大人女性におすすめ!温泉めぐりの旅・9

美食と民芸も!冬の醍醐味を楽しむ東北旅:青森県

公開日:2024.01.05

大鰐温泉(青森県)の特徴・アクセス方法をチェック

大鰐温泉(青森県)の特徴・アクセス方法をチェック

弘前の奥座敷として知られる大鰐(おおわに)温泉は、800年の歴史を持ち江戸時代には津軽藩の湯治場として栄えました。無色透明の肌にやさしい温泉は、寒い冬によく体を温めてくれます。温泉熱と温泉水のみで栽培される「大鰐温泉もやし」はシャキシャキした歯触りで知られる名物です。

玄関口である東北新幹線・新青森駅と青森空港からはそれぞれ車で約50分。新青森駅からはJR奥羽本線のローカル電車で大鰐温泉駅まで、雪景色を見ながらのんびり向かうのもいいものです。桜とりんごの街・弘前へは電車で約10分、弘前観光の拠点としてぴったりです。

【東京からのアクセス】

  • 東京駅→東北新幹線約3時間10分→新青森駅→JR奥羽本線特急約40分→大鰐温泉駅
  • 羽田空港→飛行機約1時間20分→青森空港→車で約50分

今回訪れた温泉宿「界 津軽」と周辺観光スポット

今回訪れた温泉宿「界 津軽」と周辺観光スポット

今回宿泊した「界 津軽」は2019年4月にリニューアルし、津軽文化と四季を感じる「津軽四季の水庭」が誕生。さらに2022年11月には「かまくら露天風呂」が完成し、温泉の魅力が倍増しました。大間のまぐろをはじめとする美食に加え、毎晩開催される津軽三味線の生演奏は圧巻の迫力で、その音色に心奪われます。

最寄りの観光スポットは津軽藩の城下町・弘前。桜名所として知られる弘前城をはじめ、明治の洋館や美術館、伝統工芸が花開く地。ここでは大人女性におすすめの立ち寄りスポットをご紹介します。

凛とした美しさ!雪に包まれる「弘前城」

凛とした美しさ!雪に包まれる「弘前城」

東北で唯一、現存天守が残る弘前城。弘前藩津軽氏の居城として1611年(慶長16年)に完成した平山城です。現在の天守閣は、落雷で焼失した天守の代用として1811年(文化8年)に竣工しました。

幕府への配慮から、櫓(やぐら)として扱われていましたが、事実上は天守の役割を果たしました。周辺は弘前公園として整備され、春の桜の時期は全国から花見客が集まりますが、雪に煙る津軽富士こと岩木山と冬の静寂のなかに立つ姿は、東北の城ならではです。

弘前城雪燈籠まつり

例年2月に行われる弘前城雪燈籠まつり(2024年は2月9日~12日)もぜひ。約150基の大小さまざまな雪燈籠や約300基のミニかまくらが公園内に配置され、雪化粧した天守もライトアップされます。

建築の記憶も継承する「弘前れんが倉庫美術館」

建築の記憶も継承する「弘前れんが倉庫美術館」
©Naoya Hatakeyama

2020年に開館した弘前れんが倉庫美術館は、100年ほど前に日本酒製造の工場として造られた建物を活用しています。日本酒造工場は後にシードル工場として稼働したほか、倉庫として残されていました。

美術館として生まれ変わる大きな契機は2002年、2005年、2006年に現代美術家・奈良美智さんの個展が開催されたこと。弘前市による本格的な整備の後、現在に至ります。

アーチ状に積み上げた煉瓦造りのエントランスを抜けると、館内は古い煉瓦や黒い壁、むき出しの鉄骨などがあり建物の面影を留めています。

弘前れんが倉庫美術館
古い煉瓦を活かした壁面(左)、ライブラリー(右)

2024年3月17日まで開催されているのは、ニューヨークを拠点に活躍する現代美術作家・松山智一さんの日本初となる大規模な個展。建物の魅力と作品の個性が見事に調和しています。地域の文化拠点としてのライブラリー(市民ギャラリー)もあり、市民に愛される施設になっています。

現代美術作家・松山智一さんの日本初となる大規模な個展
「松山智一展:雪月花のとき」会場風景より

奇跡のりんごのスープに舌鼓!「レストラン山崎」

奇跡のりんごのスープに舌鼓!「レストラン山崎」

弘前は明治以降、西洋文化を積極的に取り入れたことから弘前フレンチという言葉があるほど、フランス料理店の多い街です。その中の一軒、ランチでぜひ訪れたいのが「レストラン山崎」です。安全・安心な素材を厳選し、山﨑隆シェフが腕を振るうコース料理は上品でいて心がほっこりする味わい。

