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- 加賀の伝統美と絶景を満喫!日本海の幸を存分に味わう
今回は石川県の加賀温泉へ。北陸新幹線が敦賀まで延伸し、一段とアクセスしやすくなりました。このエリアには山代温泉、山中温泉、⽚⼭津温泉など、個性ある魅力的な温泉地があります。町の散策を楽しみながら、北陸の美食を堪能する旅へ出掛けました。
雪の美しさを科学的にも芸術的にも楽しもう!
東京駅から北陸新幹線に乗って、加賀温泉駅まで約2時間40分。そこから日本海方面へ車で15分(路線バスもあり)ほど行った、⽚⼭津温泉に近い風光明媚な柴山潟のほとりに「中谷宇吉郎 雪の科学館」があります。建築家・磯崎新の設計したユニークな建物も見応えがあります。
中谷宇吉郎は⽚⼭津温泉の出身。北海道⼤学理学部教授となって、雪の結晶の美しさに感動し、生涯を雪の研究に捧げ「雪は天から送られた⼿紙である」という有名な言葉を残しています。
世界で初めて人工雪を作ることに成功するなど、低温科学の新分野を次々と開拓し、晩年はグリーンランドに渡って、氷の研究にも力を注ぎました。
この科学館では、そんな中谷宇吉郎の足跡をたどりつつ、雪に関するさまざまな実験をスタッフと一緒に行い、科学の楽しさをリアルに体感することができます。例えばダイヤモンドダストを実際につくってみたり、氷の中にできた雪のような美しい結晶を観察したり。
目の前で手品のようにあっと驚かせながら、難しい科学の仕組みを易しくわかりやすく解説してもらえるのがここの面白さ。雪や氷の不思議な現象、その美しさと儚さに思わず夢中で見入ってしまう、興味深い実験ばかりです。家族や友人、子ども連れでも、もちろん一人旅でも十分楽しめる内容。行くたびに新しい発見がありそうです。
中⾕宇吉郎の次⼥で芸術家の中⾕芙⼆⼦によるダイナミックなアートインスタレーションも見逃せません。グリーンランドから実際に運ばれてきた石を敷き詰めた中庭に、決まった時間になると幻想的な霧が立ち込めます。グリーンランドの大地にブリザードが舞う様子を表現しているそうです。
科学館の奥には「Tea Room 冬の華」があり、全面のガラス窓から柴⼭潟と⽩⼭が⼀望できる絶景。ここでちょっとひと休みしても良いでしょう。
川のせせらぎに癒やされながら、加賀棒茶とスイーツを
加賀温泉駅から、車で約20分(路線バスもあり)のところには山中温泉があります。今から1300年前に発見され、松尾芭蕉が奥の細道の道中で訪れたと伝えられる、歴史と文化の香り漂う温泉です。
多くの名所旧跡、ショップやカフェ、ギャラリーなどが建ち並び、街歩きが楽しい山中温泉ですが、温泉街に沿って流れる大聖寺川の渓谷「鶴仙渓(かくせんけい)」は、北陸随一といわれる景勝地。約1.3kmの遊歩道は、美しい自然の風景を眺めながら、のんびりと散策を楽しめます。
4月から11月までの期間には、この渓谷美を間近にゆっくり楽しめる「鶴仙渓川床」がお目見え。ここでは加賀棒茶と一緒に、山中出身の和食の料理人、道場六三郎氏が監修した特別な甘味をいただけます。
目の前に広がる四季折々の自然の風景を眺め、穏やかな川のせせらぎに耳を傾けながら、おいしいスイーツを頬ばる、他では味わえない極上の時間。優雅に癒やされるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?
鶴仙渓には趣の異なる3つの橋があり、遊歩道を歩いて回れます。草月流家元である勅使河原宏氏が「鶴仙渓を活ける」というコンセプトのもとデザインされた「あやとりはし」は、S字に複雑に曲がった斬新なデザインの鉄橋が独特の景観を生み出しています。
昭和10年に架けられた重厚な石橋の「黒谷橋」や、総ひのき造りの「こおろぎ橋」などがあり、それぞれ自然に溶け込みながら味わい深い風景をつくり出しています。
麗しき加賀文化を満喫する宿「界 加賀」へ
いよいよ山代温泉へやってきました(加賀温泉駅からも山中温泉からも車で約10分)。本日のお宿「界 加賀」の前身は、創業が寛永元年(1624年)の老舗旅館「白銀屋」で、陶芸家の北大路魯山人も定宿だった旅館。
入ってすぐのフロントホールでは、北陸地方で多く見られる伝統構法「枠の内」という金物を一切使用せずに組み上げるの高い天井と木組み、立派な太い大黒柱がお目見え。国の登録有形文化財に登録されており、一見の価値ありです。
水引のアートオブジェが印象的に空間を飾り、伝統建築の中にモダンで新しい感性を紡ぎ出しています。九谷焼、山中塗、加賀友禅、水引など、加賀の伝統工芸が館内や客室のあちこちに散りばめられ、目を喜ばせてくれます。
山代温泉は、与謝野晶子や泉鏡花など、数々の文人墨客に愛された由緒ある温泉です。とろりと滑らかな泉質は「美人の湯」ともいわれています。
「界 加賀」の大浴場は、九谷焼の若手作家によるアートパネルが湯船の壁面を華やかに彩っています。色絵、青手、赤絵、藍九谷という伝統的な4つの技法で加賀の四季を表現。露天風呂との仕切りガラスには金沢金箔で白山が描かれています。金沢は日本の金箔の約9割以上を占めるという、一大生産地。夜の露天風呂は、湯船に月が浮かぶという風流な仕掛けも隠されています。
宿の食事にも、九谷焼の美しい器がふんだんに使われていて目をひきます。
これら九谷焼の器は、もし割れや欠けが生じた場合は廃棄することなく、伝統修復技法「金継ぎ」を施しますが、すべて館内の「金継ぎ工房」でスタッフ自らが直しを行っています。
修復の様子は公開し、金継ぎの解説を行っているほか、宿泊客も一緒に修復作業を体験できる「金継ぎいろは」があります。大変人気の講座なので、やってみたい方はぜひ!
