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- 冷凍食品=体に悪いは勘違い!プロに聞く最新冷食事情
長引くコロナ禍を通して「冷凍食品が身近になった」という方は多いのではないでしょうか?でも、心に浮かんでくる「冷凍食品って体にいいの?」「本当においしいの?」という疑問。冷凍食品ジャーナリストの山本純子さんに、最近の冷凍食品事情を聞きました。
山本純子さんのプロフィール
やまもと・じゅんこ
冷凍食品ジャーナリスト。冷凍食品エフエフプレス編集長。1981年冷凍食品新聞社入社。冷凍食品新聞の記者を経て98年から編集長。2015年独立。テレビ、新聞、雑誌などのメディアで冷凍食品の基礎知識やトレンドを紹介している。これまでに食べた冷凍食品は1万5000食にものぼる。冷凍食品エフエフプレス
コロナ禍で冷凍食品を使う人が増えた!
緊急事態宣言中の巣ごもり生活で、主婦の肩に重くのしかかった「3度の食事作り」。この試練を乗り切るために、手軽に短時間でおいしい料理を作れる冷凍食品を使った方は多いはず。
2020年、日本の家庭用冷凍食品国内工場出荷額は3748億円にものぼり、前年と比較して18.4%も伸びました(一般社団法人日本冷凍食品協会発表)。調査が始まって以来初めて、家庭用の出荷額が業務用の出荷額を上回ったのです。
しかし、家庭で冷凍食品を使うとき「体に良くない」「栄養が不足しそう」というマイナスイメージがつきまといます。「それは誤解なんですよ」と話すのは、冷凍食品記者歴40年、冷凍食品エフエフプレス編集長の山本純子(やまもと・じゅんこ)さんです。
冷凍食品=不健康は誤解!実は保存料を使わなくてよい
「『冷凍食品は長持ちさせるために保存料を使っているから、体に悪い』と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、前提として冷凍食品は家庭用冷凍庫の10倍以上もの速さで急速冷凍されます。そして、製造から販売までずっとマイナス18℃の世界。これだけ低温の世界では、食品を腐らせる原因となる菌は繁殖できません。腐らないから、保存料を使う必要がないのです」
なるほど、冷凍食品は製造からお店に並ぶまで一貫して低温の環境が保たれています。これだけ低温の世界では、菌は活動も増殖もできないから食中毒は起こりようがありません。だから、保存料はいらないのです。
素材の栄養&おいしさをまるごと急速冷凍
では、栄養面はどうでしょうか?
「作りたての食品をすばやく一気に冷凍するから、細胞の組織が壊れにくい。組織が壊れていないということは、栄養価や味わいをそのまま保つことにつながります。
まるで冷凍で老化を止めてしまうようなイメージです。出来たての料理の時間を止める、ピチピチの栄養を保った状態で眠らせるような感じですね。また、冷凍食品のメーカーは野菜や魚介類などの素材を旬の時季に買い付けて冷凍します。最もとれる時期は最も安い。1年間安定した価格で提供できます。しかも、旬の素材は栄養価が高く、何よりおいしいですよね。低温の力で、時間を止めて空間を超越できる。これが冷凍食品最大のメリットなんです」
いつでも旬のおいしくて栄養たっぷりの素材。そして、冷凍しても栄養が損なわれにくい。これなら安心して毎日の食生活に取り入れることができそうです。
2000年代以降、冷凍食品全体で味がレベルアップ!
冷凍食品は保存料が使われていなくて、栄養もとれる。では、肝心の「おいしさ」はどうでしょうか。最近は、「冷凍餃子が東京五輪でも好評!」「麺は冷凍の方がコシがある!」と話題にのぼることも多いですが……。
「20年くらい前は冷凍食品といえば『お弁当のおかず』で、夕食でも脇役。決して主役にはならない存在でした。しかし、2015年頃から各メーカーがとてもおいしくて話題になるような炒飯や餃子をはじめとして、消費者のニーズを捉えた商品を次々と打ち出しました。メーカー同士で『よりおいしく』『より簡単に』と競い合ったおかげで、レベルが上がったんですね。結果的に冷凍食品業界全体に波及して、今ではメニューも豊富になり、各社研究開発に力を入れておいしいものがどんどん発売されています。
もし、50代以上のハルメク世代の方で、かつて子どものお弁当に入れていた冷凍食品のイメージのままで止まっている方がいたら、最近の冷凍食品をぜひ試してほしいですね。以前とは180度違う印象を持たれると思います」
保存料が使われていなくて、栄養もとれて、おいしい。解凍方法さえ間違えなければ、今や冷凍食品は夕食の主役になれる実力があります。今夜のおかずは、おいしい冷凍食品で決まり!
取材・文=小林さやか(ハルメク 健康と暮らし編集部) 撮影=中西裕人
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