レストラン山崎
左から前菜・メイン・デザート

中でも地元のりんご生産者、木村秋則さんが世界で初めて無農薬・無肥料で栽培した「奇跡のりんご」を使った冷製スープは、珠玉の一皿。リンゴの香りや酸味、甘みが際立ち、クリーミーな舌触りのやさしさに包まれた味です。山﨑シェフは真摯に生産に取り組む仲間とともに、青森の食の魅力を伝えていきたいと語ります。

木村秋則さんの奇跡のりんごと友情りんごの冷製スープ

津軽こぎん刺しの魅力を伝える「green」

津軽こぎん刺しの魅力を伝える「green」

しゃれたショップや専門店がある弘前市・代官町界隈。セレクトショップ「green(グリーン)」は、もともとメンズの商品からスタートし、今はレディスものや生活雑貨、フェアトレード商品など、オーナーの小林久芳さんの眼にかなうものを置いています。

注目したいのは津軽の伝統工芸品である、こぎん刺しの雑貨。こぎん刺しは、津軽の農民が麻の着物しか着ることが許されなかった江戸時代、麻布に木綿糸で刺し子を施し、保湿と補強をしたことから生まれました。

弘前で生まれた伝統工芸を広く知ってもらいたいと、小林さんが「弘前こぎん研究所」に発注し、現代の生活に合うさまざまな商品を揃えています。

名刺入れやテッシュ入れ、ピアス・イヤリング、がま口、印鑑入れ
名刺入れやテッシュ入れ、ピアス・イヤリング、がま口、印鑑入れ

こぎん刺しは紺地に白の模様が基本ですが、普段使いに適した淡い色合いを展開。テッシュ入れやポーチ、ブックカバー、名刺入れ、トートバッグやピアス・イヤリングなどモダンな雰囲気のなかに、手芸の温かさが伝わります。親しい方へのお土産にもぴったりです。

「界 津軽」で青森の魅力を満喫!2月は「かまくら」も登場

「界 津軽」で青森の魅力を満喫する!

弘前の街歩きをした後は、いよいよ「界 津軽」へ! JR大鰐温泉駅から無料の送迎バス約5分で到着です。

ロビーラウンジは日本画の巨匠・加山又造による壁画「春秋波濤」がある広々としたスペース。そして津軽四季の水庭があり、四季折々の風景を作り出しています。2月はここに「かまくら」が仕立てられます。

水庭には「かまくら」も

「津軽こぎん刺し」で彩られる客室

チェックインし、客室へ。客室に向かう廊下の天井を見上げると、津軽こぎん刺しのさまざまな模様が描かれています。

40室ある客室はご当地部屋で、すべて異なる津軽こぎん刺しの模様で彩られ、障子や掛け軸、行灯などに美しい模様が浮かび上がります。寒い冬を忍んできた津軽の人の温もりも感じられるようです。

津軽こぎん刺しで彩られる客室:界 津軽
廊下(左)と客室(右)

リンゴが浮かぶ湯船や「かまくら露天風呂」で癒やされる

リンゴが浮かぶ湯船にとろみのある温泉
「かまくら露天風呂」

浴衣に着替えたら、大浴場へ向かいましょう。その前に、「温泉いろは」で大鰐温泉についてちょっとお勉強。大鰐温泉は江戸時代に発行された温泉番付の一つに、大関、関脇などの番付とは別に行司として掲載されています。それほど昔から知られていたというがわかります。そんな歴史を紙芝居で理解し、いざ入浴!

「温泉いろは」で大鰐温泉について勉強
歴史上の人物も訪ねた温泉を理解

大浴場の湯船は青森ヒバ製、そしてリンゴが浮かんでいます。ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉の温泉がとろりと体にまとわりつき、リンゴの甘い香りが心を落ち着けてくれるよう。冷えた体を芯から温めてくれます。

そして2022年に誕生した「かまくら露天風呂」のなんと気持ちのいいこと。燈籠の灯りがゆらゆらと水庭に映ります。

夕食前のひととき「津軽七雪かまくらアペロ」を体験!

夕食前のひととき「津軽七雪かまくらアペロ」を体験!

