シニア投資は要注意!金融機関のセールストーク10例
2023.08.162023年09月30日
シニア投資コンサルの50代60代からの資産運用#6
投資の窓口相談は要注意!やってはいけない2つ行動
定年を見すえた50代60代からの投資の方法を、シニア投資コンサルタントの西崎努さんに伺う連続企画。今回は「窓口相談の際の注意点」。銀行や証券会社でプロに直接相談ができる窓口。でも危険を防ぐために押さえておきたい2つのNG行動があるのです!
窓口を上手に活用するにはポイントを押さえて!
若い世代にとってはネット証券が当たり前ですが、シニア世代では、まだまだ銀行や証券会社の窓口に運用の相談に行く方も多くいらっしゃいます。
投資や運用のことはよくわからないし、なんだか不安なところもある……という方も多いと思います。そんなときは、やはり面と向かって話ができるのは安心感がありますよね。
もちろん窓口に相談に行くこと自体は悪いことではありません。でも、より上手に窓口を利用するためには、いくつか注意していただきたいこともあります。
窓口相談の注意点1:相談に行くタイミングに要注意!
月末と期末・年度末には行かない方がいいです。特に9月末、12月末、そして圧倒的に3月末は要注意です。
理由は簡単です。ほとんどの銀行や証券会社の営業の締めの時期だからです。
月末になるほど販売員は「契約を取らないと!」と焦るわけです。これは他のビジネスでも、月次の営業ノルマがあるところは同じだと思いますが、「月内に契約を取る」ことに大きな意味がありますから、グイグイと契約を迫ってくる傾向があります。
9月末は半期の締め、3月末は年度末ですから、さらにその傾向が強まると思っていいでしょう。
12月末は、金融機関でいうと役員の異動が決まる時期にあたるので、やはり注意が必要です。その時点での支店の成績などが異動や出世に影響しますから、店側は契約を取ろうと盛り上がるタイミングです。
お金のことは難しいし考えるのも調べるのも面倒だからか、「それなら……」とその場で契約する人が意外と珍しくありません。もしあなたが「自分は押しに弱いかも……」と思うのであれば、月末・期末・年度末は避けた方がいいでしょう。
逆に月初は、販売員も「月内に決まればいいや」と余裕を持っているので、じっくり決めたい人もストレスなく検討できると思います。
窓口相談の注意点2:行ったその日に即決は禁物!
窓口相談の際の購入は、その場で決めず一度持ち帰って検討することをおすすめします。
先ほども述べましたが、窓口に相談に行く人は、“その場で契約までしてしまう”ということが少なくありません。ご本人が納得されているのであれば、なんの問題もないのですが、「よくわからないから」「面倒だから」「余裕資金だから」といった理由で「えいや!」で決めてしまうのはおすすめしません。
確かに自分で調べたり勉強したりするのはとっても面倒に思えますし、素人がいくら調べてもプロの提案にはかなわないと考えてしまいます。
でも実際はそんなに難しいことを学ぶ必要はありませんし、プロ並みの知識を身につける必要もありません。
窓口に相談に行くと、どんなケースでもだいたい対応は3パターンになります。
例えば、60代の方が定年退職のタイミングで相談に行くとしましょう。「実は退職することになって、退職金がどれくらいで」といった話から始まり、大まかなライフプランや運用資金の額について聞かれることになると思います。そこで提案されるのであろうものは下記の3つです。
- ある程度長い目で運用したいなら、出てくるのは「ファンドラップ」
- 上記条件でいくともう一つのパターンがコスト高めの「投資信託」
- 将来万が一に備えてお金を残したいなら「年金保険」
だいたいこの3パターンが出てきます。
ここまでの話なら、どんな販売員から聞いてもほとんど同じで、説明に大きな違いもありません。
問題はここからです。
「他に手段はありませんか?」
まず「他に手段はないのですか?」と質問すること。
長期分散投資ならファンドラップと言われますが、私からすると「ロボアドバイザー」や「インデックス投信」などではダメなのかな、と疑問に思います。
そこまでの事前知識がなかったとしても、同じようなことができる商品は他にないのか聞いてみることは誰でもできます。
そこまで聞いてみて、あとは持ち帰って検討してみてください。インターネットで「ファンドラップ メリット デメリット」などと検索してみるだけでも情報は手に入ります。
ネットが苦手だったらご家族やお知り合いに調べてもらってもいいでしょう。そしてまたわからないことが出てきたら、もう一度窓口に行って質問したっていいわけです。
実際のところ、金融機関の窓口で取り扱っていない商品は、ネット証券にたくさんあります。金融機関も商売ですから、「よそに行けばもっといい商品がありますよ」なんて親切に教えてくれることはありません。
金融機関の提案はあなたの選択肢の一つにすぎません。提案は素直に受け取って、判断は別にするという気持ちで、一度持ち帰って選択肢を増やしてみてください。
西崎努(にしざき・つとむ)さんプロフィール
リーファス株式会社 代表取締役社長。
2007年にSMBC日興証券に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。帰国後はIPOや公募増資等の引受業務に従事する。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。
『60歳を過ぎたらやってはいけない資産運用』
金融機関に相談する前に、必ず読んで欲しい一冊。「本当にこれでいいのか」「そんなにうまい話があるのか」疑問や不安を感じたことはありませんか? 銀行や証券会社のおすすめ商品には裏がある。大手証券会社出身の著者が、要注意の金融商品・金融サービスを徹底解説!