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- 人生相談:老後、子どもになるべく迷惑をかけたくない
読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、68歳女性の「自分の老後、子どもになるべく迷惑をかけずに生きるための、今からできる準備を知りたい」という相談に、介護・暮らしのジャーナリスト、太田差惠子さんが回答します。
68歳女性の「老後、子どもに迷惑をかけたくない」という相談
自分が老いていく過程で、子どもになるべく頼らず、最期を迎えたいと思っています。
そのためには、施設に入居したり、家を処分したり、いろいろとやらなければならない事が多いように思います。
今からできる準備や、子どもに迷惑をかけないための方法を教えてください。
(68歳女性・花子さん)
太田さんの回答:子どもに頼っても、寄りかかりすぎはNG
「子どもに迷惑をかけたくない」との思いは、花子さんに限らず、多くのシニア世代に共通する願いだと言えます。
もしも、花子さんがケガや病気で入院することがあれば、子どもは病院に駆け付けてくれるでしょう。花子さんの夫の状況によっては、子どもが入院手続きをして、身元保証を行うことになります。手術が必要なら、同意書にサインをして、手術当日は仕事を休んで立ち合うことになるでしょう。
退院時に、身の回りのことができない状態なら「お母さんのことを、どのようにして介護すればいいのだろう」と悩ませることになるかもしれません。
けれども、それは家族であればお互い様であり、子どもが倒れて親が看護を担うこともあります。「どうしよう、大変なことになった」と頭を抱えることはあるかもしれませんが、「迷惑」とは思わないのではないでしょうか。
ただ、年齢が上がると、“倒れる”日がやってくるのは「もしも」ではなく「やがて」という言葉に置きかわります。大切なのは、子どもによりかかり過ぎないこと。
例えば、子どもが入院手続きや退院手続きをしてくれた場合、支払ってくれたお金は返すべきでしょう。病状やケガの具合で、意識が混濁していて、子どもが支払いを済ませてくれたことに気付かないかもしれません。元気なうちに「もし、看護や介護で支払いが必要になったら、このお金を使って」とお願いしておけると安心です。
金融機関に預けてあるお金は、家族でも簡単に出金はできないので、引き出し方法も伝えておきたいものです。キャッシュカードの暗証番号をどこかに書いておくとか、金融機関に子を代理人として登録しておくとかが考えられます。
介護が必要になった場合も、お金は必要です。どのお金で、どのように介護をしてもらいたいのか、よく考えて、子どもに伝えておきましょう。
「いざとなったら自宅を売って、そのお金で施設に入る」という人もいますが、判断力が低下した状態だと売却は困難です。かといって、子どもが親名義の家を売却することも容易ではありません。元気なうちに、成年後見制度の中の「任意後見制度」、もしくは「家族信託」などで備えれば、代行してもらうこともできるかもしれません。
子どもの人生の幅を狭めないために元気なうちに話し合いを
子どもは親が倒れることを「迷惑」とは思わない、と思います。けれども、結果として子どもの人生に大き過ぎる影響を与えることがあります。その一つは「介護離職」です。
そのとき、子どもが「親を施設に入れるのはかわいそうだ」とか「サービスを使ったり、施設に入れたりするお金がないから」と思い詰め、仕事を辞めて自分の手で介護を行うケースがあります。実際、年間10万人近い人が看護・介護のために離職しています。
また、「誰が親の介護をする?」と、子どもたち(きょうだい間)や夫婦間で仲が険悪になることも珍しくありません。親にとって、自分の子どもが、自分のために家族と仲たがいしたり人生の選択肢を狭めたりすることは避けたいはず。
元気なうちに、「どこで、どのように介護をしてほしいか」をよく考え、いざとなったときに実行してもらえるよう、その資金を子どもが動かせるようにしておきたいものです。
さらに「判断に迷うことがあったら、必ず、あなたの人生を優先して」と言っておくことが大切だと思います。
回答者プロフィール:太田差惠子さん
おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など多数。最新刊は『子どもに迷惑をかけない・かけられない!60代からの介護・お金・暮らし』(翔泳社)「親の介護で自滅しない選択」(日経BP)など多数。。
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