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2020年01月16日
YASCORN 鉄道食べすぎひとり旅・特別編
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さん。毎年1月開催の京王百貨店 新宿店の「駅弁大会」の常連客です。普段は現地でしか手に入らない、絶品駅弁が一堂に会する機会。何度も食べたくなるというおすすめの駅弁をゲットしてみては?
1月は駅弁の季節です。
東京では、毎年1月に京王百貨店 新宿店で駅弁大会が開催されます。
お正月にお餅やおせちを食べ過ぎ、七草粥で胃を休めたあとに、ちょうど始まる駅弁大会。もはや1月の風物詩と言っても過言ではありません。
駅弁大会は、普段なかなか買えない地方のお弁当が一堂に会するイベントです。もちろん全国の駅弁の一部ではありますが、中にはこの大会でしか買えない貴重なものも。今回はまず、通常、東日本の各地で売られているおすすめ駅弁をご紹介します!
駅弁大会でどんなお弁当が売られるのかは、京王百貨店 新宿店の駅弁大会特設ホームページで事前に確認できます。私は毎回、こちらのリストをプリントアウトして、目当てのお弁当をチェック。そして食べる計画表を作っています。
こちらの駅弁大会は、今年でなんと55年目、つまり55回目だそう。さっそく7階の大催場へGOGO!です。
まずは北海道の「母恋めし」。室蘭本線の母恋駅、室蘭駅、東室蘭駅で販売されているお弁当です。地元北海道の名物、ホッキ貝をふんだんに使った炊き込みご飯のおにぎり2つと、燻製された半熟卵にチーズ、お漬物、おつまみわかめが入っています。
数年前に北海道の旅をした際に初めて食べましたが、お寿司以外のホッキ貝を食べたのはこれが初めて。風味のよさと甘さ、柔らかさにすっかり大好きになりました。
しかもこれ、1つずつビニールに個別包装で、手を汚さずに食べる工夫がされているのです。旅先では本当にありがたい心遣い。
駅弁大会では毎回大人気で、たいてい昼前に売り切れてしまいます。すべてのお弁当がそうですが、販売数限定なので、確実に買いたい方はお早めに。(※19日の販売はありません)
次は全国的にも有名な、北海道長万部の「かなやのかにめし」。
今回は実演販売での参加です。実演販売とは、京王百貨店 新宿店の7階大催場で、実際に作って販売すること。つまり、出来たての駅弁が食べられるのです。
フワッとした柔らかいカニと、シャキシャキしたタケノコの食感は、ぜひ出来たてで味わいたいもの。以前はかにめしを事前予約して、現地のJRの特急列車内で受け取ることができました。しかしそのサービスが終了してしまった今、出来たてが食べられるのは貴重。
目の前で手際よく作られていく様子を見るのも楽しいですよ。
駅弁大会は毎回テーマがあるのですが、今回は「5種のカニ駅弁対決!」。5つの駅弁屋さんがそれぞれのカニ弁当を出品しています。先ほどの「かなやのかにめし」もそうですが、こちらの「釧祥館ちらし」もその一つ。
たらば・ずわい・花咲ガニの3種盛りに、いくらもトッピング。カニ肉の甘みがそのまま伝わってくるぜいたくなお弁当でした。こちらも実演販売です。釧路の「釧祥館ちらし」は、今回の京王駅弁大会のために特別に作られたお弁当なので、駅での販売はありません。
こちらは輸送弁当の「ジンギスカン丼」。輸送弁当というのは、全国の駅弁屋さんが自分たちのところで作り、送られてくるお弁当。通常、駅で販売されているものと同じです。
しかしこれ、現地で私が食べたものと違っていました。確か加熱式容器だったはず……。(加熱式とは、ヒモを引っ張ると、蒸気が出てお弁当を温めてくれる仕組み)
札幌駅立売商会に問い合わせてみたところ、北海道からの駅弁輸送は飛行機なので、加熱式容器は載せられない。なので、駅弁大会では加熱式ではない特別容器が使用されているそうです。中身も加熱式容器でない分、ご飯の量が少し多め。寒い北海道では温めて食べ、東京ではそのまま食べる。こういう違いを楽しめるのも駅弁大会ならではですね。ジンギスカン丼は冬季限定(10月半ば〜ゴールデンウィーク頃)の販売です。
青森の「十和田バラ焼き重」は、今回初めて食べました。B-1グランプリin郡山大会でゴールドグランプリ受賞団体「十和田バラ焼きゼミナール」監修の駅弁です。以前行った「雪の青森旅」で食べた十和田のバラ焼きのお店でも、この団体の名前を見かけました。
食べてみると、十和田のバラ焼きそのもの。甘くて深みのあるタレが食欲をそそります。ご当地の名物が気軽に食べられるのも、駅弁のいいところです。
秋田・大館駅の鶏めしは昭和22年に商品化されたお弁当。見た目にかわいらしさもあり、老若男女問わず人気があります。比内地鶏のスープと、醤油・砂糖で炊きこまれたご飯(あきたこまち)は、いくらでも食べられてしまいます。もちろん鶏肉も甘辛い味付けがされていて、柔らかくておいしい。私も毎回リピーターとなっています。「なんと昨年、花善はパリに支店「パリ花善」を開店しました。フランスでは「BENTO」という言葉も定着化しつつあり、日本の味はフランス人にも受け入れられているようです。
今回の駅弁大会では鷄めしは、
東京オリンピック前回大会(1964年)当時の復刻版の掛け紙で販売。通常バージョンもありますが、掛け紙をコレクションしている方には、こういったバージョンを集めるのも、楽しみの一つです。
