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2019年03月16日
素朴な疑問
人は誰しも人生において、「落ちる」という言葉に過敏になる時期があるものです。
「あらやだ、うっかりソファで寝落ちしちゃ……ハッ」
「○○ちゃん、ハンカチ落ちたわ……ハッ」
「ワタシもすっかり体力が落ち……ハッ」
高校受験に大学受験、資格試験に昇格試験。どうして世の中にはこんなに試験が存在するのでしょう。あっちもこっちも気を遣いすぎて、ワタシの方が倒れそう。
ニュートンはリンゴが落ちて万有引力を発見したけれど、ワタシは体重以外に落ちてうれしいものはない!(きっぱり) たるみもぜい肉も下へ下へと勝手に落ちていくし、ああ重力がニクい……と空を見上げて、ため息またひとつ。
空といえば、すべてのものが「落ちる理由」を発見したニュートンは、空に浮かんだ月が「落ちない理由」も発見したと聞いたことがあります。考えてみれば、お月さまが落ちてこないというのも不思議な話。どうして月は落ちてこないのかしら?
気になったので調べてみました。「物理は大の苦手」という人も(ワタシも!)、ちょっとだけおつきあいください。
地球上のすべてのものは、引力にひっぱられて真下へ落下します。これがニュートンの発見した、有名な「万有引力の法則」ですね。では、ボールを投げるところを想像してみましょう。ボールを水平に投げると、カーブを描きながらゆっくりと落ちていきますね。これはボールが水平に飛ぼうとする力と、ものが落ちようとする重力がせめぎあって、少し離れた場所にボールが落ちるわけです。
今度は、さっきより力をこめてボールを投げてみましょう。当然ですが、さっきより遠い場所にボールが落ちましたね。より強い力で投げるほど、ボールは重力をはねのけて飛距離を伸ばしていくわけです。
ということは、ボールが飛んでいこうとする力と重力がちょうど同じバランスになれば、ボールは落ちずにどこまでも飛んでいくのかしら?
ピンポーン。大正解!
その絶妙なバランスというのが秒速7.9km、時速2万8440kmというスピード。新幹線の100倍! というすさまじい速さでボールが動けば、地球が引っぱろうとする重力とちょうど釣り合って、ボールはいつまでも落ちないまま進んでいくようになります。
月が落ちてこない理由は、どうやらこのボールと同じことが月にも起きているってことみたい。ワタシたちの目にはゆっくり動いているように見える月ですが、じつはものすごいスピードで地球のまわりを動いていて、地球が引っぱろうとする重力と絶妙なバランスを保っているというわけ。
新幹線の100倍なんて言われてもピンとこないけど(数字に弱いわ〜)、とにかく月は落ちてこないってことだけはわかったわ。ぜったい絶対「落ちない」お月さまにあやかって、勝負時には月に願かけしてみようかしら!
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参照:物理学解体新書
イラスト:飛田冬子