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- 人生相談:片付けられない夫と同居義両親にストレス…
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、54歳女性の「夫と夫の両親は物を片付けません…共有スペースが散らかっていてストレスです」という相談に、消費生活アドバイザーの阿部絢子さんが回答。
54歳女性の「夫の両親の片付け」についての相談
現在、夫の両親と一緒に二世帯同居で生活をしています。
私は物が散乱していると気になる性格なので、すぐに片付けるのですが、夫と夫の両親は気にならない性格のようです。何度か夫にも相談をしたのですが、私の言っていることが理解できないようでした。
夫の両親なので、私からあまり強く言えず、いつも共有スペースが散らかっているのがストレスです。
片付けが苦手な人でも、片付けしやすくなるような環境作りをしたいと思うのですが、どうしたらいいのかわかりません。
(54歳女性・さくらさん)
阿部さんの回答:あなた主導の片付けができる環境作りを
先日、久しぶりに会った友人に「実家の両親も弟も、片付けをしなくて困ってるんです。この写真、見てください。キッチンの様子、ひどいでしょ?どうしたらいいですか?」との相談を受けました。
写真を見ると、確かにあらゆる物が散らかり放題。どうしたらいいか……と悩む状態です。ご両親の姿を見て友人は「こうはなるまい」と思ったそうです。私は友人のご両親が片付けられないのは「忙しく、時間が無い」が一つの原因ではないかと、写真を見て思いました。
この友人の家に限らず、いずれの家も年配者の片付け問題は、当人は気が付かないのですが、周りが手を焼いているのが実情なのだと思います。
今回のご相談には「現在、夫の両親と一緒に二世帯同居で生活をしています」とありました。
「現在」とあるので、ご両親と同居すると決めた時があったはず。あるいは、結婚する以前に、ご両親の家に出入りをしていたのでは?と推測します。その出入りの際に、ご両親の物に対しての使用状況、置き場所、片付け方など、ご覧になられていたのではないでしょうか。
そうした機会にご両親の日頃の暮らしぶりや、暮らしに対しての姿勢などを、つぶさに見聞きするチャンスがあったかと思うのです。見聞きする際に、夫とそのご両親の“物散らかし習慣”を既に理解していたのではないでしょうか。同居して初めてわかったというのでは、遅すぎます。
というのは“散らかし習慣”を既に身に付けてしまった人たちを変えるのは、長年の暮らしや習慣の変更ですから、至難の業!
万一、散らかった状況で転倒やつまずき、そして骨折などのダメージでも受けない限り「散らかっていても大丈夫」と思い込んでいる人たちですから、この習慣を変更するのは難しいのです。
しかも3対1の「片付け姿勢」です。三人が、“散らかし習慣”に気が付かない限り、さくらさんの抵抗は並大抵なことではないと思います。
お母様とじっくり話し合って徐々に「へら渡し」を
ところで、さくらさんは「へら渡し」あるいは「柄杓(ひしゃく)渡し」という言葉を、お聞きになられたことはありませんでしょうか?
「民族の事典」(岩崎美術社出版)の解説を要約すると
家制度・家長制度を重んじていた頃、家の首長として父親は家族を統率し、外に向かって家を代表していました。一方、その妻である母親は、食糧の管理配分、衣類の調達、育児など家内の切り盛りを一手に引き受け、家の内部を支配していました。
このように、家制度・家長制度時代には、両親が、家の外・内の支配をする力を持っていたのです。特に、主婦である母親が持つ主婦権、これをへらとか柄杓などで象徴していて、この権利は、息子の嫁が同居しても、息子が家長権を持たない限り、主婦権(へら・柄杓)も嫁には渡さないのが、一般的な習慣でした。家長が息子さんに移って、初めて「へら渡し」「柄杓渡し」として、主婦権が母親から嫁に渡ることになるのです。
という意味合いになります。
現在の社会で、ご両親との同居で、こうした環境が残っているという明確な資料などはありません。でも、もしかしたら、さくらさんの夫のご両親には、いまだにこの考えが根付いているのかもしれません。
もしそうであるならば、さくらさんに渡していただくべく、まずは話をすることが一つの道ではないでしょうか。ただし、すぐに環境が変化するというわけにはいきませんから、ここはじっくりです。
ご両親と食事のことやキッチンの不便なこと、片付けや安全に関することなど、第一段階としての「へら渡し」を実行に移すべく、話をするチャンスを持つことが大切です。
その上で「キッチンかリビングのどちらかをさくらさんに受け持たせてほしい」と話してみてはいかがでしょう。
初めは、うまくいかないかもしれませんが、気長に繰り返してみてください。へら渡しが可能になると、さくらさん流の片付け方が叶えられてきます。まずは、へらを渡してもらい、さくらさんの片付け実行を手に入れること、これを考えてみてください。
回答者プロフィール:阿部絢子さん
あべ・あやこ 1945年、新潟県生まれ。生活研究家(消費生活アドバイザー)・薬剤師。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。薬剤師の資格を持ち、今も現役で働いている。
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