ブーケの花は生け方を変えれば長持ち&5倍楽しめる!
2023.09.242023年09月22日
プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック
秋も旬!「バラ」の切り花を長く楽しむ飾り方
秋にも旬を迎えるバラ。切り花を最後まで楽しむテクニックをご紹介!「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の連載で、スタイリングを手掛ける谷中直子さんに季節の花の飾り方を伺います。
バラはどんな植物?
バラは古来より世界各国で愛され、花の女王と呼ばれる花です。毎年、新たな品種のバラが生み出されており、現在約2万品種以上(諸説あります)が存在しています。西洋諸国の花と思われがちですが、日本では野生のノイバラを詠んだ歌が万葉集に残されているなど、長い歴史があります。
バラ全体の花言葉は「愛」「美」「I love you」「love」「beauty」「passion(情熱)」「romance(ロマンス)」などです。
- 出回り時期:通年
- 開花時期:5月中旬~6月上旬(主な開花期)、6月中旬~11月(品種によって適時開花)
- 香り:品種によって異なる
- 学名:Rosa
- 分類:バラ科バラ属
- 和名:薔薇(そうび/しょうび)
- 英名:Rose
- 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
バラの切り花のお手入れ方法
今回使用するのは、枝が分かれた先にいくつかの小ぶりな花が付くスプレー咲きのタイプ
谷中「バラって繊細でお手入れが面倒そう……そういったお客様の声をたくさん聞きます。確かに目立つ花なので、首が垂れてしんなりしてしまうイメージが強いかもしれません。本当はそんなことはないんです。
今回使っているスプレータイプのバラは、元気がなくなったとしても花がいくつも付いているため、痛みが目立ちにくいのでおすすめです」
バラは想像以上に丈夫な花です。買ってきたら、余分な葉を落とすと葉から水分が蒸発するのが防げます。さらに、水の中に葉が入らないように、下の葉は必ず取り除きましょう。
切り口はなるべくよく切れるハサミで斜めにカットすると、より水を吸う面積が広がり、水揚げがよくなります。
バラの花の飾り方:広がりを出すようにふんわり生ける
谷中:「今回使用した品種は『グリーンアイス』です。一本でも美しく枝分かれしているスプレー咲きと呼ばれるタイプのバラなので、スタイリングも楽ちんです。数本まとめて生けるだけで、まるでブーケのような美しさに!
お花を生け慣れていないと、花瓶の中で立たせようとがんばりがちですが、ふんわり広がりを出すように横向きの顔も意識すれば、どこから見ても素敵な花あしらいが出来上がります」
まずはバラだけで飾ってみると花の表情が際立ちます。開花した花が美しいのはもちろんですが、蕾(つぼみ)や葉も美しいので、バラを丸ごと楽しめる、1品種だけの花生けを楽しんでみてください。
バラの花の飾り方:枝ものを足して華やかに
谷中:「バラだけの花あしらいを堪能した後は、秋の気配を感じる、枝ものや実ものを足してみましょう。
最初にくすんだブルーの『秋色アジサイ』を生けて、そこにからめるようにバラを入れていきます。さらに赤く色づいた『野イバラの実』と、風車のような『クレマチスシード』そして霜の降りたような質感の『ロシアンオリーブ』を合わせました」
少しだけでも赤い実ものを入れると温かみのある雰囲気に。赤い実ものを加えず、ロシアンオリーブのようなシルバーリーフだけを合わせれば、とてもスタイリッシュな花あしらいになります。
バラの花の飾り方:お皿に並べて最後の一輪も楽しむ
「楽しみ尽くしていよいよ花に元気がなくなってきても、まだ楽しめます! 捨ててしまってはもったいない……。最後はバラを花首から切って、お皿にうすく張った水に浮かべてみてください。元気を取り戻してうれしくなりますよ。拾った落ち葉も添えて、晩秋の花あしらいの出来上がりです!」
お手持ちの食器も素敵な花あしらいの器になります。今回は白いバラを使ったので、コントラストが出るダークな色合いの器だと、より花が映えます。
写真のように同じデザインでサイズが違うお皿であれば、まとまり感で出ますが、すべて色柄が違うお皿を組み合わせるのも楽しいですね。
文=石川恵子(第一園芸・花毎)
花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。花毎の書籍に『 花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)
※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作、2022年10月WEB公開した記事を再編集しています。