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- 子どもの帰省、親の負担相場は5万!?親子の経済事情
お金に関するアンケートを元に、40代~70代のおサイフ事情を探る企画、第1回目は夏の子ども世帯の帰省にまつわる親子の経済事情を調査! アンケートから垣間見えた親子の本音と、親子が経済的ストレスなく帰省を楽しむ対策とは?
夏の子ども世帯の帰省は大歓迎!でもお金の心配も?
子ども世帯の帰省は大歓迎だけれど、意外とかかるのが帰省費用。そこで、子世帯の帰省時にどのくらい親世帯が費用を負担しているのかを調査しました。
アンケート調査内容
調査期間:2023年6月5日~7月9日、インターネットによる
調査回答数:187
※上記のうち、「帰省してくる子がいる親世帯」または「帰省する先がある子世帯」に該当する133名を調査対象とした。
(親世帯:男19人 女56人、50代18人、60代34人、70代以上23人)
(子世帯:男8人 女50人、40代以下26人、50代26人、60代6人)
約70%が、「親世帯が子世帯の帰省費用を負担」と回答!
「子世帯の帰省時にかかる費用負担、どうしてる?」というアンケートの結果、「全額子ども世帯が(自分で)負担」と答えたのは、わずか22.8%。「その他」の回答を除くと、「全額親世帯が負担」「一部を親世帯が負担」をはじめ、回答者の約70%は親世帯が子ども世帯の帰省時にいくらかの費用を負担をしている(負担してもらっている)ことが判明。
子世帯の帰省時にかかる費用負担、どうしてる?
・全額親が負担 17.9%
・一部を親が負担 33.3%
・一部を子どもが負担 17.1%
・全額折半 0.8%
・全額子どもが負担 22.8%
・その他 8.1%
それぞれの帰省スタイルにもよりますが、中には親世帯の家に泊まらず近くにホテルを取り、その「ホテル代を親が出す」という例も。おおよその世帯で親側の負担は避けられないというのが現実のようです。
1回の帰省につき、親世帯の負担は「5万円まで」が相場
子世帯の1回の帰省時に親世帯が負担する金額
1万円未満 22.9%
1万円以上~3万円未満 39.8%
3万円以上~5万円未満 19.3%
5万円以上~7万円未満 4.8%
7万円以上~10万円未満 4.8%
10万円以上 8.4%
では、親の負担額(親に負担してもらっている額)はいくらぐらいなのか?を見てみると、1回の帰省につき「~5万円未満」と答えた人が82.0%と大半を占めました。特にボリュームゾーンとなっていたのが「1万円以上~3万円未満」で、親として気持ちよく出せる額は3万円までとなっているよう。
あなたのご家庭はこの夏、いくらぐらいの費用負担を予定していますか?また、その額は現在の経済状況に見合っていますか?後々困ったことにならないよう、親側の経済観念も問われます。
何に使う?親世帯が負担している項目ベスト5!
子世帯の帰省時、親世帯が負担している項目は?
1位 滞在中の食費 42.8%
2位 滞在中のレジャー費 19.7%
3位 滞在中のショッピング費 17.1%
4位 往復の交通費 12.5%
5位 片道の交通費 3.9%
さらに親世帯が費用を負担している(親に負担してもらっている)項目を見ていくと、1位は「滞在中の食費」、2位「滞在中のレジャー費」、3位「滞在中のショッピング費」と、主に滞在中にかかる費用を負担しているという傾向が見て取れました。
せっかく帰ってきてくれたのだから、親としては滞在中は楽しく過ごしてほしい、できる限りの「おもてなし」がしたいというところでしょうか。また、レジャー費やショッピング費については、孫かわいさについつい財布の紐が緩んでしまうようです。
親としてのプライド?親が費用を負担する理由
では、どうして親が子ども世帯の帰省時の費用を負担するのか(親に負担してもらっているのか)、その理由を聞いてみると、親側の1位は「親として負担してあげたいから」という結果に! 自身の経済状況はひとまず置いておいて、一番は子を思う親心によるものでした。
対して、子ども側が親に費用を負担してもらう理由の1位は「親が負担するものと思っているから」。どうやら、子世帯にとっては親が負担してくれることが当たり前になってしまっている様子。そうなってくると、親側は経済的に厳しくてもがんばってしまうもの。
実際、「帰省時の費用負担について親子で相談したことがあるか」を問うたところ、90%以上が「ない」と回答。費用負担については「親としてのプライド」に支えられているようでした。
ここで、アンケートで垣間見えた親子の本音を紹介!
