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- 幸せな老後のために!熟年夫婦間ですべき質問15
お金・健康・住まいのことなど、老後の不安を感じる50代女性は多いもの。でも、実はちょっとした「夫婦の会話」で不安を減らすことができます。幸せな老後のために、夫に聞いておきたいことをファイナンシャルプランナー・深田晶恵さんに聞きました。
今すぐできる!「夫婦の会話」で老後の不安を減らそう
「何十年も連れ添ってきた夫婦で今さら何を話すというの」という人もいるかもしれません。たしかに、老後に向けて夫と真面目に話す場を持つというのは、なかなかハードルの高いことでしょう。しかし、夫婦関係と老後の不安には相関性がある、と言ったらどうでしょうか。
ハルメクが60代、70代の男性・女性に行った調査(※)で「夫婦のお金で不安なことは何ですか?」と聞いた結果、夫婦関係が円満な人ほどお金の不安が少ないことがわかりました。
※60〜70代の女性237名、男性200名を対象に、2018年1月下旬、オンラインアンケートを実施(ハルメク 生きかた上手研究所調べ)
夫婦関係に満足なグループでは「不安に感じることはない」という声が3割近くに上ります。一方、夫婦関係が不満なグループでは不安に感じる項目数・比率がどちらも多い傾向に。夫婦の会話による情報共有で、老後の不安は減らせる、ということがこの結果から見えてきます。
「夫婦二人の将来は、結局、二人の収入と支出を明らかにして計画を立てないと成り立ちません。年金減・負担増の今の時代、いくら一人で熱心に備えても、夫を巻き込まなければ意味はないのです」と深田さんは言います。
暮らしを破綻させないために、夫婦の情報共有は必須!
年齢を重ねると「ずっと一緒にいるのだから、お互いの考えていることは何となくわかっている」という感覚を抱きがち。でも、深田さんは「その感覚に安心してしまうのが、最も危険なパターン」と指摘します。
「退職金はそこそこ出るだろうと、夫に確認しないままだと、いざ老後になって期待通りの金額でなかったなど、暮らしの破綻につながる恐れもあります。もめたくないから話したくない、と夫婦の会話を避けていてはダメ。話さないままだと、余計に厄介なもめ事になることもあります」
そこで、お金・健康・住まいの3つのテーマについて、「定年前にこれだけは夫に聞いておくべき」という情報と、スムーズな会話例も紹介します。
定年前に夫に聞いておきたいこと【お金編】
質問1:会社から退職金(企業年金)は出る?
「退職金、いくら?」「企業年金出るわよね」など、「出る」を前提に話をすると、夫の反感を買います。まず「あなたの会社、退職金(企業年金)は出る?」と切り出し、「金額の目安を教えてくれたら支出を見直そうと思うの」と、二人の老後のためであることをアピールしましょう。
質問2:定年後も働く意思はある?
「退職してから夫が家でゴロゴロ」というのはストレスになるだけでなく、家計的にも心配。税金や社会保障費の負担が増えている今は「働けるうちに蓄えておく」が基本。「あなたの会社って再雇用制度あるの?」という質問をきっかけに、働く意思を確認しておきましょう。
質問3:住宅ローンの残高は?
定年退職までに住宅ローンを完済しておかないと、収入が激減する60歳以降の毎月の返済は高リスク。まだ働いている50代のうちから「60歳までにローンって返さないと大変みたい。今のローンの残高はいくらかな」と声を掛け、二人で返済プランを見直しましょう。
質問4:退職準備セミナーに参加してる?
勤務先にもよりますが、定年退職前の社員に定年後の働き方や必要な手続きなどが説明される「退職準備セミナー」を開催している会社は多いです。「退職準備セミナーって聞いたことある?」「どんな話が聞けるのかな?」と持ち掛けてみて。
質問5:ネット銀行の口座は持ってる?
ネット銀行は通帳が存在しないので、急に夫が倒れたら、本人のみぞ知る口座で終わることも。確認するときは「通帳のない口座ってどこかにある?」と、あくまで金融機関名を聞くだけにとどめることが大事。パスワードや残高まで聞くのは、必ずもめるのでやめましょう。
質問6:年金をいくらもらえるか知ってる?
老後の家計において重要なのは「夫婦で合わせていくらの年金がもらえるか」です。生まれ月に自宅にねんきん定期便が届いたら、「私の分の年金は毎月このくらい出るみたい」と夫に見せ、「あなたのも見せてもらえる?」とお願いしてみましょう。
質問7:定年後どんなことがしたい?