夜は「ご当地楽」として無形民俗文化財に指定されている加賀獅子を観賞。迫力ある舞踏が毎日上演されています。八方睨みと呼ばれる独特の風貌の獅子頭は、彫りの深い顔付きがなかなか怖くて凄みがありますが、頭をパクッと噛まれると幸運が訪れるそうなので、ぜひ噛まれてみてください。
金沢は茶の湯文化が盛んで、京都や松江と並ぶ日本三大和菓子処でもあります。中庭に佇む有形文化財の茶室「思惟庵」では、茶の湯体験もできます。丁寧に淹れられた一服の茶をいただくと、すっと背筋が伸びるようなすがすがしいひとときを過ごせそうです。
日本海の幸「鮑とのどぐろ会席」を堪能
北陸に来たら、やはり味わいたいのは日本海の幸。
冬はなんといっても蟹が有名ですが、もう一つ、北陸で外せない魚介といえば「のどぐろ」です。正式名称はアカムツで、喉のあたりが黒いことからのどぐろと呼ばれるようになったとか。日本海の冷たい荒波を泳ぐ北陸ののどぐろは旨みが深く、年中おいしく食べられる魚です。
また、鮑(あわび)は伊勢などが有名ですが、石川県の輪島でも昔から海女漁が行われており、現在もウエットスーツに水中メガネの海女さんたちが鮑やさざえの漁を行っています。
加賀の伝統工芸である九谷焼や山中塗の器と料理のマリアージュも、ここでのお楽しみの一つ。「器は料理の着物」と唱えた、美食家の魯山人にならい、こだわってセレクトされています。
現代の九谷焼作家の作品が多々使われており、運ばれてくるたびに心が躍る美しさ(作品の一部はショップでも販売)。金継ぎ工房で直したものも使用されており、実は先代・白銀屋の時代から使っている器も一部引き継がれているそうです。
金時草、甘海老、車麩、堅豆腐など、加賀らしい食材を使った料理の数々に酔いしれていると、大きく柔らかなたっぷりの若布(わかめ)で鮑を包み、じっくり火を入れて蒸し上げた「鮑の若布包み蒸し」が登場! 磯の香りが心地よい、ふっくらプリプリの鮑の旨みと食感に驚きました。
そして最後は「のどぐろの土鍋ご飯」。ふたを開けると魚の香ばしい匂いがふわりと漂ってきます。身はふっくらと柔らかく、程よい脂がのって、おいしい甘み旨みがご飯に染み込み、もうお腹いっぱいと思っていたはずなのに、胃袋がまた元気になってきました。
ディナーの後は歴史的建造物の「べんがらラウンジ」へ(予約制で1ドリンクとおつまみ2品付き。別料金で追加オーダーも可)
入り口の棚には九谷焼や山中塗の酒器や小皿、お盆などがまるでギャラリーのようにずらりと並んでおり、お酒やつまみに合わせて、スタイリストのような気分で、好きな器を自分で自由に選び、組み合わせを楽しめます。窓の外には山代温泉の情緒ある夜の町並みが見渡せ、ゆったり寛げる極上の空間でした。
「べんがらラウンジ」手前にあるギャラリースペースには、魯山人作の器や、本人が彫った白銀屋の看板などが展示されており、宿泊者は誰でもこれらの貴重な作品を鑑賞できます。
今回宿泊した温泉宿はこちら:界 加賀
加賀の工芸品が館内に散りばめられ、加賀文化に存分に浸れる宿。建物の目の前には、山代温泉のシンボル的存在である、明治時代の総湯を復元した大衆浴場「古総湯」があり、夜は五色のステンドグラスからもれる明かりが町に風流な彩りをもたらしています。
冬のシーズンには期間限定で「活蟹づくしのタグ付き蟹会席」など、蟹メインの料理のお楽しみも。「70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』」の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気の温泉宿です。
- 住所:〒922-0242 石川県加賀市山代温泉18-47
取材協力:星野リゾート 文・写真:江澤香織 編集:鳥居史(ハルメク365編集部)
「界 加賀」ペア宿泊(1泊2食付き)をプレゼント!
寛永元年(1624年)創業の旅館をリノベーションした「界 加賀」。加賀の伝統の中に新しい感性が息づく温泉旅館の宿泊券(1泊)を1組2名様にプレゼントします(有効期限:2024年10月1日~25年3月末日)。
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