたばかりの髪から、成長期の髪、退行期と呼ばれる伸長しなくなった抜け落ちる前の髪、手ぐし程度の力で抜け落ちる休止期の髪まで、さまざまな種類の髪が混在しています。髪が生えてから抜け落ちるまでのヘアサイクルが1周期5~6年なので、休止期の髪が1日100本程度抜けるのは、計算上不思議なことではないのです。

病気が原因の抜け毛は毛根を見ればわかる!?

1日100本程度なら抜けても問題なしと言われても、実際に多量の抜け毛を見ると、これって病気なのでは? と不安になりますよね。実は私、毛髪診断士の講師資格を取得していて、以前は「健やかな毛髪の育み方」などの指導を行っていました。抜け毛の原因が病気か否か、これは抜けた毛の毛根を見て判断の参考にすることができるので、ご紹介しますね。

病気が原因の抜け毛の場合、毛根に極小さな黒い付着物が見られたり、毛根が萎縮して細くなったりしています。正常な抜け毛である自然脱落毛の場合には見られません。

いい毛根の形と悪い毛根の例

「最近抜け毛が増えたかも?」と思ったら、抜けた毛の毛根をよく観察してみてください。明らかに毎日100本以上抜けていて、抜け毛の毛根に異常が見られるようであれば、皮膚科に相談することをおすすめします。
 

抜け毛には男性・女性ホルモンが影響する

毛根のサイクル

ヘアサイクルは、男性ホルモン、女性ホルモンの影響で乱れが生じます。男女で抜け毛の症状が違うのはこのためです。

男性の場合、男性ホルモンが影響してヘアサイクルの成長期の期間が短くなり、髪が成長しきらない細いままで抜け落ちてしまいます。額や頭頂部など局所的に抜け落ちるのが特徴で、AGA(男性型脱毛症)と呼ばれます。この男性ホルモンの影響は体質的なものなので、高い確率で遺伝すると言われています。男性が「髪の感じが、おじいちゃんやお父さんに似てきた」と感じるのは、気のせいではないのです。

以前は、抜け毛や薄毛の悩みは「恥ずかしいこと」と捉える人が多く、隠れてこっそり治療する人がほとんどでした。でも今は、AGA外来なども増え、気軽に相談しやすい環境になってきています。パートナーが抜け毛で悩んでいたり、将来的に不安というようであれば、皮膚科や専門医に相談してみるとよいでしょう。

一方、50歳を過ぎた女性の過度な抜け毛の多くはFAGA(女性型脱毛症)と呼ばれ、これには更年期が影響しています。女性ホルモンには、成長期の髪を太く長く育てる働きがあります。ですが、更年期を経て女性ホルモンは減少傾向に。その結果、男性ホルモンの働きを抑える力が弱まり、休止期の髪の割合が多くなって、全体的な抜け毛が増えてしまうのです。また、1つの毛穴から髪が3本生えていたのが2本になったり、髪が太く育たず細毛になってしまうのも、髪全体のボリューム感が低下したと感じる原因です。

簡単に言うと、50代を過ぎた女性の抜け毛の原因は、ほとんどの場合がヘアサイクルの乱れ(早まり)によるもの。ターンオーバーの遅れで角質層が剥がれ落ちにくくなり、くすみが生じる肌の悩みとは逆に感じるかもしれませんね。顔のスキンケアでは、ターンオーバーの乱れを整えて肌が健やかな状態に戻していきます。それと同様に、ヘアサイクルの乱れと頭皮環境を整えていけば、抜け毛もケアが可能。次回は、頭皮のスキンケアに必須!女性の育毛剤の選び方についてお話しします。

取材・文=田中優子

※この記事は2019年5月の記事を再編集して掲載しています。

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菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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