50代からの女性のための人生相談・172

人生相談:年収200万で一人暮らし!定年後が心配…

畠中雅子
回答者
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子

公開日:2024.01.28

「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、61歳女性の「年収200万で貯金は0…来年定年になるけれど、定年後もお金を稼ぐにはどうしたらいい?」という相談に、FPの畠中雅子さんが回答。

61歳女性の「定年後の収入源の確保」についての相談

私は現在一人暮らしで年収200万円、借家(ローン)100万円、貯蓄額0円という状況です。

あと1年で退職ですが、パートなので退職金はありません。年金もあまりなく、定年後の年収は80万円くらいになりそうです。

退職後、働き続けられるかわかりませんので、どのような生活設計をすればいいのか心配でなりません。今からどうにか貯金を始めたとしても「死ぬまで働かないと生きていけない」という気持ちでいます。

なので、今の私には「定年後もお金を稼ぐこと」が最重要課題になっています。女性一人で、頭も悪く、人付き合いも苦手な私が、年をとっても、稼ぐことはできるのでしょうか……?

(61歳女性・とくさん)

畠中さんの回答:厚生年金に加入できる事業所でのパートを探して

畠中さんの回答:厚生年金に加入できる事業所でのパートを探して

とくさんの年金額を拝見したところ、国民年金だけの加入でしょうか。厚生年金も少しだけ、上乗せされた金額でしょうか。

現在までの生活状況や仕事状況がわからないため、退職後の職探しについてあまり具体的な案は出せませんが、とくさんもお話されている通り、退職後もパートなどで働き続けるしかないのが現実だと思います。

新しい仕事先も、社会保険に加入できるところを全力で探しましょう。2024年10月からは、常時雇用者数51人以上の会社で、週に20時間以上働いた場合は、社会保険への加入が義務付けられます。

現時点では101人以上の会社となっている加入条件が51人以上に緩和されるので、社会保険に加入しやすい状況になっています。

とくさんが退職されるのは来年(2025年)とのことなので、とくさんが仕事を探されるときは51人以上の条件に緩和されているはずです。社会保険に加入した状態で、来年以降も引き続き働ければ、将来受け取る年金額を増やせます。

ちなみに、厚生年金には70歳になるまで加入できます。仮に、一月の給与(標準報酬月額)が15万円だとして、62歳から5年間、厚生年金に加入したとすると、厚生年金部分は年間で5万円くらい増やせます。月4000円程度でも、年金だけで暮らす時代には助かるお金になるはずです。

もし、とくさんの国民年金の加入期間が40年に達していなければ、国民年金の加入期間が1年延びるごとに、年間2万円弱くらい国民年金額も加算されます。

さらにパートで働けているあいだは年金を繰り下げて、受け取り始める時期を先送りにするのもおすすめです。仕事を辞める時まで年金の受け取り開始を先送りすれば、年金の受給額をさらに増やせるからです。

また年金額の少ない方は、年金生活者支援給付金が月に5000円ほど上乗せされます。令和5年度の正確な金額は月5140円。毎年十円単位で支給額は変動していますが、月に5000円でも上乗せされるのは、助かりますよね。

市営住宅など、家賃の安い住まいを全力で探すのも重要

市営住宅など、家賃の安い住まいを全力で探す

年金を増やしたり、繰り下げ受給を選択したとしても、家賃が高ければ、生活が成り立たないかもしれません。そのため、今のうちから市営住宅への応募を始めてはいかがでしょうか。

すぐに当選できるわけではありませんが、落選回数が多いほど、抽選倍率が有利になる市町村もあります。現在の居住地にこだわらずに、市営住宅の抽選倍率が低いエリアを狙うのも一つの作戦になるかもしれません。

家賃が少ない部屋を見つけられたとしても、年金だけで生活が成り立たないのであれば、生活保護の申請も視野に入れるしかなさそうです。生活保護費から年金額は差し引かれるものの、医療費や介護費用が生活保護費から支給されるのは、安心材料といえます。

全財産が数万円程度まで減った状態であれば、生活保護の申請を認めてくれるのが一般的です。現在の仕事を退職した後も働き続けることを前提としながらも、どうしても生活が立ち行かなければ、生活保護の申請を検討してみてください。

今後の生活に対しての不安が強いと思われますので、地域の社会福祉協議会などに足を運んで、生活保護が受けられる条件などを聞いてみると、不安を少しは軽減できるかもしれません。

いずれにしましても貯蓄がゼロの状態では、体調が悪くても病院の受診すら控えてしまう可能性があるはずです。受診を控えることで、病気の発見が遅れてしまう可能性もあります。病院の受診を繰り返すようになったら、生活保護で助けてもらうことも視野に入れてみてください。

回答者プロフィール:畠中雅子さん

畠中先生

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。


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