四国バースデイきっぷを使ったお得旅(後編)

高知で乾杯&観光列車「四国まんなか千年ものがたり」

2020/02/20

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大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、気軽に行ける1泊2日の女性一人旅をご紹介。「四国バースデイきっぷ」をお得に使いこなして四国旅。高知に移動してから観光列車「四国まんなか千年ものがたり」に乗ります。

かつおたたき弁当

高知は夜でも熱い!飲みに行きます

すっかり暗くなった松山を後にして、特急で高知に向かっています。

みどりの窓口で、あらかじめ用意しておいた「バースデイきっぷ」を見せれば、その場で指定券・グリーン券を発行してもらえます。もちろん追加料金はいりません。空いていれば直前でも、発券後に変更もできます。途中の多度津駅で別の特急に乗り換え、ようやく高知駅に到着しました。

夜中でも大賑わいの餃子の安兵衛本店
夜中でも大賑わいの餃子の安兵衛本店

すでに23時。高知まで4時間半かかりました。途中、松山駅で買った駅弁をつまみましたが、四国の特急はかなり揺れるので、少々酔ってしまいました。しかし高知に来たら、まずは飲まなくては……。酔っているのに酔いたくなるというこの心境。というわけで、大好きな餃子の安兵衛へやってきました。こちら朝4時までやっています。

安兵衛の餃子
安兵衛の餃子


口当たりの軽い餃子は、いくらでも食べられてしまいます。そしてビールが実においしい。ラーメンもオススメですが、この後行くところがあるので餃子だけでやめておきました。

大丸の前に屋台を出す和楽路屋のうどん。営業は午前2時くらいまで

高知に来たのは、おそらく7回目。勝手知ったる街、歩いて帯屋町壱番街商店街の大丸前に屋台を出しているうどん屋「和楽路屋」さんへ。〆のうどんをいただきます。こちらの店主さん、実は高知でできた友人なのです。高知に来る際は、必ず寄っています。

和楽路屋の主人、山口徹さん
和楽路屋の主人、山口徹さん

「よう来てくれたね〜!」と笑顔で迎えてくれた主人の山口さんは、実は二足歩行ロボット製作におけるすごい人。私も、ロボスタというサイトで4コマ漫画「ロボクン」を連載していることもあり、ロボット好きでつながったご縁です。こちらの屋台は山口さんの手作りで、左手前に組み込まれた機械は、ご自分で作られた「自動コップ洗浄機」。時々失敗してコップが転げて割れることもありますが、そこはご愛嬌。山口さんの人柄にひかれ、全国各地からファンが訪れます。
 

高知の朝は日曜市と、酒飲みのための巨大フードコートへ!

日曜市
日曜市

さすがに疲れたので、ホテルで爆睡……したかったのですが、翌朝は日曜市に行くため早起きをします。毎週日曜日の朝5時半から、追手筋で全長1㎞にわたり約400軒が並ぶ日曜市。300年以上の歴史があり、高知の野菜や果物、おばあたちが作ったお惣菜、金物や植木など、さまざまなものが並んでいます。

田舎寿司
田舎寿司

私の目当てはもちろん食べ物、まずは田舎寿司です。以前日曜市で秋に買った四方竹のお寿司が絶品でした。通常の田舎寿司は、いろいろな味が楽しめる、素朴なお寿司です。

 

冷やしあめ)(8-2写真・いも天)
(左)冷やしあめ、(右)イモ天

他にもたいてい買うのがこちら、冷やしあめとイモ天。冷やしあめは生姜汁をしぼり、何時間も釜炊きして、甘みを加えた飲み物。これを飲めば風邪気味でもすぐ治りそう。イモフライは甘めの衣を付けて揚げたジャガイモで、衣はサクサク、中はホックホク。これらを食べ歩きしながら、ブラブラと市を歩きます。

10時頃のひろめ市場内。すでに満員
10時頃のひろめ市場内。すでに満員

日曜市をそのまま行くと、ひろめ市場に到着します。高知に滞在する際は、ほぼ毎日通うひろめ市場。

場内のあちらこちらで見られる「たっすいがは、いかん!」という垂れ幕は、「薄いのは、ダメだ!」という意味。実はキリンビールとの逸話があるのです。興味ある方はぜひ調べてみてください。朝からここで大勢の人がお酒を飲んでいる、という高知の県民性が私は大好きです。