夫から「退職したらそば屋を開く」とか、寝耳に水の告白を突然されたという話を聞きます。男性は大事な話を相談するのが苦手なもの。旅行先などいつもと雰囲気が違うシーンだと、将来の話もしやすくなります。もし驚くような話が出たとしても、そのときは一度飲み込むこと。
質問8:子どもの奨学金返済プランを把握してる?
奨学金返済が滞る若者が増えており、子どもの返済を肩代わりしている年金生活者も少なくありません。夫は奨学金の借入額すらわかっていない場合も多いので、「奨学金いくらだったか覚えてる?」とひと声掛けてから、夫の前で子どもに返済状況を確認するようにしましょう。
定年前に夫に聞いておきたいこと【健康編】
質問9:保険の見直しは考えてる?
子育て期と同じプランのままだと、年金生活に入ってから赤字家計の引き金に。定年前に一度、保険の見直しをしましょう。「子育ても一段落したし、一度保険を見直さない?」と切り出してみて。保障内容が書かれた資料などを見て、定年後も継続するかどうか確認を。
質問10:健康診断は毎年受けてる?
診断結果を妻に伝えない夫は、意外と多いもの。特に診断結果が悪い人は、騒がれるのを嫌がって自分からは見せようとしません。結果は必ず「私も見せるから、あなたのも見せて」と、交換条件で確認するようにしましょう。夫婦一緒に健康診断を受けるのも一つの手です。
質問11:既往歴は?通院歴は?
通院歴や既往歴は急に倒れたときなどに医療機関から確認されます。日頃からお薬手帳の既往歴の欄に記入するなどして、夫婦でシェアしておきましょう。「医療費控除の対象になるかもしれないから、領収書を貸して」と声を掛けるのも、通院歴を把握する一つの方法です。
定年前に夫に聞いておきたいこと【住まい編】
質問12:定年後にリフォームは必要かな?
年金生活になってから高額な修繕やリフォームが必要になる家は少なくありません。お互いに気になるところを出し合って、この先20年のリフォーム計画をまとめてみると安心。マンションの場合は大規模修繕計画の時期を管理組合に確認しておきましょう。
質問13:家は子どもに相続する?
今住んでいる家を相続したいと思っても、立地や家の築年数によっては「負動産」になってしまうかも。子どもが相続してほしいと思っているかどうか、本人の意思を確認しておきましょう。もし子どもが「いらない」と思っているなら、家の処分時期を夫婦で話し合う必要があります。
質問14:認知症・要介護になったらどうしたい?
介護については「元気なうちから」確認しておくことが大事です。「要介護になったら施設で」といくらイメージしていても、倒れてからではその意思を伝えられません。軽い気持ちで夫婦一緒に施設見学に行ってみて、嫌な点など譲れないポイントだけでも共有しておくというのも大切です。
質問15:もし一人になったら、住まいはどうしようか?
50代・60代のうちは、まだまだ「一人」になることは想像しづらいかもしれません。でも、介護施設への入居など、老後資金の計画を立てるためにも、元気な今のうちから意識しておくことが大切です。「どっちが先に倒れるかわからないけれど、老後のことも考えないとね」と話題を振ってみましょう。
夫から「話を引き出すためのコツ」をチェック!
深田さんいわく「女性はすぐに答えを求めたり、情報を多く求めがちですが、夫が嫌にならない程度にとどめて必要最低限の情報をお互いに共有し合うことがポイントです」とのこと。
さらに「思わず怒りたくなるような答えが返ってきても、その場はいったん自分の中で飲み込んで、言い争いに発展しないようにするのも大事です。語尾を上げて聞くのも、感じよく尋ねるためのテクニックの一つ」とアドバイスします。
50代からの夫婦に今求められているのは、新婚時代のような仲のよさではなく「大切なことがきちんと話せる関係」です。少しおっくうでも、幸せな老後のために、定年前の今のうちから夫婦の会話・情報共有を意識してみましょう。
■教えてくれた人
深田晶恵さん
ふかた・あきえ。ファイナンシャルプランナー。生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。22年間で約5000件の相談を受ける。『定年までにやるべき「お金」のこと』(ダイヤモンド社刊)など、ハルメク世代を対象とした著書多数。
取材・文=小林美香(ハルメク編集部)
※この記事は2018年6月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
雑誌「ハルメク」
女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
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