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- 大井川鐵道で行く静岡旅!トロッコ列車で温泉へ
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、気軽におでかけできる女性ひとり旅を紹介。今回は大井川鐵道。静岡の秘境駅、日本一高い鉄道橋、日本一短いトンネル?、1泊2日、1分も無駄にしない食の魅力と見どころを凝縮しました。
始発で出発!朝食は、静岡駅の「チーズそば」
令和になって最初の旅は、静岡県の大井川鐵道に決めました。
訪れるのは5回目ですが、まだ終点の井川駅まで乗ったことがありません。というのも度々起きる土砂崩れで、行く機会を失っていたのです。そして今年3月、不通となっていた井川線がついに運行再開しました。
その絶景や秘境駅、今の時期ならではのやわらかな新緑を堪能してきました。
まずは東京駅から新幹線で静岡駅まで行き、在来線に乗り換えて金谷駅に向かいます。いつも乗り換え時間に余裕がなかったので、今回はこれを食べるために始発の新幹線に乗車。
チーズとそば、果たして……と思ったら、これが合う! 全く違和感はありません。食べやすい麺と、少し甘めのだし汁、だし汁の熱で溶けたチーズが見事にマッチしていました。さらにタバスコをかけて味を変えれば、すっかりイタリアンです。
大井川鐵道の旅は、お得なきっぷを買いましょう
JR金谷駅から大井川鐵道の金谷駅への乗り換え口は、上りホームに直結しています。
待っていたのは東京で走っていた元東急電鉄7200系電車。この車両は東京で引退した後、「冬の青森旅(前編)」で訪ねた、十和田観光電鉄(三沢〜十和田市)で走っていました。「とうてつ」が廃線になり、大井川鐵道まで運ばれ、改造されて今もここで活躍しているのです。
乗車前に、金谷駅で「大井川周遊きっぷ」というフリーきっぷを買いました。このきっぷは2日間有効のものと、3日間有効のものがあります。これで大井川本線と井川線、沿線のバスに乗り降り自由です。今回使う2日間のもので4400円ですが、金谷〜井川まで片道3130円なので、かなりお得なきっぷといえます。
今回は新金谷駅で2時間、乗り換えの待ち時間がありました。大井川鐵道は、本数がとても少ないのです。実は、金谷駅から新金谷駅までは距離にして1.5Kmほどなので、歩くという手もあります。毎年期間限定で運行する、大人気の「きかんしゃトーマス号」や通常のSLも新金谷駅からの発着です。
大井川鐵道沿線は、駅の近くにコンビニはありません。新金谷駅でコーヒーなどが飲みたいという方には、駅改札横にある「This Is Café」がオススメです。
静岡茶を使ったグリーンティーラテは甘くなくてさっぱり。絵が描いてもらえるSLラテは、ここだけのメニューです。迷いましたが、この日は今年初の暑さだったので、どちらも頼んで一気に飲み干してしまいました。
駅弁は駅斜め前のプラザロコ内で売っています。こちらが大井川鐵道沿線で、一番大きな売店です。気になるお土産は先にここで買っておきましょう。奥にはロコミュージアムという古いSLや駅舎の展示もあり、休憩スペースもあります。
懐かしい車両に乗って、駅弁と景観を楽しむ
駅弁とお茶を買って、千頭(せんず)駅へ向かいます。大井川鐵道は金谷〜千頭までが大井川本線、千頭〜終点井川までが井川線です。ホームには大井川鐵道で私が一番好きな車両、緑色の南海電鉄のズームカーと、近鉄ビスタカーが停車していました。
乗車するのはかつて近鉄で走っていた16000系電車。近鉄ビスタカーとして親しまれた後、大井川鐵道に譲渡されました。車内は回転式クロスシートでテーブルもあるので、お弁当が食べやすいです。大井川鐵道にはさまざまな車両が走っていますが、SLの所有台数も日本一!「動く鉄道博物館」と言われる貴重な路線です。