セルフで取っていくお惣菜。会計は店ごとに
セルフで取っていくお惣菜。会計は店ごとに

ひろめ市場は酒飲みのための巨大フードコート、と言えばわかりやすいでしょうか。と言えばわかりやすいでしょうか。すべてセルフサービスで、自分でご飯やお惣菜、お酒を買って、好きな場所に座って飲み食いします。隣に座った人と仲良くなることも。定食などもあり、学生さんも利用しています。

わら焼き鰹たたきの明神丸)(11-2写真・塩たたきと青さのりの天ぷら
(左)わら焼き鰹たたきの明神丸(右)塩たたきと青さのりの天ぷら

高知と言ったら鰹。まずはいつも食べている、わら焼き鰹たたきを買うため、明神丸に並びました。すごい炎が上がる中、鰹の大きな切り身が目の前で次々と炙られていきます。分厚く切られた鰹は臭みも全くなく新鮮。青さの天ぷらも、香りが濃くておいしいです。
他にもカレーやパスタ、アイスやお土産などさまざまなものが売られています。

・いたる所にやなせたかし先生のキャラクター)(12-2写真・市内電車も走る) 高
(左)いたる所にやなせたかし先生のキャラクター(右)市内電車も走る

高知でもっとのんびりしたいのですが、もう出発の時間です。面白い観光スポットがたくさんあるので、いずれまたじっくりご紹介したいと思います。

観光列車「四国まんなか千年ものがたり」にいよいよ乗車!

新型車両の2700系
新型車両の2700系


高知駅で夕飯用に予約した駅弁を受け取り、徳島県の大歩危駅に向かいます。乗るのは2019年にデビューしたばかりの2700系車両。こちらのグリーン券は事前に取っておきました。駅弁は同じくこのホーム、1・2番線奥の売店で売られています。予約しておいた方が確実です。

一番人気はなんといっても、冒頭のイラストで紹介した「かつおたたき弁当」です。

大歩危駅に停車中の「四国まんなか千年ものがたり」
大歩危駅に停車中の「四国まんなか千年ものがたり」

大歩危駅に到着すると、すでにホームには「四国まんなか千年ものがたり」が停車していました。こちらがこれから乗る観光列車です。これもバースデイきっぷで乗車できます。
ちなみに大歩危駅から先は、徳島県です。

1号車 春萌(はるあかり)の章
1号車 春萌(はるあかり)の章
2号車 夏清(なつずがし)の章/冬清(ふゆすがし)の章
2号車 夏清(なつずがし)の章/冬清(ふゆすがし)の章
2号車 夏清(なつずがし)の章/冬清(ふゆすがし)の章
3号車 秋彩(あきみのり)の章

列車は3両編成で、それぞれの車両でテーマが違います。多度津—大歩危区間を1日1往復、2便が運行されています。1便は「そらの郷紀行」、私が乗る2便(大歩危—多度津行き)は「しあわせの郷紀行」と名付けられています。行き帰りで停車する駅が多少違います。

ぼけあげは地元のゆず酢で食べる
ぼけあげは地元のゆず酢で食べる

出発までまだ時間があったので、駅前にある歩危マート2号店でコーヒーを飲むことにしました。店内ではおそばやうどんも食べられます。岡山からわざわざこちらの名物「祖谷蕎麦」を食べに来る方も。今は食べられないなあ、と諦めていたら、目の前の方が名物の「ぼけあげ」を勧めてくださいました。ありがとうございます……では遠慮なく、パクリ。

ほら貝を吹いてお見送りしてくださる山口由紀子さん
ほら貝を吹いてお見送りしてくださる山口由紀子さん

この「歩危マート」を経営されている山口由紀子さんやお客さんたちとお話ししていたら、あっという間に出発時間。駅に戻って列車に乗り込むと、みなさんがお見送りに来てくださいました。今度はおそばを食べに来ますね。

 

私の席はカウンター1番前) (18-2写真・私の席から見た景色
(左)私の席はカウンター1番前(右)私の席から見た景色


静かに走り出した「四国まんなか千年ものがたり」は、窓が大きくて景色がよく見えます。そして私の席から左を向けば、進行方向の景色もすべて見渡せます。すごい、特等席です。

・道の駅大歩危 妖怪屋敷からお見送り) (19-2写真・ゆったり流れる吉野川
(左)道の駅大歩危。妖怪屋敷からお見送り(右)ゆったり流れる吉野川

列車は美しい吉野川沿いを走っていきます。時々、遊覧船も見かけました。大歩危も観光名所や温泉がいろいろとあります。そして妖怪伝説が数多く残る地なのです。

駅舎自体がたぬきになっている阿波川口駅
駅舎自体がたぬきになっている阿波川口駅

最初の停車駅は阿波川口駅。さまざまな妖怪がにぎやかに出迎えてくれました。列車が走っているときも、田んぼから大勢のかかしと共に手を振る人、車で列車を追いかけながら横断幕を掲げてくれる一家など、たくさんお見送りをしていただきました。