福島・いわき駅「小名浜オムライス」は、駅弁としては他に類を見ない、オムライスの駅弁です。チキンライスにオムレツがのっていて、別の容器に入っている濃厚なトマトソースをかけて食べます。
常磐線いわき駅から北の富岡駅〜浪江駅間は東日本大震災の影響でいまだ不通ですが、なんと2020年3月についに全線開通するそうです。ぜひいわき駅でこの駅弁を買って、食べながらその区間を乗り通してみたいものです。
ちなみに駅弁大会では新作の「小名浜ウニピラフ」も販売されています。こちらもぜひ。
こちらは数々の駅弁のコンテストでよく賞を獲っている、新潟の「えび千両ちらし」。
前知識無しに、初めて食べたときの衝撃が忘れられません。開けると厚焼きたまごがドーン。他の具材が入ってない? と戸惑っていたら、厚焼きたまごの下に、蒸しエビ、いか、こはだ、うなぎ、の具が並んでいました。すし飯と具の間に敷かれた、とろろ昆布もいい感じです。アイデアと味、ともにオススメできるお弁当です。
新潟県新津駅の「のどぐろ天婦羅と海老づくし弁当」は、2019年の京王駅弁大会に合わせて開発されたお弁当。大会で評判になり、引き続き製造販売されている駅弁です。のどぐろの天婦羅に海老しんじょなど、新潟の高級な食材が手軽に駅弁で食べられるなんて……と私も、大変感動しました。ご飯もおいしいのはさすが新潟です。
「SL大樹 日光埋蔵金弁当」は、SL大樹に乗ったら食べよう、と取っておいたのですが、なかなか乗るタイミングが合わず、待ちきれずに2019年の駅弁大会で購入。アルミのスコップがスプーンになっていて、埋蔵金を探すかのようにご飯を掘り進めて行くのが楽しいお弁当です。
「峠の釜めし」は、みなさんご存じかと思います。今回、京王駅弁大会では2回目となる店内調理での販売です。店内調理というのは、実演販売のように目の前で作るわけではありませんが、京王百貨店内で作られている、ということ。つまり、こちらも出来たてが買えるのです。
おぎのやでは品質管理上、賞味期限は製造してから8時間。関東ならいつでも買えるようでいて、タイミングが合わないとなかなか食べることができません。
しかも昔ながらの益子焼の釜での販売。冷めにくい釜で、出来たてを持ち帰ることもできるこのチャンスにぜひ。
山梨県小淵沢駅の「高原野菜とカツの弁当」。これも何度となくリピートしている駅弁。生野菜が入った駅弁は、大変珍しいです。
夏の旬な時期には、とれたての地元八ヶ岳高原の野菜を使用しています。ドレッシングや塩、ソース、マスタードも付いている親切設計。チキンカツは冷めていてもおいしいので、最近ではこれだけで、都内で販売もされています。しかしやはり野菜と一緒に食べたい。現地に行かないとなかなか買えないこのお弁当も、今なら新宿で買えますよ。
「鯖威張る弁当」は、2018年秋に発売されたばかりのお弁当。千葉県の銚子駅〜外川駅を走る銚子電気鉄道には、今まで駅弁はありませんでした。銚子電鉄といえば、「ぬれ煎餅」を売ったことで廃線の危機を乗り越えた路線ですが、最近、再びの経営難で、「まずい棒」という商品を開発し、話題になりました。
「まずい」は経営がまずいことから。「鯖威張る弁当」の掛け紙にも描かれた「まずえもん」というキャラクターは、ホラー漫画家の重鎮、日野日出志先生の手によるもの……。と説明が長くなりましたが、このお弁当がおいしい!脂がのった鯖と炊き込みご飯は、シンプルながら臭みもなく、もっとたくさん食べたくなります。
東京「チキン弁当」は、もう何回食べただろう……という駅弁。東京で製造販売しているので、あちらこちらの駅で気軽に買えるせいもあります。かつて昭和天皇がお好きだったという話も。
1964年から発売されていますが、つい最近、55周年を記念してパッケージも中身もリニューアルしました。マカロニサラダだったものがピクルスに代わり、トマト風味ライスにはドライトマトのオイル漬けがのっています。少しおしゃれになった印象です。この唐揚げが、時々無性に食べたくなる味なのです。食べたことがないという方はぜひ。
駅弁ではありませんが、「特急列車ヘッドマーク弁当」も駅弁大会で販売されています。こちらは懐かしの在来線特急列車のヘッドマークをランチボックスにデザインし、各地の駅弁業者が中身を手掛けた豪華なお弁当。子どもたちにはもちろん、大人にも大人気のシリーズです。しかも販売が終了した、今までのシリーズの第1弾〜第8弾が駅弁大会会場で買えます。買い逃したものがあれば、チャンスです。
今回ご紹介しませんでしたが、これまで私が行った旅先で食べたお弁当も、駅弁大会で買うことができます。
茨城の旅でご紹介した、茨城の「水戸 印籠弁当」や「三浜たこめし」(万年屋)、「偕楽園弁当」(しまだフーズ)。群馬の旅で登場した「だるま弁当」(たかべん)、現地ではSL運行時でないと販売されない「上州D51弁当」(たかべん)も、なんと駅弁大会で買えてしまうのです。2週目(15日)からは、久慈駅の「うに弁当」(三陸リアス亭)も実演販売されています。
2020年の京王百貨店 新宿店の駅弁大会、開催期間は1月8日〜21日です。この機会にぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
次回は西日本の駅弁をご紹介します!
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