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専業主婦が、憧れていたブライダル司会者へ道を切り開く。20年間、現役のブライダル司会者として仕事をし続けてきた過去や、これからのことを語ります。今回は雑誌で見つけたスクールへ、家族の応援のもと通い始めるお話です。
決心
ブライダル司会者になると決めた私は、そこから迷うことは一切ありませんでした。今と違い、インタ-ネットで調べることがあたりまえの時代でもなく、スク-ル雑誌のほんの小さな広告で満足な時代でした。でもいくら時代とはいえ正直、今考えると怖くなります。
私が通おうと決めた渋谷のスク-ルは、入学金が5万円、初級コ-ス3か月12回で6万円、年会費1万円、合計12万円。
前払い全納、退会、欠席分 一切返金不可。
こんな条件だったように記憶しています。
主婦の私がこんな大金を、しかもスク-ルのこともよく分からない、本当に小さな広告で、入学を簡単に決めてしまったのは、入学すれば、ブライダル司会者になれると思いこんでしまったからです。
また、自分の結婚式の見積もりを引っ張り出し、プロ司会者に支払った料金の8万円を見て無知な私は、今たとえ高額を支払ったとしても、1回8万円も貰えるならすぐに元を取れるとも思い込んでしまったのです。
まったく世間知らずとは本当に恐ろしいです。
主人と息子の応援
主人にブライダル司会者になるために学校に行きたいことを伝えた時、反対された記憶はありませんでした。もともと私のやることは応援をしてくれる人なので、私も反対されることはまったく考えてもいませんでした。平日の夜のスク-ルだったのですが、子どもは高学年になったとはいえ、夜家を空けることは主人も心配だったようで、スク-ルの日は早く帰ってきてくれました。
私がブライダル司会者になることを想像していたかはわかりませんが、私の性格やおいたちから、いずれ外に出ることは想定していたのだと思います。また、これは私の想像ですが、この数年後主人はサラリ-マンを辞め、プロカメラマンの道に入っていきました。もしかしたら私のこの決断が、主人の人生の道も後押しするきっかけになったのではないかと思っています。
このことについては、いずれ2人が完全に現役をリタイアしたときに聞いてみようと、老後の楽しみにしています。
息子には「お母ちゃんも塾に行って勉強することにした」と伝えました。どの程度理解してくれたかはわかりませんでしたが、息子は息子なりに電車の路線図を調べてくれ、回数券を買う方が得なことなど、私が気付かないアドバイスをしてくれました。また、スク-ルの日は友達と約束をしないで学校からまっすぐに帰り、早く私と夕食を食べてくれました。息子に関しては、うれしい発見が多かったように思います。
帰り道の楽しい時間が、迷いと不安の時間へ
家族の協力と応援のもと、いよいよスク-ル通いがスタ-トしました。息子と早目の夕ご飯を食べ、みなさんが仕事から疲れて帰ってくる頃、電車に乗って渋谷に行くのです。それだけでもドキドキワクワクの経験です。朝のラッシュほどではないのでしょうが、混雑する電車に乗ることで、主人に対する今までとは違う感謝の気持ちが生まれ、これは良かったことの一つです。
夜のスクランブル交差点は私には場違いで、人ごみの中を必死で街の住所案内を確認し、たどり着いたことは、今でも忘れません。
公園道りのマンションの一室がスク-ルです。そしてそこが、私の夢へと繋がるドアとなりました。恐る恐る中に入ると、私より若い、のブランドに身を包んだOL風の人たちが座っていました。この世界の初同期となる仲間です。レッスンの帰り道が、みんなで励まし合ったり情報交換をしたり、楽しい時間となりました。が、レッスンの回数が進むにつれ、一人来なくなり、また上のクラスにあがる段階で、数人が見切りをつけと、帰り道の楽しい時間が、迷いの時間、不安の時間へと変わってもいきました。
スク-ルを卒業したのち、それぞれ努力を重ねた同期もいろいろな現実があり、最終的にプロにたどりつけたのは、私だけだったようです。
アナウンサ-の徳光さんやTBSの安住さんが、芸能人の結婚式の司会をしているところを、テレビで見ることがあると思います。司会の世界にはアナウンサ-、声優、俳優、お笑い芸人と、あらゆる喋りの世界の方がいらっしゃいます。そんなみなさんに、素人の私が追いつけと勉強をしていくのですですから、それはとても険しい道です。また、最初は業界用語がほとんど理解できず、それも大変な思いをしました。
では次回は、アナウンスレッスンや業界用語についても、お話ししていきたいと思います。
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