相続対策で悩まないための重要なポイントとは?
2021.11.182018年11月25日
素朴な疑問
義父を介護をしていた嫁は、遺産をもらえるの?
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
久しぶりに同級生の女友達たちと顔を合わせると、親の介護の悩みと、夫が定年したらどうしようって話と、子どもたちが結婚しない~って話ばっかり。自分以外のことで困りごとが多いお年頃って、いやになっちゃいますね。
そこで、お義父さんを熱心に介護している友人がぼやいていたのが相続のこと。「こんなにがんばっているんだから、少しぐらい遺産がほしいわ~!」って! まじめな子だから一生懸命で、きっとお義父さんも感謝していると思うのよね。
でもお嫁さんって、お義父さんの遺産ってもらえるのかしら? 専門家に聞いてみよっと。
そこで、川崎ひかり法律事務所の橋本訓幸(はしもと・くにゆき)弁護士に聞いてみました。
橋本さん:亡くなった方(被相続人といいます)の子の配偶者が、被相続人の介護をしていたというケースですね。
この場合、相続の権利があるかという意味では、「ありません」。
が~ん! やっぱりもらえないんですか?
橋本さん:まず被相続人である子(この場合夫)は、相続する資格を有しています(法定相続人といいます)。しかし、その妻は相続する資格がありません。
遺産額に介護をしていたことが何か影響するか、といいますと、法定相続人については「寄与分」という特別な考慮が認められることがありますが、これも法定相続人ではない妻には適用されません。
したがって、被相続人がお嫁さんにあたる、子の配偶者に財産をあげるという遺言書を特別に作成していなければ、直接遺産がもらえるということはありません。ただし、妻の貢献を夫の「寄与分」として考慮してもらえるということはあり得ます。
遺言書ですか……。書いてもらうのは、大変そうですね。でも、遺言書があれば友人が遺産をもらえる可能性もあるし、何なら「寄与分」として夫が遺産を多めにもらえる可能性があるってことなのね? がんばれば報われるってことなんですね。
橋本さん:法律上はそうです。が、残念ながら「寄与分」が家庭裁判所で認められるハードルはそれなりに高いというのが現実です。ざっくりいえば、家庭裁判所は、その人が「がんばったこと」を評価するのではなく、経済的価値を評価していると考えた方がいいと思います。
例えば介護の関係では、外部のヘルパーさんなどを雇わずに済んだから、このぐらいの額が浮きましたというのが1つの形です。
ちなみに法改正が行われて、2022年春頃から、親族が相続人に金銭を請求できる権利が認められる、ともいわれています。しかし、実際の運用がどうなるか現時点ではまだわかりませんし、家裁の実務が極端に変わるということでもないのではないかと思います。
先生がわからないなら、私にもわからないわ! とりあえず、お嫁さんががんばって介護しているなら、夫は親に遺言書に一筆くださいって頭下げなさいよってことですね。お友達に教えます。ありがとうございました。
【監修】
川崎ひかり法律事務所 橋本訓幸(はしもと・くにゆき)弁護士
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