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- 別れから出会いへ、60歳目前に開けた新しい道
50代半ばから考えていた「60の手習い」、60歳を目前に思案どころです。そして還暦目前、運命に導かれるように新しい道が開けたのです。
60の手習い何しましょう
60まであと2年。
人生のラストステージに何かをやりたくて「60の手習い」をしようと思ったものの、何の手習いをしようか……と思案の日々。俳句? 習字? それよりやっぱり着物の関係がいいかな。今さら和裁? リメイクも楽しいかも? 母がやっていた組紐なんかもいいかなー。しかし組紐をどうやって学ぶ?
やっぱり着物の所作や健康を考えると、日本舞踊かも……。もう一度カルチャースクールの日本舞踊の講座を探してみようかな。
60歳になった自分を思い浮かべることもできないまま、日一日と弱っていく母の様子に、積極的に探す気になりませんでした。介護の中、何かを新しく始めようとする気持ちはなかなか起こらないものです。
コロナ禍でのお別れ
母の認知症が進み、老人ホームから小規模多機能ホームへ移ってから2か月ほど、コロナのため施設は面会禁止になってしまいました。それから2か月、母の認知症はますます進行し、寝たきりになってしまったのです。正月に初詣に出かけたのが、母との最後のお出かけとなってしまいました。
それでも医者から告げられた日より、さらに3か月長生きして、七夕の日、母は静かに逝きました。施設で看取りをしてくださったこと、最期に母の手を握りしめてあげられたこと、私にとって大きな救いとなりました。
お別れに際して、私に湧き出た思いは、ただ「ありがとう」の言葉だけでした。介護を終えた諸先輩が、「介護できてよかったと思うよ」。あの時はとても受け入れられなかったその言葉を、しみじみと噛みしめることができたのです。
私は59歳になっていました。
縁が結んだ日本舞踊への道
60になるまであと1年。
しかし、さあ、60の手習いへGO! と気持ちを切り替える事はできませんでした。
10年ほどの介護生活を振り返れば、実にさまざまな事がありました。悲しみ、苛立ち、怒り、そして優しさ……、しかし、それはまだ懐かしさではなく、虚脱感と後悔の念ばかり起こさせるものでした。
60の手習いを日本舞踊にするなら、そろそろ、カルチャスクールへ見学に行かなくては……と思いながらも、敷居は高く、日々慌ただしく過ぎていきました。
しかし、60歳になるその年の初め、運命ともいえる出会いが!?
長い間取引のある会社が主宰するカルチャースクールに、日本舞踊が新しく開講したのです。先生は、最初に見学に行こうとして断られたスクールの先生でした。
「60の手習いするんでしょ」
母から背中を押されたような気がしました。
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