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2019年10月10日
素朴な疑問
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
スーパーの鮮魚コーナーを歩いていたとき、店員さんの威勢のいい声が聞こえてきました。「さあ、10月10日はマグロの日! マグロ特売やってるよ! 安いよ安いよ〜!」
10月10日はかつての「体育の日」が有名すぎて、他の記念日があるとは知りませんでした。でもなぜマグロなの? マグロの旬はいつなの? 気になったので調べてみました。
10月10日がマグロに関係が深い理由には、今から1300年ほど前の奈良時代までさかのぼります。奈良時代に活躍した「山部赤人(やまべのあかひと)」という歌人がいました。彼が、西暦726年の10月10日に、奈良の大仏を建立したことで有名な聖武天皇(しょうむてんのう)のお供をして印南野(現在の兵庫県明石市)を訪れました。その際赤人が、マグロ漁で繁栄しているこの地の様子を歌った長歌が残されています。
一部を取り出してみると、
「……高知らせる 印南野(いなみの)の 邑美(おふみ)の原の荒たへの 藤井の浦に
鮪(しび)釣ると 海人舟騒き 塩焼くと 人ぞ多(さは)にある」
意味:(聖武天皇が)宮殿をお造りになる印南野の邑美の原の藤井浦(今の兵庫県明石市)には、多くのマグロをとる漁船が行き交っており、塩焼き(海水から塩を作る仕事)をするたくさんの人々が浜に出ている。
氷も十分に手に入りにくく、運搬手段も発達していなかった時代には、鮮度のよいマグロを生で食べられるのは産地だけの特権でした。赤人も、訪れた印南野でおいしいマグロに舌鼓を打ったのかもしれませんね。
ちなみに当時マグロは「鮪」と書いて「しび」と呼ばれていました。「万葉集」には他にも「しび」を歌った句が見られます。マグロが日本人にとって、昔から身近な魚であったことがよくわかります。
この句が後世まで伝わり、1986年に日本かつお・まぐろ漁業協同組合が『マグロをもっと食べてもらい、マグロへの理解を深めてほしい』という願いを込めて「マグロの日」と制定したそうです。
マグロは世界中の海に生息しており、旬の時季は漁獲される場所によって、身質も色目もさまざまです。日本近海で漁獲されるものについては、一般的に本マグロは冬、メバチマグロは秋と晩春、キハダマグロは春~夏が旬で、脂が乗っているといわれています。
10月10日のマグロの日の頃に旬を迎えるのはメバチマグロです。10月から12月に日本近海で獲れるメバチマグロは、マグロ特有の味とコクがあるといわれています。中でも脂の乗った中トロは最高だとか!
もちろん栄養価の高さもマグロの特徴です。脳細胞を活性化する働きがあるDHA(ドコサヘキサエン酸)の含有量は魚の中でもトップクラスといわれています。また、血液サラサラ、中性脂肪を下げる効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)、ビタミンB、D、Eや鉄分などのミネラル類も豊富なので、旬の時季においしくいただきたい魚です。
奈良時代のにぎわうマグロ漁港に思いを馳せながら、10月10日はおいしいマグロを食べてみようかな。
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イラスト:飛田冬子