「界 津軽」では、冬になるとスタッフがオリジナルのかまくらを作ります。かまくらの外壁にはこぎん刺しの雪模様をあしらった「こぎん幻燈」が灯り、雪国の風情を演出します。

このかまくらで楽しめるのが2024年2月に開催される「津軽七雪かまくらアペロ」です。夕食前のひととき、7種類の雪をイメージしたアミューズと日本酒で特別な時間を過ごせます。

津軽七雪かまくらアペロ:界 津軽
七雪アミューズ

今回の取材では、ひと足お先に7雪アミューズを試食。7雪はこな雪・わた雪・つぶ雪・みず雪・ざらめ雪・こおり雪・かた雪、これに見立てたアミューズがいただけます。こな雪はきな粉、わた雪はとろろ、つぶ雪はとびこ(飛魚の魚卵)といった具合で、よく工夫され、変化に富んだ美味なアミューズでした。

まぐろ尽くしを満喫する贅沢な夕食

まぐろ尽くしを満喫する贅沢な夕食

お楽しみの夕食、秋冬の特別会席はなんと「大間のまぐろ」尽くしです。本州最北端に位置する青森県の下北半島大間町は全国に知られるクロマグロの産地。津軽海峡で獲れるクロマグロは「大間まぐろ」の名前でブランド化されています。旬は秋から1月くらいまで、夕食でたっぷりと堪能できます。

お造りと握り寿司
お造りと握り寿司

先付の鮪と雲丹のあられ和えから始まり、お造りと寿司、揚げ物、台の物、さらに土鍋で炊いたご飯と漬け鮪で丼を作るというフルコース。その濃厚な香りと味を贅沢に味わい尽くしましょう。

台の物は鮪のねぎま鍋
漬け鮪でつくる丼
漬け鮪でつくる丼

津軽三味線のレッスン「手業のひととき」

津軽三味線のレッスン「手業のひととき」

ご当地の文化を体験する「手業のひととき」。「界 津軽」では、貸し切りの離れで、なんとプロの津軽三味線奏者からプライベートレッスンを受けるというものです。世界大会でも優勝経験がある佐藤晶さんから三味線の持ち方、バチの持ち方、演奏の技法などを聞き、実際に体験。

プロの使う道具も拝見
プロの使う道具も拝見

津軽三味線は力強く豪快な演奏が特徴で、バチを叩きつけるように弾いたり、「かまし」と呼ばれるバチで打つことと指で弦をはじく組み合わせなどを教えてもらいます。津軽三味線が少し身近になりました。

独特の音色が圧倒する津軽三味線のご当地楽

独特の音色が圧倒する津軽三味線のご当地楽

毎晩9時頃に開催されるご当地楽。ロビーラウンジには宿泊客が集まり、津軽三味線の生演奏を楽しみます。

「手業のひととき」でご指導くださった佐藤晶さんを中心に、宿のスタッフも熱演します。津軽じょんがら節など、力強さと激しさに圧倒されます。先ほど親しんだ津軽三味線の難しさを思うと、スタッフの方の努力をしみじみ感じ入ります。割れんばかりの拍手の後は、ミニ三味線教室。誰もが津軽三味線の虜になっていました。

おいしい郷土料理と津軽こぎん刺し体験を満喫!

よく眠った翌朝は、帆立貝の焼き味噌や焼き魚、炊き合わせなどと炊き立てのご飯で味わう和朝食で一日を始めます。

食後は、津軽こぎん刺し体験に挑戦です。

トラベルライブラリーでは誰でもいつでも無料で、宿オリジナルの紙製しおり作り体験ができます。津軽こぎん刺しに必要な道具が揃えられ、糸の色を選び、手引書に沿って、一針一針縫っていきます。無心になれるひとときと模様が出来上がる楽しさが味わえます。


伝統文化体験や、まぐろ尽くしの料理、心地よい温泉。寒い冬だからこそ感じられる東北の魅力を体験する旅に出掛けてみてはいかがでしょうか。

今回宿泊した温泉宿はこちら

界 津軽
古くから湯治場として知られる津軽の奥座敷にある温泉旅館。名湯・大鰐温泉のなめらかな湯と大間のまぐろ、津軽三味線の生演奏を楽しむことができる。70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気。

●住所:〒038-0211 青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1

取材協力:星野リゾート 文・写真:関屋淳子 編集:竹下沙弥香(ハルメク365編集部)

ハルメク365編集部

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