スリランカのおすすめアーユルヴェーダ施設を紹介

スリランカで自分と向き合うアーユルヴェーダ体験

公開日:2019.04.09

更新日:2019.04.11

2019年訪れるべき国第1位のスリランカの魅力を、現地在住の日本人フォトグラファーがお伝えします。今回のテーマは、日頃「無理しすぎ!」な日本人におすすめのアーユルヴェーダ。日本語を話せるスタッフがいる施設を、体験談とともにご紹介します。

アーユルヴェーダ
眼球のトリートメント「ネトラバスティ」の様子(撮影場所=カルナカララ、以下同)

アーユルヴェーダは、よりよく生きるための知恵です

鼻洗浄のトリートメント
鼻洗浄のトリートメント

みなさん、アーユルヴェーダを体験したことはありますか? 私は、スリランカに初めて訪れた2007年が初体験でした。その頃はインドでアーユルヴェーダを受けるという方がメジャーだったかもしれません。今は「スリランカといえばアーユルヴェーダ」という認識が世間に浸透してきたのでは、と思う今日この頃です。

簡単に説明をすると、アーユルヴェーダとは「よりよく生きるための哲学」です。幸せに生きるためには心と体が共に健康であること、そのための知恵がアーユルヴェーダなのです。アーユルヴェーダは、薬草や食べ物といった大地の力を借りて治療を行います。

その歴史は古く、もともと独自の伝統医療があったスリランカに、インドから仏教とともにアーユルヴェーダが伝わったことで生まれました。つまりスリランカのアーユルヴェーダは、古くからの伝統医学とインドから伝わったアーユルヴェーダが融合した独自のものなのです。薬草や植物が豊富にあるスリランカの恵まれた大地を生かした治療方法が特徴です。日本ではヨガの広まりとともに、アーユルヴェーダも広まったようです。現地スリランカでは、骨折もアーユルヴェーダで治せるとか……。真相は引き続き調査します。

アーユルヴェーダの考え方を解説。「ドーシャ」とは?

アーユルヴェーダの考え方を解説。「ドーシャ」とは?

アーユルヴェーダでは、どんな人も3つの生命エネルギーを持っていると考えます。一つ目は「ヴァータ(vata)」。これは風のエネルギー、痩せ型で風のように動きは素早く気分も変わりやすい傾向だそう。二つ目は「ピタ(pitta)」といい、火のエネルギーです。中肉中背で活動的、食欲旺盛タイプ。そして3つ目が「カッパ(Kapha)」。水のエネルギーを表します。大柄で体力があり穏やか、考えてから行動するタイプといわれています。

人によって、それぞれ3つのエネルギーの比重が違い、一番割合の多いエネルギーがその人のメインのドーシャとなります。その比重は生まれ持ったもので、生涯変わることはありません。さまざまな要因でそのバランスが崩れたときに、人は心を病んだり病気になると言われています。治療ではそのバランスを戻すべくトリートメントや投薬、食事療法を行い、生活習慣も改善するように取り組みます。

以前、日本人をよく診察するドクターが「ニホンジン、無理しすぎです!」と言っていました(笑)。アーユルヴェーダで体質を改善してみたいと思ったら、自分でドーシャを簡単にチェックできるサイトもあるので、ぜひ試してみてくださいね。ちなみに私はピタカッパ(ピタがメインでカッパ寄り)。行動的で情熱的、あまり眠らずお腹が空くと怒るタイプだそうです。なんだか疲れる人ですね。

本場のアーユルヴェーダを体験するなら。施設選びのポイント

トリートメントルームはゆったりと静かな時間が流れる
トリートメントルームでは、ゆったりと静かな時間が流れる

旅先でのリラクゼーション体験というと、1時間ほどのマッサージで十分と思う方も多いかもしれません。しかし、スリランカのアーユルヴェーダは違います。どのドクターも言うことですが、最低でも3日間は継続して治療を受けてほしいそうです。アーユルヴェーダ施設のスタッフから聞いた話ですが、3日間だけでもみなさん顔色が見違えるそうです。

人によってかかる日数は違いますが、まずは3日~5日ほどかけて毒素排出を行い、その後ドーシャのバランスを戻す治療へと入っていきます。何はなくともまずは毒素排出。そうしないと体にいい要素が入っていかないそうです。また、リラックスできるかどうかも結果に大きく影響します。そのためにはドクター、セラピストとの信頼関係がとても大切です。どうしてこの薬が私に必要なのか、オイルは何を使っているのか、とにかく不安が残らないよう積極的にドクターに相談しましょう。

日本語で対応してくれる本格的なアーユルヴェーダ施設を、今回と次回の記事で2回にわたりご紹介します。自身の体や心のことを伝えるとき、ドクターの見解を聞くときなどしっかり日本語で理解できればとても安心です。

