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- 【書評】『かっかどるどるどぅ』他2冊
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、仕事や介護、家族やお金などさまざまな問題を抱え、孤立して生きざるを得ない人たちを描いた芥川受賞作家の二作目『かっかどるどるどぅ』など3冊をご紹介します。
若竹千佐子著『かっかどるどるどぅ』
63歳のデビュー作『おらおらでひとりいぐも』で芥川賞を受賞した著者の2作目となる本作は、仕事や介護、家族やお金などさまざまな問題を抱え、孤立して生きざるを得ない人たちが、いかに「共に生きていく」ことができるのかを群像劇の形で描いています。
女優になる夢を捨てきれないまま、つましい暮らしを送る60代後半の悦子(えつこ)。夫を亡くし、舅、姑の介護に明け暮れているうちに68歳となってしまった芳江(よしえ)。他、30代、20代の2人とともに4人が古いアパートの一室で出会う。
そこでは、不思議な女性・片倉吉野(かたくら・よしの)が食事をふるまっていて……東北弁はもちろん、リズミカルに読み進められる豊かな文体は健在。読んでいるうちに、いつの間にか励まされる一冊です。
鈴木まもる著『身近な鳥のすごい巣』
画家・絵本作家で鳥の巣研究家でもある鈴木まもるさん。ご自身が描くリアルかつ親しみやすいイラストともに、36種類の鳥の生態、巣、卵について解説されています。
「ツバメが巣を作るとその家は繁盛する」とよく聞きますが、実はその逆。もともとは崖などに作っていたのが、人の出入りが多い家は安全ということで、家の壁に作るようになっていったそう。
賢いことで知られるハシブトガラスは、針金のハンガーで巣を作ることもあり、それは木に巻き付けて巣が落ちないようにしているためとか。ウグイス、カルガモ、フクロウなど、なじみがありながらも、巣はよく知らない鳥たちのエピソードが満載。
その姿や声だけでなく、今まで知らなかった生態にも興味が湧いてきます。
玉置妙憂(監修)PECO(まんが)『まんが版死にゆく人の心に寄りそう医療と宗教の間のケア』
看護師で僧侶の玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)さん。再発したがんの治療を続けない「自然死」を選択した夫を自宅で看取り、高野山で修行して僧侶になりました。
在宅療養中、夫に起きた体・心の変化と、玉置さんがどう受け止めてきたかが細やかに書かれた『死にゆく人の心に寄りそう』がまんが版に。
身近な人を見送ったことがあれば、玉置さんが抱いた答えのない心の葛藤に共感できるはず。また、書籍版から再録された「後悔しない看取りのために」には、大切な人との残りの時間に“寄りそう”ための具体的なアドバイスが。読みやすくヒントがいっぱいです。
雑誌「ハルメク」の連載「コトノハメクリ」の言葉がなぜ私たちに刺さるのか、よくわかります。
※この記事は2023年9月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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