ソレ使いすぎ!親から子へのダメな経済援助を見直そう
2024.08.082023年08月18日
アンケートでわかった!親子のお金事情
親からの生活費援助はありがた迷惑?メリハリ援助を
せっかく帰省してきてくれたから、お小遣いや交通費を渡している。そんな家庭も多いのではないでしょうか。学生を除く子ども世代400人にアンケートをとった結果、もらって「当たり前」、「迷惑」という答えが続出!親子のお金事情を見ていきましょう。
監修者プロフィール 畠中雅子さん
はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー(CFP®)。『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。
親からの援助「もらって当たり前」「迷惑」という声も!
「ハルメク 生きかた上手研究所」が親から受ける援助に関するアンケートを行った結果、約7割の子どもたちが何かしらのお金やものをもらっていることが判明!
しかし、親からもらっている援助への印象を聞いてみると、もらうのは「当たり前」という意見や、意外にも「迷惑」に感じているという答えが続出しました。
18項目について、もらったお金・ものの金額、もらったときの印象を「ありがたい」「当たり前」「迷惑だった」という選択肢で答えてもらい、「ありがたい」が少なかった順に並べてみたものが次の結果です。
第1位は「光熱費」。2割の人がありがたいと思わずに受け取っていたことがわかりました。逆に最下位の「高校・大学の入学・卒業祝い」は全員が「ありがたい」と回答しました。
ありがたさが低い援助ランキング
1位 光熱費
2位 買って(送って)きた食材
3位 帰省時の交通費
4位 外食代
5位 旅行代
6位 孫のおもちゃ
6位 孫の洋服
8位 孫のお年玉
9位 小遣い
10位 孫の小遣い
10位 住宅取得費
12位 小学校の入学・卒業祝い
13位 出産祝い
14位 結婚祝い
14位 中学校の入学・卒業祝い
16位 七五三
17位 高校の入学・卒業祝い
17位 大学の入学・卒業祝い
“なあなあ援助”はNG!年間18万もの負担に
子どもに喜んでほしくて親は援助するのに、なぜ「ありがたい」と思ってもらえないのでしょう?
わかりやすくするために、使用用途にあわせて上記18項目を下記の3つに分類した上で、ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんに解説してもらいましょう。
- なあなあ援助:「光熱費」「食材費」「外食費」「小遣い」など、子どもの日常的な支払いを負担するもの
- つどつど援助:「おもちゃ」「洋服」「お年玉」など孫へあげるもの
- メリハリ援助:「出産祝い」「孫の入学祝い」など人生の節目のお祝い金など
「“なあなあ援助”はワーストランキング上位(=迷惑)で、大きな金額の“メリハリ援助”は下位(=ありがたい)。“つどつど援助”はその中間に。わかりやすく分かれましたね」
ありがたさが低い“なあなあ援助”ですが、「未婚で子どもなし(以下未婚)」層がもらう援助の年間総額は、17万6,000円にもなります。
「たとえ子どもが40代でも、未婚であれば、自分は保護者だという意識が強いのでしょう」と畠中さん。
たとえ一回ずつが少額であっても、ちりも積もれば……。子どもの「ありがた迷惑」になるだけでなく、気付かないうちに親の家計にも影響するので、要注意です!
また、親との同居率が高い「未婚」層は、「光熱費」「食材費」を親が負担しているため金額が上がりがちですが、注目すべきは「小遣い」の8万7000円。
学生を卒業し、成人しても「未婚」層への“なあなあ援助”が手厚いことがよくわかる結果といえます。
金額が大きいお祝い金・毎年あげるお年玉は金額に注意!
今回の調査で金額に大きな幅があったのは、“メリハリ援助”でした。もらった金額(最低額~最高額)は、「住宅取得費」で1万円~2000万円、「結婚祝い」で5000円~500万円、「出産祝い」で2000円~100万円。
また、孫の入学・卒業祝いについては、小学校で5000円~20万円、中学校で3000円~20万円、高校で1万円~10万円、大学で3000円~50万円という結果でした。
“メリハリ援助”の中でも、結婚祝いは金額が大きくなりがちなので、要注意!
「結婚祝いは一律500万円などと決めている人もいますが、お財布事情は人それぞれ。自分に合った額に設定を」と畠中さんは言います。
また、多くの親が贈る印象が強い「出産祝い」も、実際にもらっていた子どもは6割程度。「あげて当然」「金額は〇〇円」と決めて援助する人が多いですが、あなたと子どものお財布事情、そして親子の関係性を考えて援助しましょう。
“つどつど援助”で金額に注意が必要なのが「お年玉」。孫の年齢とともに額を上げるという人もいると思いますが、実は全年齢層で回答が多かった金額は1万円。よく考えずに、切りのいい額にしていませんか?
ちょっとした金額に思えても、5年、10年と積み重ねていくと、大きな金額になってしまいます。お祝い金や毎年あげるお年玉は、子どもとの関係性や年齢を考慮して、適切な金額を贈るように注意しましょう。
※「ハルメク 生きかた上手研究所」調べ。2017年11月下旬、全国400人にオンラインアンケートを実施。
調査対象:65歳以上の実親がいる男性211人、女性189人
年齢分布:45歳以上37%、40~44歳35%、35~39歳18.8%、35歳未満9.2%
職業分布:フルタイム58.5%、パートタイムやアルバイト・派遣など14%、自営や農業など6%、無職(専業主婦を含む)21.5%
親との同居状況:同居している33%、同居していない67%
取材・文=井口桂介、竹上久恵(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2018年2月号に掲載した記事を再編集しています。