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- 広島原爆投下から75年。広島記念公園を訪れました
広島市在住のとし古さん。広島に原爆が投下されてから75年の節目に、広島記念公園を訪れ、祈りを捧げました。戦争の記憶が薄くなっていっている今、忘れてはならないという思いを、とし古さんが伝えてくれました。
広島に原爆が投下されてからの歴史
毎年8月が近づくと、広島は「祈りの町」になります。「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ヒバクシャ」と、かつて国連で発せられた有名なフレーズが市民の声として再認識されるのです。劣化の激しい被爆建物旧陸軍の被服支廠(ししょう)の保存問題が近年クローズアップされ、NHKでも被爆建物の紹介番組がありました。たくさんの被爆建物が今も国や県、市、そして市民たちに守られているのです。中でも最も象徴的なのは、1996年に世界文化遺産に登録された「原爆ドーム」です。
1945年8月6日8時15分に原子爆弾が投下されました。1949年、「広島平和記念都市建設法」が国会で制定され、1954年4月1日、「広島平和記念公園」が完成・開園しました。今も公園は進化し続け、市民の憩いの公園でもあります。さまざまなモニュメントや施設もあり、児童・生徒・学生たちの修学旅行のメッカでもあります。
広島平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデルとなっているのは、佐々木禎子さん。被爆した禎子さんは、折り鶴を千羽折ったら元気になれると信じて折り続けたそうです。全国の修学旅行生から千羽鶴がたくさん届きますが、2020年はコロナ禍で少なかったとか。
平和公園近くで、真夏でもたわわに咲き誇っている赤い花を見つけ、広島ネイティブの知人に花の名前を尋ねてみました。「原爆の花」ということでした。被爆直後、「75年間草木も生えない」といわれるほど完全に焦土化した広島に、いち早く咲いた花だったからだそうです。後日、それは夾竹桃(キョウチクトウ)だと知りました。夾竹桃は、当時復興に努力する人々に希望を与えた花として、「広島市の花」に認定されています。
2020年は被爆75年の節目の年ですが、コロナ禍で記念式典は縮小されるということでした。私は、混雑を避けるため前日に平和公園に行ってきました。小学生と園児の娘を連れて2度式典に参列したことがあります。猛暑のなかの厳粛な式典でした。その後、数年前からテントが張られ、そして今年はソーシャルディスタンスを保つため、参列者席は芝生が十分に見えるくらいゆったりと配列されていました。
大田川、元安川の二つに掛けられたT字型の珍しい橋、「相生橋」。これをターゲットとして原爆が投下され、少しずれて産業会館上空600mで爆発したそうです。二つの川には、皮膚が焼けただれた人々が熱さから逃れるために殺到したそうです。平和の火の南側にいつも水を張った濠が設計されています。
式典の10日から1週間前には市民による「公園清掃」や周辺の道路の「ゴミゼロウォーク」
が実施されます。私も、地域代表として数回参加したことがあります。広島市立の小・中・高の生徒たちは平和学習として、被爆の実相や命の大切さ、広島市の復興の歩みなどを学びます。広島市職員は、8月6日は式典の運営員以外は休業です。しかし、日本中の大方の公務員が休業する8月15日は、広島市の公的機関はオープンしています。
式典には世界からさまざまな方が参列して世界恒久平和を祈念しますが、1981年には教皇ヨハネ・パウロ二世が参列されました。その頃、私は短歌を詠むのにはまっていて(昌子という名で)、中国新聞の歌壇に投稿していました。近藤芳美先生選で取り上げていただき、まるで勲章をもらったような気分でした。これがそのときの短歌です。
「白衣の人原爆慰霊碑に額づけば雲間より陽のさすその背に」
原爆死没者慰霊碑は丹下健三氏が設計担当されたそうです。原爆死没者慰霊碑の向こうに「平和の灯火(エターナルファイア)」、そして原爆ドームが一直線上に見えます。
2014年~2016年にはキャロライン・ケネディ米大使が米国政府代表として、2019年にはフランシスコ教皇が参列され、テレビで拝見しました。2016年にはオバマ氏が現職のアメリカ大統領として参列されました。私はこの時スウェーデンを旅行中でしたが、食事中にテレビのニュースで見ました。思わず、「あの広島から来たのよ」とウエイターに話しかけたら、「本当に悲しいことでしたね」とお悔やみを言われたのですが、遠いスウェーデンで、ヒロシマだからニュースになったのか、オバマ大統領だからニュースになったのか、残念ながら聞きそびれました。
故郷の友人が仕事で来たついでに訪ねてくれたとき、平和公園を案内することがあります。また、数年前、マイクロバスの少人数旅行で平和公園に行くと、友人から連絡をもらったときは、ガイドさんなしで添乗員さんだけでしたので、図々しくもガイドを買って出ました。添乗員さんが原爆資料館の入場券を手配している僅かの間だけでしたが、なぜ広島に原爆が落とされたのか、投下目標はどこだったのか、折り鶴の塔にはどんな物語があるのか、エターナルファイアの周りになぜ水が張ってあるのか、といった説明や、平和の鐘の釣鐘は私たちの育った富山県高岡市で製造されたという話をしました。ただし、具体的な数字などは忘れてしまったので、説明は、すべて具体的な数字抜き。今度また機会があったら、原爆の被害についての具体的な数字なども含めて、しっかりガイドできたらと思っています。
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