あなたは詐欺被害に遭わない自信がありますか?

詐欺被害に遭う、騙されやすい人の心理を専門家が解説

公開日:2020/12/12

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詐欺被害を防ぐには「断る力」が大切と話すのは、京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学助教の上野大介さんです。詐欺で用いられる心理テクニックとともに、騙されやすい人の特徴とチェックリスト、詐欺被害の予防策をお伝えします。

詐欺被害に遭う、騙されやすい人の心理を専門家が解説
詐欺被害に遭う、騙されやすい人の心理を専門家が解説

詐欺被害で用いられる心理テクニック

詐欺被害で用いられる心理テクニック

詐欺や悪徳商法の加害者は、私たちが周囲の状況を認識・推測する際の「心のくせ(バイアス)」を悪用しています。この「心のくせ」は意識すれば正すことができるのですが、加害者たちは意識させないような心理テクニックを仕掛けてきます。加害者たちの心理テクニックを知って、冷静に行動できるよう意識しましょう。

感情の喚起

身内の危機や銀行口座の不正利用などをでっち上げて、不安や恐怖を煽(あお)ってきます。また,還付金や未公開株の入手が可能になったなどの甘い言葉で、うれしい気分にさせて冷静さを失わせます。

「感情の喚起」を使った詐欺例:オレオレ詐欺、還付金詐欺、利殖商法など

時間的切迫

時間的切迫

もし詐欺話を持ち掛けられたとしても、感情を落ち着かせて一度冷静になって考えれば「問題ない」と思えるかもしれません。しかし、加害者たちはその時間を与えません。時間的余裕を与えず、即座に振込みや支払いを要求してきます。お金を振り込もうと慌ててATMに行く際に,車が利用できず自転車で移動したことで道中に冷静になり、振込みをとどまった事例もあります。

「時間的切迫」を使った詐欺例:架空料金請求詐欺、送り付け商法など

確証バイアス

人間は思い込みや先入観を修正するのがとても難しいです。恋愛と同じで、人を好きになるといいところだけを見るようになり、悪いところは見えなくなりませんか。
加害者の話をいったん信じると,怪しい挙動ですら危機的状況だから相手も焦っていると誤った解釈をしてしまいます。このような「心のくせ」により、冷静さを失った状況では疑うことすら思いつかないです。

「確証バイアス」を使った詐欺:預貯金詐欺、デート商法など

権威

相手が公的機関や有名企業の人の場合、相手を疑い、指摘することは難しいです。加害者たちは、警察官や銀行職員、弁護士という権威ある肩書きを悪用して、私たちに近付いてきます。
また権威を悪用する例としては、裁判所の判決や企業の決済サービスに従うような理不尽な要求も含まれます。私たちが疑い指摘できないように、加害者たちは複数の権威ある人物を演じて舞台演出のように工夫を凝らしています。

「確証バイアス」を使った詐欺:キャッシュカード詐欺盗、架空料金請求詐欺など

(出典:秋山、2013:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2013/white_paper_summary_column/)

詐欺被害を防ぐ!「断る力チェック」をしましょう

「断る力チェック」をしましょう

騙されやすい人は、断れない人が多いという傾向があります。詐欺被害を防ぐためには、まずは「断る力」をチェックしてみましょう。あなたに当てはまるものに〇をつけてください。(ご両親やお子様に試してみてください)

  1. 関心がない勧誘は、キッパリと断ることができる。
  2. 購入した商品が不良品だと思ったら、クレームを入れる。
  3. 強くすすめられると断るのが申し訳なくなる。
  4. とりあえず話を聞いてから考えようと思う。
  5. 店員のミスに気付いたら、小さなことでも指摘する。
  6. 自分に落ち度があっても、とりあえず自分の要望を店員に伝える。


断る力チェックの結果の見方

  • 1、2に○がついたあなた

自分の意見を正しく表明することができ、断る力をしっかり持っているタイプと考えられます。怪しい訪問販売に遭遇してもしっかり断れるでしょう。

  • 3、4に○がついたあなた

断るときに罪悪感を抱いてしまう傾向があるタイプ。販売員はあなたの感情を揺さぶって、商品を買わせようとしてきます。うまく自分の感情を抑えて断りましょう。

  • 5、6に○がついたあなた

断ることはできますが、少し言い過ぎてしまう傾向があるタイプかもしれません。相手の気持ちを逆なでしないよう、穏便に収めましょう。

「断る力チェック」では、心理学で研究されているアサーション(主張性)を測っています。アサーションとは、自分の感情や考えを主張すべきときに、相手の立場を尊重しつつ、その場にふさわしい方法で率直に表現することです。
日常生活でのアサーションには相手の立場を尊重するバランスが大切ですが、時には加害者たちの要求を強く断ることや相手にしない行動も必要です。

出典:(大工・上野、2019:http://nacs.or.jp/honbu/wp-content/uploads/2019/03/jiritu_shouhisyanosusume_sasshi2019.pdf)

詐欺被害者・騙されやすい人の特徴

詐欺被害者・騙されやすい人の特徴

詐欺被害者は圧倒的に高齢女性が多いです。これは専業主婦として在宅時間が長いため詐欺加害者たちからの電話や訪問を受けることが多く、家計を管理しているため支払いや振込みも自分でできるからだと推測されます。

高齢男性の被害は、インターネットサイトやメールをきっかけとした架空請求の被害が多いです。近年、若者が被害者になる場合はSNS上のマルチ商法による被害が増加しています。加害者たちは、SNSのフォロワー数や収入の多さという権威を悪用して「手軽に稼げる」とうたった情報商材の購入や課金に誘導してきます。

また自分は詐欺に合わない自信があるほど騙されやすい傾向があります。こちらは正常性バイアスという「心のくせ」が原因になっています。大きな災害や他人の失敗談を聞いたとき、自分には起こるはずがないだろうと正常を保とうとします。多くの被害者は、家族の声やウソを見分ける自信があった人たちで、まさか自分が被害に遭うとは思っていませんでした。
 

詐欺被害に遭わない!騙されない人の心構えと対策

詐欺被害に遭わない!騙されない人の心構えと対策

最後まで読んでいただいた方は,日頃から詐欺に遭うかもしれないと心配されていると思います。
騙されない人の心構えとしては、少し心配するくらいがちょうど良いです。私たちには「心のくせ」があり、いつも正しい判断に基づいて行動しているとは限りません。詐欺事件・詐欺被害のニュースを聞いても「被害者に落ち度があった」「自分には関係ない」と思わずに、できる予防策を行い、被害に遭ったときの対処法を考えておきましょう。誰しも詐欺に遭う可能性があることをご家族にもお伝えください。
 

教えくれた人

上野大介さん
うえの・だいすけ 専門は認知神経心理学。認知症高齢者も含めた高齢者の自立した消費活動を支援するため、詐欺被害傾向者の心理特性や詐欺被害防止に関する研究に取り組む。JST-RISTEX(社会技術研究開発)「高齢者の詐欺被害を防ぐしなやかな地域連携モデルの研究開発」研究開発プロジェクトに参画。(https://defrec.jp/)

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ハルメクWEB編集部

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