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保険に入っていますか? 入ってしまえば安心ではなく、実は「7つ」のライフステージごとに見直しが大切なんです! 人生100年時代、ライフプランによって必要な保障額は変わります。見直しのコツや、相談先と注意点を見ていきましょう。
執筆者プロフィール
竹下さくらさん
特定の金融機関に属さない独立系のなごみFP事務所を運営。個人のコンサルティングを柱に、セミナー講師や執筆活動も行う。千葉商科大学大学院客員教授、東京都中高年勤労者福祉推進員。近著に「1時間でわかる やれば得する! 保険の見直し 100の鉄則」(技術評論社刊)。
人生100年時代、保険の見直しが必要な理由
生命保険は、自分がもしも亡くなったときに、家族が困らなくて済む額で契約するのが大事です。もちろん、10億円などたっぷり入っておけばいざというとき安心かもしれませんが、保険料負担が高すぎて日々の家計が回りません。
人生100年時代といわれる現在、長生きするのが普通と考えると、若くして亡くなるのは少数派です。その少数派になってしまったときに備えて入るのが生命保険なので、そんな“万が一”のことのために大切なお金をつぎ込みすぎるのは避けたいところです。
保険の見直し額は「必要保障額」で考える
そのため、編み出されたのが「必要保障額」という考え方です。もしも今すぐ亡くなったら、今後のライフプランで不足する額(必要保障額)を計算して、それをもとに生命保険に入れば合理的ですね。
具体的には、国からの遺族年金や勤め先からの死亡退職金などの【今後の収入】から、生活費や教育費などの【今後の支出】を差し引いて、支出の方が多い場合に、その不足額分の生命保険に入ります。
けれども、いったん契約した生命保険は、入った後も、折を見て見直すのが合理的です。というのは、必要保障額はライフプランに応じて変動するものだからです。
服に例えると体の成長に合わせて裾入れ丈出しをするように、保険も家族に必要な保障額に合わせてメンテナンスすれば、ダブつかずジャストフィットします。
保険の見直しに適した7つのタイミングとは
生命保険は残された家族に必要な額を渡すために入るものなので、残されることになる家族目線で考えるのがおすすめです。以下では、社会人としてスタートした時点から振り返り、シニアになるまでのライフプランの変わり目と必要保障額の考え方について見てみましょう。
【ライフステージ1:就職したとき】
親から独り立ちしたので、ここから先は当人自身で生命保険の必要性を考え、必要なら入っていく視点が重要です。
意外と知らない人も多いのですが、親は子どもに保険をかけていることが多いものです。生まれたタイミングなどに、けがや病気の治療費に備えたり、まさかの死亡時に備えたプランに契約しています。その保障が切れるのが、子どもが社会人になったときという事情もあります。
とはいえ、まだ若く独身で、当人自身が亡くなったとき、経済的に困る人がいないのが一般的なので、基本的には生命保険は不要です。
ただし、奨学金を借りている人はその額で親を受取人にして入っておくのがおすすめです。奨学金は借りているご自身が亡くなっても免除にならないことが多く、連帯保証人となった親に請求が行くためです。また、親に仕送りしている人も、その額を見積って生命保険に入っておくと安心です。
【ライフステージ2:結婚したとき】
結婚して養うべき家族ができると、生命保険の出番です。「我が家は共働きだから、自分が亡くなっても一人で食べていけるよ」という人もいますが、子どもを育てる計画がある場合は、夫は少なくとも保険金額2000万円程度は入っておくと安心です。
妻が子どもを身ごもっているときに夫に何かあると、妻はそれまでのようにフルタイムで働くことはまず無理になります。というのは、子どもを保育園に預けるにしても送り迎えのために時短勤務が避けられないからです。そして、子どもの教育費、生活費なども、妻一人の収入から捻出するのは、とても大変です。
【ライフステージ3:妊娠・子どもが生まれたとき】
生命保険の保険金額が、ライフプラン上、最も高額になるのがこのタイミングです。少なくとも2000万円、多い場合には1億円といった高額なプランを多く見かけます。
というのは、親に“もしも”のことがあると、子どもの教育費と生活費だけでもけっこうな額になるからです。教育費でいえば、小学校・中学校・高校・大学の分を確保できるように、子ども1人につき最低でも1000万円はプラス・オンされるイメージです。私立に進学するプランでは2000万円、医学部をはじめとした理系への進学が予定されていると大学は4年ではなく6年で見積ることになるため、さらに跳ね上がります。
けれども、その高額な必要保障額は、ずっと続くわけではありません。子どもの独立に向けて、年々逓減していくからです。例えば、子どもが中学生になっていれば、子どもの必要な額としては高校・大学の分だけでいいことになります。