「カルナカララ アーユルヴェーダ Spa & Resort」体験記

プライベート感あふれるコテージ
カルナカララではプライベート感あふれるコテージに宿泊

まずご紹介したいのが、ニゴンボというビーチリゾートのエリアにある、カルナカララ(Karunakarala Ayurveda Spa & Resort)。コロンボ国際空港から、タクシーに乗って40分ほどでアクセスできる上に、1泊のステイでも受け入れてくれる本格的なアーユルヴェーダ施設です。私も今回初めて施術を受けましたが、そっと触れ、語りかける「手当て」で、寄り添うような優しい治療に魅了されました。

大きなマ・オヤ川のほとりにあり、緑あふれる敷地の中にコテージが17棟。小さな子どもは受け入れてもらえない施設も多いのですが、ここはファミリールームもあり子どもと一緒に宿泊ができます。親御さんがトリートメント中にはスタッフが遊んでくれるありがたい心配りも。敷地内では自由に孔雀やウサギたちが散歩しています。

クジャクの大きさにびっくり!
孔雀の大きさにびっくり!

施設のレセプションやレストランには、日本語を話すことができるスタッフが常時3人以上います。また日本人の女性マネージャーが常駐していて、ドクターとの問診時の通訳やステイ中の悩み、希望など細やかに対応してくれます。客室は、コホンバの木がふんだんに使われています。コホンバの木は治療にも使われることもあり、建材に使用するには国の許可がいるほど貴重なものです。虫除け、魔除け(!)の効果があると言われています。

コホンバの木がふんだんに使われた客室、ゆったりとしたテラス付き
コホンバの木がふんだんに使われた客室、ゆったりとしたテラス付き
到着日にはしっかりとドクターとの問診がある
到着日にはしっかりとドクターとの問診がある

到着日には長めの問診が、翌日からは毎朝健康チェックを兼ねて問診が設定されています。経験豊富な2人の女性ドクターが治療に当たっています。そのひとり、ドクターガヤニはとても柔らかい空気を纏っていて診察の際には優しく触れながら症状を細かく聞き取っていきます。施設内ですれ違う時もそっと腕や背中に触れて「リラックスしてる?不安はない?」と気にかけてくれるみんなのお母さん的存在! 思いっきり甘えてなんでも相談してみましょう。もう1人はお父さん的存在のドクターマニケ。どっしり構えて、アーユルヴェーダについて理論的にしっかり教えてくれます。日本から薬剤師の方も学びに来るそうですよ。

ゲストにとてもフレンドリーなベテランドクター
ゲストにとてもフレンドリーなベテランドクター

セラピストには男性もいますので、男性のゲストも安心して治療に取り組めます。最近では男性のひとり旅の方も増えてきたそうです。またご夫婦での滞在を楽しむのもいいでしょう。セラピストやドクターは相性もあるので、どんなことでも我慢せず日本人の女性マネージャーに相談してくださいね。

日本人の常駐マネージャー金井さんになんでも相談しよう
日本人の常駐マネージャー金井さんになんでも相談しよう
トリートメントルームの様子。
​​​​​中央の金色の器は、脳のマッサージともいわれる、シーロダーラのときに使います

私は今回ヘッドマッサージの後、「シーロダーラ」と眼球のトリートメント「ネトラバスティ」を受けました。「シーロダーラ」は額にオイルをゆっくりと垂らす、よく見るアレです。「シーロダーラ」はリラックスして受けなければ効果が半減してしまう気がします。とても繊細でゆっくりとしたトリートメントなのです。以前トリートメントの後に予定が詰まった状態で「シーロダーラ」を受けたのですが、時間が気になってしまってまったく心地よさを感じることができませんでした。今回は満を持しての再挑戦です! 最初はくすぐったいと感じたものの、時間が経つにつれて肌触りのいい羽でずーっと優しく撫でてもらっているような感覚に。意識はうつらうつら、現実と夢との間をふわふわしているような不思議な感覚でした。思い出すだけでも口が半開きに……、フヌケになりそうです。ぜひ余裕のある日程の中で受けてくださいね。

眼球トリートメントにドキドキ
眼球トリートメントにドキドキ

その後は初体験の「ネトラバスティ」。小麦粉に水を加えて練ったもので目の周りに土手を造り、バターを煮詰めて作ったギーオイルを人肌に温めて土手の中に満たします。痛くないと聞いていたのですが、内心はドキドキ。視界はトローンとしたオイルの中。ドクターが立会い「開けてー、閉じてー、右を見てー、左を見てー」と指示に従います。オイルがしみないことにびっくり! 10分ほどで終了です。眼球の汚れを取り去ってくれる治療なのですが、なんだか頭もスッキリ。リフレッシュ効果もあるようです。目を覆っている涙は油分も含まれているそうで、施術後に視界が曇るということはありませんでした。

