- ハルメク365トップ
- カルチャー
- エンタメ
- 【書評】木内昇著『占』他おすすめの本3冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、毎日のように占いを確認し、心の拠り所として周りの意見に頼ってしまう人が占いの果てに見つけたものは何か。人の心理の怖さや切なさを綴った本など3冊をご紹介します。
木内昇著『占』
毎朝テレビの情報番組の占いコーナーを見てから出発し、通勤中はスマホで週間占いをチェック。あれ? 私は無意識のうちに占いに頼っているのかもと不安になり、手に取った本書。女性たちが占いの果てに見つけるものは何かが描かれた7つの短編小説集です。
登場するのは、好きな男の心を知りたくて納得のいく答えが出るまで占い師を訪ね続ける女性、よその家庭をランク付けして双六に見立て、自分の幸せをかみしめる主婦……。人は悩み迷うとき、心の拠り所になるものを探してしまう、つい他人の意見に頼ってしまう。不安定に思いつめてしまったときの人の怖さに、時にヒヤリと、時に切なくなりました。占いはほどほどに。
佐々涼子著『エンド・オブ・ライフ』
「理想の死」とは何か。7年にわたり在宅医療の現場を取材した著者が綴るのは、死にゆく人とその家族がどのような最期を選ぶのか、医師や看護師はそこにどう寄り添うのか、ということ。こう書くと、涙なしでは読めない感動ストーリーを想像するかもしれませんが、本書はそれだけでは終わりません。死が迫った女性が家族と潮干狩りに行くなど心揺さぶられるエピソードと並行して、著者の友人で、200名の患者を看取ってきた看護師が、自らの最期をどう迎えるかが丹念に描かれ、よりくっきりと命の終え方を想像することができます。ああ、もっと好きなように生きて、死んでいいのだ、と、爽やかな読後感が残りました。
木原祐健著『神谷町オープンテラスのおもてなしお寺スイーツ12カ月』
疲れたときに読みたくなる本、というのがあります。子どもの頃から読みなじんだ本などがそうなのですが、それ以外なら“おいしいものが載っている本”。元気がもらえるのです。
この本もそんな一冊。東京・神谷町に春から秋にかけてオープンするお寺のカフェテラス(要予約だそうです)で供される、和のお菓子にまつわるエピソードが作り方とともに紹介されています。わらびもちや桜もち、その作り方を読んでいるだけでも、不思議と心が落ち着いてきます。若い住職さんの人を思う心配りが言葉に行き渡っているのです。ページが一服の清涼剤のようでした。
※この記事は2020年5月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
■こちらの記事もおすすめ
雑誌「ハルメク」
女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
-
巻き爪を予防する靴選び
健康的な足を守るために「靴選び」はとても重要。巻き爪や足トラブルを防ぐ靴の選び方と履き方をシューフィッターに聞きました。 -
「朝の尿モレ」これで解決
どっと押し寄せる朝の尿意。そんなやっかいな「朝の尿モレ」に特化した吸水パッドをハルトモさんがお試し!はたして効果は? -
薬局の待ち時間を解消
薬局でのキツい待ち時間。仕方ないとあきらめていませんか?アイン薬局のアプリを使えば、実は待ち時間問題は解消できるんです! -
突然の出費はこれで解決!
住宅ローンや子の教育費などお金がかかる50~60代。一方で親は高齢となり、その金銭面の援助も不安。解決策を探ります。 -
老化を早める「体の酸化」
体の酸化度(サビ度)をチェック!「老けやすい生活」を送っていませんか? -
1回10分~の健康習慣♪
一流講師のレッスン100以上!本会員は無料で受け放題!日替わり「まいにちレッスン」の詳細はこちら★