つまり、子どもが生まれたタイミングの必要保障額よりも、中学生の段階では少額で減額して大丈夫ということに。子どもが生まれたタイミングで入ったままの生命保険は、子どもの成長につれて見直しをしないともったいないと言えそうです。
【ライフステージ4:マイホームを購入したとき】
住宅ローンを組んで家を買うと、生命保険の必要保障額は数千万円単位で少なくなります。つまり、マイホームを購入したタイミングで生命保険を見直せば、大幅な生命保険料カットができるのです。
その理由は、住宅ローンを組む際に入る団体信用生命保険にあります。この保険は、ローン返済中に死亡すると、生命保険でローン残債を完済するしくみの保険で、ほとんどの金融機関で加入が求められます。もしもの死亡時に、家は残っても住宅ローンは残らず安心です。
生命保険の必要保障額はその時点での【今後の収入】から【今後の支出】を差し引いて求めますが、家を買うと、【今後の支出】のうち住居費の大半が団体信用生命保険で肩代わりされることになるため、賃貸生活で今後の家賃を積み上げて計算する場合に比べて大幅に減額できるわけなのです。
浮いた生命保険料は、大切な家の保険(火災保険や地震保険)を充実させたり、働けなくなったときに備える保険(就業不能保険や所得補償保険)を検討する際の軍資金にできます。
【ライフステージ5:自営業になったとき】
会社員や公務員だった人が、退職して自営業になったときは、要注意です。それまでは「国民年金」と「厚生年金保険」の2階建てだった公的保障が、自営業になると「国民年金」だけになってしまうからです。つまり、必要保障額を算出する際の【今後の収入】が大幅ダウンします。
また、事業に関して借入れをしている場合には【今後の支出】が増えます。結果として必要保障額が増えることに。その差、数千万円にものぼります。きちんと必要保障額を計算しなおして、生命保険を手厚くしておくことが大切です。
【ライフステージ6:子どもが独立したとき】
子どもが独立すると、生命保険で備えるべき額は大幅に少なくなります。200万円~500万円程度というケースが一般的で、貯蓄があれば生命保険がゼロでもOKに。
その理由は、もしものときに必要となる子どもの教育費や生活費がかからなくなるからです。入ったままでムダな保険料を払い続けることなく、不要となった保障は整理するのが得策です。
【ライフステージ7:保険が満期・更新を迎えたとき】
定期保険や養老保険、収入保障保険など一定期間だけ保障するタイプの生命保険に入っている人は、満期や更新時に、一度立ち止まって保険の現状確認をするのがおすすめです。
例えば、想定外に大学院進学や留学などで子どもの教育費がかかる期間が長引いているケースも増えています。更新して続けるかどうかも再確認するといいでしょう。
この他、保険料の負担を重く感じたときも保険の見直しの好機です。保障の優先順位や必要性を精査し、我が家に必要な保険を再確認してみてはいかがでしょうか。
保険の見直しをする手順と注意点、相談先は?
保険を見直したいと思ったら、実は「相談先」は大事です。現在契約中の保険を減額するなら保険証券に記載の担当者に相談すればいいのですが、他社の保険に切り替えるという選択肢は用意されていません。
全く新しい保険に入り直したいなら保険ショップや銀行の窓口販売が便利ですが、あくまで新たに保険に入ってもらうことで受け取る代理店収入をもとに無料相談を展開しているので、今の保険を生かした見直しやネット保険・共済商品も視野に入れた提案はまず受けられなさそうです。
今の保険を生かすのか新しい保険に入り直すのかの判断がつかないなら、ファイナンシャル・プランナーに相談する手もあります。
相談した結果、新しい保険に切り替える際には、“保障切れ”にならないように十分留意してください。先に今の保険をやめてから新しい保険を検討して契約する流れの場合、健康状態が悪いなどの理由で新しい保険への加入が断られると、保障の空白期間が生じます。そのタイミングで万一のことがあると、悔やんでも悔やみきれません。
確実なのは、新しい保険への加入がOKになってから、今の保険を解約することです。保険料が二重にダブってしまいますが、保障切れを回避できます。
保険料払込猶予期間(月払い契約なら翌月末日まで保険料の支払いを猶予できる制度)をうまく使って、今の保険の保険料が引き落とされないようにした上で、新しい保険の申込み手続きをする手もありますが、保険初心者には難易度が高いので注意が必要です。
コロナ禍で収入が減ったご家庭もあるのではないでしょうか。食費や余暇費を削ると心のゆとりが減りますが、固定費である保険なら一度の見直しで節約効果をずっと維持できます。家計の見直しの視点からも、生命保険の見直しは効果絶大。ぜひ試してみてください。
※この記事は2021年2月の記事を再編集して掲載しています。
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