食事はいつも温かいスープから始まる
食事はいつも温かいスープから始まる

そして、気になる食事について。

旅行の醍醐味といえば食事は外せません。前回の「本場のスリランカカレーは健康食⁉おすすめ店も紹介」でもお話したように、アーユルヴェーダは医食同源の治療法です。カルナカララでは、アーユルヴェーダをしっかり学んだドクターがオーガニックの素材で毎日心を込めて作っています。

昼食はスリランカスタイルのライス&カレー
昼食はスリランカスタイルのライス&カレー

毎食温かいスープに始まり、メイン、そしてデザートも! デザートには精製した砂糖は使わず果物の持つ甘みや、血糖値をあげにくい、低GI値のヤシの花の蜜を使います。もちろんゲストのカルテはキッチンと共有されているので、その人のドーシャに合わせたメニューが提供されます。味付けはかなり薄めに設定されているので、足りなければテーブルにある塩、胡椒でお好みの味に。

施設内にある野菜を収穫するシェフ
施設内にある野菜を収穫するシェフ

ドクターから体質に向いている食材も教えてもらえるので、日本に帰った後も毎日の生活にアーユルヴェーダの知恵を生かすことができます。私が感動したのは雑穀ロティという平たいパンについていた、カラピンチャ(別名:カレーリーフ)の真緑のペースト。オリーブオイル、ガーリック、カラピンチャ、カシューナッツをペースト状にしたもので、スリランカ版ジェノベーゼといったところ。おいしくて食べきってしまってから写真撮影を忘れていたことに気づきました…。

日の出前から始まるヨガのレッスンも。ストレッチなど初心者にも安心です
夕方には瞑想のアクティビティも実施される
夕方には瞑想のアクティビティも実施される

 

マッサージに使うハーバルボールは施術前に新鮮なハーブを使って作る
マッサージに使うハーバルボールは施術前に新鮮なハーブを使って作る

滞在を終えて

薬は施設内のファーマシーで調合される
薬は施設内のファーマシーで調合される

今までいくつかのアーユルヴェーダ施設を取材してきましたが、施設の良し悪しは良いドクターがいるかどうかで決まると思います。

カルナカララのドクターは自分たちの知識を出し惜しみせず、アーユルヴェーダのことを知ってほしいという想いのもと、とても熱心に治療に取り組んでいます。そしてドクターたちのまん丸な温かい手が心も解きほぐしてくれました。そしていつの間にかゲスト同士も仲良くなってしまうアットホームな空気がここには流れています。アーユルヴェーダ施設にこもりきりだと、退屈してしまうゲストもいるかもしれません。でもここはビーチリゾート、ニゴンボ。海沿いに出かければおしゃれなカフェやショップもあり、気分転換もできちゃいます。マ・オヤ川クルーズや、最大の都市コロンボへ日帰りショッピングにお出かけするのもよいでしょう。

カルナカララは一泊からの立寄りでも施設を利用することができます。ドクターとの問診で自分の心と体に向き合うきっかけにもするのもよし、もしくはどっぷりアーユルヴェーダの奥深い世界にハマるのもまたよし! 間口の広い本格派施設です。日本に帰国してからも東京・代官山にあるカルナカララの姉妹店で継続的な治療が受けられることも嬉しいポイントです。

オイルの販売もしている
オイルの販売もしているので、お土産にも​

カルナカララ・アーユルヴェーダ・スパ&リゾート (Karunakarala Ayurveda Spa & Resort Hotel)
住所:Jesu Nasarenu Mawatha Thoppu Thota, Waikkal, Sri Lanka

 

アーユルヴェーダ付き 1泊プラン USD 178〜(トリートメント、アーユルヴェーダの食事三食、ヨガ含む)
※様々な日数のプランあり


次回も、引き続きアーユルヴェーダの体験談をお伝えします。もうひとつのおすすめ、スリランカ内陸部、緑に囲まれた日本語が通じるアーユルヴェーダ施設へ行きます! 脈診だけで私の病歴を言い当てた「ドクターCTスキャン」もご紹介します。4月22日公開予定。記事の更新を知りたい方は、ハルメクWEBメールマガジンにご登録ください。

 

スリランカガイドブック

『五感でたのしむ! 輝きの島スリランカへ(旅のヒントBOOK)』
1,728円 イカロス出版刊

著者の石野明子さんが手がけたスリランカのガイドブックが発売中!
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■関連リンク
カルナカララ・アーユルヴェーダ・スパ&リゾート公式サイト


■もっとスリランカのことが知りたい方はこちら
スリランカ観光の基本情報

石野 明子

フォトグラファー。大学で写真を学んだ後、新聞社の契約フォトグラファーを経て2006年から女性誌やwebで撮影するフリーランスに。16年スリランカ・コロンボに移住し、写真館「STUDIO FORT」をオープン。著書に『五感でたのしむ! 輝きの島スリランカへ 』イカロス出版 

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