家で「桜」を愛でよう!春先取りの、簡単な飾り方4
2023.03.072023年03月17日
育てて縫って愛おしむ ガーデンダイアリー
私がおすすめする、お花見スポット3選
バラ栽培のコツや花に囲まれた暮らしを発信するブログが人気のバラ愛好家・奥野多佳子さん。お庭づくりも楽しいですが、春はなんといってもお花見。奥野さんおすすめの絶景お花見ポイントを紹介してもらいます。見ているだけで春を満喫できます!
桜をモチーフに。作品「舞い散る」
風で散る桜を表現しました。
グラデーションを付けてピンクに染めた布で、桜の花びらを一枚一枚縫っています。オーガンジーやチュールを重ねたり、軽やかさを表現したりするのに苦労しました。横幅160cmの大きな作品です。
穴場から名所へ。枝垂れ桜のシャワー|京都・原谷苑
柔らかな風が感じられる頃になると、今年はどこの桜を見に行こうかな?とワクワクしてきます。桜って、春の訪れ、季節の美しさや風情を人々に伝えてくれる……愛すべき花ですね。
お花見どこがいい?と聞かれれば、兵庫の夙川(しゅくがわ)や大阪万博公園、京都の醍醐寺、蹴上、岡崎……桜の名所はいっぱい……。その中から、おすすめの3か所をご紹介します。
一番のおすすめは、原谷苑(はらだにえん)の桜です。
桜の季節、京都はどこに行っても本当にきれいですが、中でも原谷苑は桜をギュッと凝縮したような世界を感じることができます。京都洛北にある個人所有のお庭ですが、春と秋だけ一般公開されています。
20年ほど前は隠れ家的存在で、知る人ぞ知る桜の名所でしたが、今では多くの人が訪れるようになってきました。約4000坪の敷地に二十数種類の桜が450本ほど植えられていて、中でも古木の紅枝垂れ桜が多く、それはそれは見事な世界を作り出しています。
春爛漫……そんな言葉がぴったり!
枝垂れ桜が多いので、シャワーのように花びらが降ってきて、なんて気持ちのいいこと!
桜だけではなくて、ヤマブキ、レンギョウ、ユキヤナギ、ツツジなどがたくさん植えられているので、桜のピンクと相まってふんわりとした春の柔らかな空気が満ちあふれています。
一本一本が大きな古木で量感たっぷり。枝を広げ空を覆い尽くすような勢い……見事です。
桜の満開は少し遅いのですが、原谷苑の入場料は面白くて、桜の咲き具合で400円から1500円と日によって違います。満開の日は1500円……なんだか高いように思いますが、いえいえ……門を出るときには納得です。
実は訪れるたびに必ず見る桜があります。苑の奥の方にある紅枝垂れ桜……この日は青空に少し濃い目のピンクが映え、枝もほどほどに剪定され、まるで髪の毛をカットしたみたいに可愛い健康的な桜ですが……
15年前はこんな感じでした……。この日は雨で訪れる人も少なく、桜を独り占め! 雨のせいか、ピンク色がより濃くて、枝ぶりも怪しいまでに伸びて地面を這っています……妖艶で奔放な雰囲気! 桜に、女性の情念を想像させるような魅力を初めて感じました。
原谷苑は京都洛北、金閣寺の北。とても不便な場所にあります。駐車場はなく、バスかタクシーでしか行けません。桜の時期はシャトルバスが運行されていたりするので調べてからお出掛けくださいね。
■原谷苑
京都市北区大北山原谷乾町36
※2020年の開苑情報はホームページ等でご確認ください。
【おすすめ情報|立ち寄るならこちら】
・仁和寺や平野神社へ
歩くのがお好きな方は、南に下れば同じ時期に桜が見頃の御室の仁和寺に、南東に下れば、桜は少し早く咲いていますが平野神社もきれいです。どちらも歩いて30分ほど。違う雰囲気の桜が楽しめますよ。
・常照寺へ
桜の時期は少し早いですが、北東にある鷹峯(たかがみね)の常照寺の桜もきれいです。
ここは吉野太夫ゆかりのお寺で、4月の第2日曜日には、写真右上のような島原太夫の行列があるそうです。にぎやかなんでしょうね(残念ながら2020年の春は中止、秋の11月15日に延期されるそうです)。境内では、そのDVDも見せていただけます。
境内で、散り始めた枝垂れ桜を愛でながらお抹茶をいただき春を満喫できます。
圧巻!どこまでも続く桜の長いトンネル|京都八幡・背割堤
背割堤(せわりてい)は京都南部にあって、宇治川、木津川、桂川……3つの川が合流して淀川に変わる場所の近く、国営の淀川河川公園にあります。春になると堤防沿いの1.4kmに250本のソメイヨシノがピンクのトンネルを作ります。川と空のブルーに包まれて、のどかな春の雰囲気が楽しめます。
堤防の道幅は2~3mしかないので、両サイドの桜が身近に見れて、まさにトンネルそのものです。一本一本の幹が太い大きなソメイヨシノです。
50年ほど前は松並木で、時代劇の映画のロケ地にもなっていたそうですが、害虫被害で全滅。その後、桜が植えられるようになったそうです。
野鳥のさえずる声を聞きながらトンネルを抜けて、Uターンするときは河川敷に下りて桜を外側から眺めます。
もう……それは圧巻!! ダイナミック!!