車内では、目にもおいしい料理とお酒をいただきます

2便での食事「おとなの遊山箱」
2便での食事「おとなの遊山箱」

今回予約した食事は、日本料理 味匠藤本の料理長提供の、地元食材にこだわった「おとなの遊山箱」。出された重箱のふたを上にスライドさせると、中から三段箱が。1つずつ取り出す楽しみもあります。温かい汁物もうれしい。この他に、お茶、フェアウェルサービス、コーヒーが付いてきます。食事は1、2便でメニューも値段も違います。

「飲み比べセット」は人間国宝の方製作の香川漆器を使用
「飲み比べセット」は人間国宝の方製作の香川漆器を使用

このメニューなら日本酒か……ここはやはりお酒を頼まずに入られません。「飲み比べセット」は香川と徳島の日本酒8種のうち3種と、おつまみが2品付きます。

お酒の入っている器の形がそれぞれ違っていて、かわいいな……くらいに思っていたのですが、なんとこの器、人間国宝 山下義人(やました・よしと)先生による香川漆器だそう。たいそう高級なものでした。千年ものがたりの車両カラー緑、青、赤、白のラインが引かれていて、真珠があしらわれています。うっかり手を滑らせたりしないよう、丁寧にいただきました。

吉野川に乾杯
吉野川に乾杯

ちなみに「伊予灘ものがたり」同様、こちらの列車も食事を予約しなくても、車内でお酒や軽食が注文できます。車内全体の造りが落ち着いた雰囲気のためか、伊予灘ものがたりより乗客の年齢層が少し高めに感じました。

秘境駅ランキング6位の坪尻駅
秘境駅ランキング6位の坪尻駅

阿波池田駅でもしばし停車した後、谷底にある駅、坪尻駅へ。降りてみるとわかりますが、周りに道路がまったくありません。上を走る国道に出るには、山道を15分登らないとなりません。

手前の線路は行き止まり。ここから一度バックして右上の線路に入る


この駅で列車はスイッチバックします。スイッチバックとは、急な斜面を登る(降りる)ために、ジグザグに敷かれた線路のこと。なので、列車は一度バックして、ある程度登ったところで、再び進行方向に向かって走っていきます。

新しくなった琴平駅で約20分停車)(26-2写真・専用ラウンジでいただくフェアウェルサービス
(左)新しくなった琴平駅で約20分停車(右)専用ラウンジでいただくフェアウェルサービス

讃岐財田駅から香川県に入ります。駅舎が新しくなってからの琴平駅は初めて。こちらの「四国まんなか千年ものがたり」専用ラウンジで、フェアウェルサービスのアイスクリームをいただきました。そのままこの駅で降りて帰る方も結構いました。

(左)多度津駅)(右)アテンダントさんたちからのバースデーカード
(左)多度津駅(右)アテンダントさんたちからのバースデーカード

そして終点、多度津。今日の旅は終了です。そしてこちらでも、バースデーカードをいただきました。記念となる、いい誕生日になりました。

今回は、観光列車だけで四国4県を回ったことになります。バースデイきっぷは3日間使えるので、あと1日分のんびりと使います。ちなみに「伊予灘ものがたり」も「四国まんなか千年ものがたり」も、行楽シーズンは金曜日に運行されることも多いので、今回の2日間に盛り込んだ行程を、3日にすれば余裕がでます。ただし、その時期はきっぷの争いも熾烈。

どうしても観光列車に乗りたい場合は、バースデイきっぷを諦めて、旅行会社のツアーに申し込むのも手かもしれません。

四国まんなか千年ものがたりの地図
2日めのルートはこちら!

この2日間の列車の料金をまともに計算すると、合計2万7980円。でも四国バースデーきっぷを使ったので、実際に払ったのは1万3240円。相当おトクになりました!

 

☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。


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YASCORN

駅弁・駅そばが好きな鉄道好き漫画家&文筆家。温泉ソムリエ。児童誌から鉄道誌まで幅広く活動中。著書に「おんな鉄道ひとり旅」(小学館・プチコミック増刊で連載中)、「メシ鉄!!!」電子書籍1〜3巻(集英社)他。「鉄道漫遊記」を東洋経済オンラインで連載中。HP: yascorn.com

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