今日は「特選幕の内弁当」と、いつも一緒に買う「もみだし茶」。これは昔懐かしいポリ容器のお茶で、金谷茶のティーバッグとお湯を入れて、容器を揉んで濃さの調節をします。それから新発売だという「大井川鐵道椀茶」。お茶で450円という値段に迷いましたが、3杯飲めるというので、試しに買ってみました。どちらもお湯は売店でもらえます。
お弁当は黒はんぺんフライ、桜海老の佃煮、わさび漬、抹茶わらび餅など静岡ならではのおかずがいっぱい詰まっています。そして同封されていたこのわさび味のふりかけが、予想以上の美味しさでした。それにしても景色から何から全部が緑色です。
景色を眺めながら駅弁を食べる……という至福に浸っていたら、すでに乗車時間の半分以上が過ぎていました。地名(じな)駅に着いたら、車両の一番前へ。奥にトンネルが見えますが、その手前に「日本一短いトンネル?」があるのです。意識していないと見逃してしまいます。
日本で唯一の列車に乗り換えて、絶景に出発
1時間10分ほどで大井川本線終点の千頭駅に到着。井川線へと乗り換えます。井川線は「南アルプスあぷとライン」とも呼ばれる、日本唯一のアプト式列車。アプト式については「高崎でだるまとSL!(後編)」で触れたので、そちらをご覧ください。
車両が小さなトロッコ列車は、まるで遊園地の乗り物のようです。
ここからはさらに観光列車として、車掌さんのアナウンスが入ります。しかしトロッコ列車がカーブの度にキイキイとすごい音を立てるので、たまに聞こえないことも。
上流に行くほど大井川の色が濃い青緑になり、木々もやわらかな緑になっていきます。その中を走り抜けていく赤いトロッコ列車は、小さいながらも頼もしく見えます。
アプトいちしろ駅〜長島ダム駅間は日本一の急坂区間。こちらで1駅区間だけアプト式機関車を連結します。3分ほど停車するので、列車から降りて作業を見学できます。
90パーミル(1000mで90mの急坂)を上りきったあたりで長島ダムが見えてきます。先ほどの写真と比べ、川の見える位置がだいぶ低くなったのがわかるでしょうか。
秘境駅と呼ばれる尾盛駅は、周りに人家も、そこに至るまでの道路もなく、井川線でしか行くことができません。そして尾盛駅を過ぎて差し掛かるのが高さ70.8mの「関の沢橋梁」。日本一の高さの鉄道橋です。下を見ると、お尻がムズムズします。
1日目の終わりは、美女づくりの湯・寸又峡温泉
ついに終点の井川駅。ようやく到達できました! そして30分後に折り返すこの車両に再び乗車します。今のうちにお手洗いなど、井川駅で行っておきましょう。井川ダムは駅から近いので、見てくる程度の時間はあります。
慌ただしかったですが、目的が達成できて満足です。井川線で引き返し、奥泉駅で下車、寸又峡温泉行のバスに乗車しました。バスの終点、寸又峡温泉第3駐車場から歩いて1分もしない場所に、宿泊する「翠紅苑」があります。とても立派な建物です。
夕食の会場はレストラン。こちらはそれぞれのテーブルで目線が合わないよう工夫され、一人でも落ち着いて食事ができました。私以外にも男女ともに数人、一人で宿泊されている方がいました。食事は見た目も豪華で、特に静岡銘柄豚「浜名湖そだち」のしゃぶしゃぶ、あまごの塩焼きが美味しかったです。
地元、大井川の水から造られた志太泉酒造の「恋平」という冷酒と共にいただきました。
食後は温泉へ。寸又峡温泉は単純硫黄温泉と聞きましたが、硫黄の匂いはほとんどなく、ぬる湯で長く浸かっていられます。そしてなんといっても肌にまとい付くトロトロとした泉質! 美女づくりの湯と言われるそうで、顔にもバシャバシャとかけておきました。
大井川本線と井川線の線路はつながっていないので、どの列車に乗っても千頭駅で乗り換えです。私が大好きな湖の上の秘境駅・奥大井湖上駅は、後編でご紹介します。
「動く鉄道博物館・大井川鐵道で行く!絶景旅(後編)」
☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。
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