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- 確定申告で医療費を取り戻す!まずは出費をチェック
「私には関係ない?」「難しそう」と確定申告に苦手意識はありませんか。払い過ぎた税金を取り戻せることが多く、手続きも意外に簡単です。控除の種類や対象を理解すれば、払い過ぎた税金も取り戻せます。まずは医療費控除からチェックしましょう。
教えてくれた人:岡本匡史(おかもと・まさし)さん
岡本匡史税理士事務所代表。『知らないと損をする! 年金生活者 定年退職者のためのかんたん確定申告』(扶桑社刊)を監修している。
年金生活こそ確定申告をできるものをチェックしよう
確定申告とは、年間収入を確定させ、納税額を決める手続きのこと。年金生活だと「関係ない」と思いがちですが、税理士の岡本匡史さんはこう話します。
「公的年金などの収入が400万円以下であれば基本的に確定申告の必要はありません。しかし医療費や保険料、寄附等にお金を使った場合、その分を収入から差し引く『控除』という仕組みを利用できます。控除を申告することで、払い過ぎた税金を取り戻せることも多いのです」
控除の種類はさまざまですが、中でも当てはまる人が多いのが医療費控除です。病院でかかったお金以外でも医療費と認められる項目が多いので、一度チェックを。面倒そうな申告方法も意外に簡単です。苦手意識を克服して、しっかり取り戻しましょう。
使った医療費で税金が戻る目安は?
税金が戻る目安は「医療費が年間10万円超」ですが、それに満たなくても可能性はあります。
医療費控除とは、病気やケガの治療で支払った金額が、年間10万円を超えている場合に申告できる制度です。
ただし年間の総所得金額等が200万円未満の場合は、医療費が所得の5%(例えば総所得金額等が150万円の場合は7万5000円)を超えていれば申告することができます。
家族の医療費も合算して申告できる
自分にかかった医療費に加えて、生計を共にする家族の分も合算して申告できます。
同居は必須条件ではなく、離れて暮らす親や子どもに生活費を仕送りしている場合は、その家族の分の医療費も合算することができます。また申告するときは、家族で最も所得の高い人が行うと、取り戻せる金額が大きくなります。
病院の窓口支払い以外でも申告できる
申告できるのは病院でかかった診察代や薬代だけではありません。通院にかかった交通費や、治療のために通ったマッサージ代、医師の指示のもとで購入した補聴器の代金なども、医療費控除の対象になります。
ポイントは、予防や美容目的ではなく、治療するための出費かどうか。高額になることが多いインプラントなどの歯科治療も対象になります。
意外に多い!医療費控除の対象になるもの
- 医師に支払った診察費や治療費
- 治療のために購入した医薬品
- 虫歯の治療、入れ歯、インプラントの代金
- 治療のためのマッサージや鍼灸代
- 治療のための松葉杖や補聴器の代金
- 医師の治療を受け、6か月以上寝たきりの人のオムツ代(一定の証明書が必要)
- 通院や入院のための交通費(公共交通機関の運賃)
- 入院時の部屋代や食事代 など
対象とならないもの
- 予防接種、人間ドック、健康診断
- 美容目的の歯列矯正やホワイトニング
- 近視や乱視用のメガネ、コンタクトレンズ
- 自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金
- 疲労回復のためのマッサージや鍼灸代
- 医師の診断を受けずに購入した老齢者用補聴器 など
市販品の医薬品も医療費控除の対象になる
「セルフメディケーション税制」は少額の医療費でも対象になる制度。市販されているOTC医薬品(商品に付いている下のマークが目印)を、年間で1万2000円を超えて購入している場合に申告できます。
生計を共にする家族の分を合算でき、申告者本人が健康診断や予防接種などを受けていることが条件になります。医療費控除とセルフメディケーション税制は、いずれか一方しか申告できません。
過去5年分までさかのぼって申告できる
申告期限の3月15日を過ぎていても、実は大丈夫。過去5年分までさかのぼって申告できます。
例えば令和4年分の確定申告の受付は3月15日までとされていますが、実はこれは税金を追加で納める必要がある場合(納付)の申告期限。
払い過ぎた税金を取り戻すため(還付)の申告は3月15日を過ぎても問題なく、しかも5年前までさかのぼって申告できます。過去の医療費の領収書をチェックしてみましょう。
次回は、確定申告の申告方法について詳しく解説します。
取材・文=田島良子(編集部) イラストレーション=富田マリー
※この記事は、雑誌「ハルメク」2023年3月号を再編集しています。
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