青い空、桜のピンク、そして菜の花の黄色……土手にはいろんな植物が茂り、野鳥・水鳥もいて自然豊かで、本当にのどかでゆったり散策でき、懐かしい雰囲気の春を楽しめます。
この河川敷が数年前に整備され、車いすでも通れるようになりました。そして、少し前には遊覧船が運行されるようになり、川から桜を眺められるようにもなりました。
桜の時期だけ運行されていて、堤防の先でUターンして帰る20分ほどのクルーズ(笑)……ふんわりとした柔らかな春の風を受けて気持ちよかった~……。10~30分間隔で運行していて料金は1500円。
そして、昨年は高さ30mの展望台「さくらであい館」もオープンし、空から桜を楽しめるようになったようです。
いろんな桜を見ましたが これほど大きくダイナミックで、これほど長く続く桜並木を楽しめる場所は関西ではあまりないかもしれません。
■淀川河川公園背割堤地区
京都府八幡市
【おすすめ情報|立ち寄るならこちら】
・石清水八幡宮へ
桜のトンネルから向かいの山を見ると、なんとかわいらしい色合いの山……でも男山っていうんです。背割堤から10分ほど歩いてケーブルカーに乗り、この男山にある石清水八幡宮にお参りするのもおすすめです。
実は、背割り堤の桜を見るときは、早起きして8時頃到着するようにしています。その頃だと駐車場も空いているし、人もまばらで桜を独り占めしながら楽しめます(笑)
石清水八幡宮から下りてくる10時頃になると、人が増えて河川敷にはブルーシートが敷かれ、子どもも大人も多くの人が思い思いに桜を楽しむ憩いの場所になっています。
残念なことに、2018年の台風で枝の重みに耐えかねてたくさんの枝が折れる被害が出たそうです。早く回復してほしいですね。
額縁に入れたくなる桜|千葉・DIC川村記念美術館
所変わって関東、千葉県佐倉市にある大好きな美術館、DIC川村記念美術館の桜もご紹介します。
私が訪れたのは2019年4月11日、もう桜はどこも散っていましたが、この川村記念美術館はご覧の通り。桜の種類も多く250本近くあるので、長い期間楽しめるようです。庭園の美しさには定評がありますが、桜の季節は特別美しい……と感じます。
大きさのそろった桜が少し高くなった土手に植えられていて、その姿が池に映り込むように計算されているようです。池に浮かんだ花びらが心憎い……
この日は小雨模様だったのですが、これが青空なら、と想像すると、どれだけ美しい景色が見れただろう……このままこの風景を切り取って額縁に入れたい……
大きく枝を広げた開放的な古木の桜は、もうほとんど散っていましたが、開放的でゆったりと枝を広げた古木の桜……斜めの規則正しい階段がこの画面を引き締めているようです。美術館の庭園だけに、桜の風景画を鑑賞しているような気になります(笑)
ヘンリー・ムーアの最晩年の彫刻作品「ブロンズの形態」が広場にありました。ダイナミックで柔らかなラインとピンクの桜……いい感じです。オモイガワという少し遅く咲く桜だそうです。が、4mを超す大きな彫刻……さすがの存在感で、桜が小さく見えます(笑)
ソメイヨシノ、サトザクラ、少し白いヤマザクラ、シダレザクラ……ピンクのグラデーションがきれい
自然散策路や広場がある庭園は、無料で楽しめます。30分ほどで散策できますが、池には白鳥がいて野鳥の声も聞こえるのでテラスやベンチでついついのんびり……この里山の自然を満喫したくなります。
大きな池の周りは 緑の木々の中に桜がパッと映えて それがやはり池に映り、奥行き感のあるほんのりとした風景……やはり一枚の絵のようです。
レストランの窓からも池の桜を眺めながら食事ができます。
そしてお茶室からも……。桜を愛でながらお抹茶をいただきました。
お菓子の黄色い練りきりは、美術館のエントランスの天井のデザインだとか。きれいで眺めてばかりで、なかなか食べれませんでした(笑)
この建物が美術館です。マーク・ロスコの作品を集めた日本で唯一のロスコルームを見たくて訪れましたが、もう感激でした。他にもレンブラント、ルノワールやモネの印象派、シャガールなどの近代美術、そして20世紀のアメリカ美術まで、とても見応えのある貴重な作品が展示されていてワクワク……心躍りました。
川村記念美術館は都心から遠くて行きづらい美術館として有名ですが、建物も作品も素晴らしく、庭園も美しい……ぜひ!おすすめの美術館です。JR佐倉駅や京成佐倉駅からは無料送迎バスが運行されています。
■DIC川村記念美術館
千葉県佐倉市坂戸631
さてさて、今年はどこの桜を見に行きましょうか……♪
※この記事の情報は2020年のものです。最新情報はホームページ等でご確認ください。
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