【親の本音】
・今は現役なので負担できるが、年金暮らしになったとき不安。
・祖父母の家にも行き、お小遣いや交通費などをもらっているはずなので、できれば半額ほど負担してほしい。
・(子世帯の)交通費の負担が大きいので、無理を言えない。
・一緒に買い物に行ったり、外食したりしたときにどちらが支払いするかで、お互いに気を使ってしまうことが多いです。
・娘が帰省するのはとてもうれしいが、いつもの一人暮らしの感覚で生活するので、夫婦二人のときより光熱費が跳ね上がる。
【子どもの本音】
・独身時代から実家に帰ったときは親が生活費を負担するものだと思っていたので、今さら費用の話を持ち出しづらい。
・義父母にもう少し援助してほしいですね。
・今年は子どもが受験なので帰省はしないと伝えていますが、本当のところはお金がかかるのでそれを理由に帰省を躊躇する自分がいます。
・滞在中にかかる費用は、我々子世帯が払おうとしても払わせてくれない。
また子世帯の中には、「滞在中の食材などを手土産代わりに送ったりします」「帰省したときに、親がお金を渡してきましたが、その金額より高い最新型の電子レンジを購入してプレゼントしました」など、直接的にお金は渡さなくても、物に替えて親の負担を軽減している人もいました。
子どもは子どもで、親のプライドを守りつつ、自分たちの役割も果たしてバランスを取っているのかもしれませんね。
では、親子がお互いに経済的にストレスなく帰省を楽しむにはどうしたらよいのでしょうか? 今回のアンケート結果を元に、親子間の経済負担のありかたや対策について、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに聞いてみました。
プロの金言:年金暮らしに入ったら、将来の介護を見据えて負担は控えめに
今回のアンケート結果を見ると、「子どもには定期的に帰省してほしい」と願う親側の気持ちと、帰省費用がたくさんかかると貯蓄に影響するので、「親にも負担してほしい」と願う子ども側の思惑が絡み合った結果だと感じました。
親が現役時代であれば、「多少の負担はやむなし」と考えますが、親側が年金暮らしに入ったタイミングで、「負担する金額を少なくしたい」という希望を伝えた方がよいと思います。援助費用が1回5万円だとしても、年に2回の帰省で10万円。これが今後30年続けば、親の老後資金が300万円減る計算になります。
親側が80代に入ったとき、介護費用に充てたかったと後悔しないためにも、年金暮らしに合わせた負担に見直すことをおすすめします。
老後資金で大切なのは、介護が必要になったとき、子どもからの資金援助をアテにせずに、親側の資金で介護費用を賄えること。
たくさんのご相談者を見てきて感じるのは、ルールを作らないまま、親側が無理をして資金援助しているご家庭は、介護が必要になったときにお子さん側から冷たい対応をされてしまう場合が多いということ。甘やかした子どもは、親が困ったときに助けたがらないケースも少なくないのです。
年金暮らしに入ったら、老後資金が減るペースにも目を向けつつ、親側の負担は抑え気味にすることが大切です(畠中さん)
ちょうどお盆の帰省シーズンの今、今回のアンケート結果を参考に、一度親子で帰省時の費用負担についてざっくばらんに話し合ってみるのもよさそうですね。
教えてくれたのは……畠中雅子(はたなか・まさこ)さん
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。1963(昭和38)年生まれ。大学時代にフリーライター活動をはじめ、1992年にファイナンシャルプランナーになる。「高齢期のお金を考える会」や「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書・監修書は70冊を超える。
構成・文:津村伊登子
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