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- 新しいステップへ~生活の中にリハビリがある~
40代でC型肝炎が発覚。22年間の闘病と新薬での完治後、明るい未来へ心を弾ませていた私に脳出血という次なる病がー。その時の体の状況や家族の支えなどを振り返ります。今回は介護保険でリハビリを受けるための手続きについて。町役場の対応に注目です。
3本柱の1つ、旅行への復帰ももう目の前
2019年2月、第103回ピースボートミドルクルーズ―地球の鼓動を全身に感じる オセアニアの船旅へ―を、特集した冊子「GLOBAL VOYAGE」(発行:株式会社ジャパングレイス)が届いた。
実はこの旅、2017年12月に乗船するつもりで、2016年に申し込みを済ませていたのだが、説明会参加直後の2016年11月に脳出血を発症したため、やむなくキャンセル。2017年12月に再予約したものだ。出発は2019年12月下旬、2年遅れの乗船となる。
これまでに、娘たちの住むアメリカへは勿論のこと、アジア4か国、ヨーロッパ10か国以上を旅していた私は、次の旅は、まだ見ぬオセアニアへと決めていた。
2018年には、海外旅行復帰を見越して、東北地方や屋久島への飛行機での旅をした。結果、右半身麻痺の不自由な身で海外へ行くには、船旅こそがふさわしいと確信するようにもなっていた。
送られてきた冊子の中でひときわ輝いて見えたのは、ニュージーランドのミルフォードサウンド。日本から乗船してきた船のまま、半日かけて断崖絶壁の間を進む。更にページをめくると、シドニーオペラハウス、ハーバーブリッジ。海側から迫っていく醍醐味は、船旅ならでは。その上、世界で最も住みやすいと言われる街メルボルンを巡る路面電車には、港から乗れるという。
私の胸は高鳴った。体力をつけよう。不自由であっても楽しめる内容、方法を研究しよう。
話は再び2017年~希望は伝えなければ~
私は毎年恒例でアメリカから帰省する娘母子との約1か月間のプチ同居をしています。この時期にしか会えない娘や孫との時間を少しでも多く取るためにも、通院リハビリを卒業する、と決めてから、町役場にある地域包括支援センターを訪ねました。「介護保険でリハビリを受けたいのですが」と。
「あなたは、要支援ではなく、要介護ですから、包括支援センターの管轄ではありません。利用したい事業所を選んで、そこのケアーマネージャーと、相談してください」
訳が分からなくなりました。困ったことがあれば相談に行くのが役場だと思っていたからです。それに、役場からもらっていた冊子に出ていた事業所をネットで調べてみても、あったのは、形ばかりのホームページだけ。何を根拠にどうやって事業所を選べというのでしょうか。
「自分から言わない限り、何もしてくれないのが行政」との評判は、本当だったのだと愕然としました。窓口での対応も立ったまま。「福祉」とは縁遠い冷たさを感じました。「言わない限りしてくれないのなら、してほしいことを言っていこう」と心に決めながら、その日は、「思いやり駐車場利用証」というものがあること教えてもらい、隣の市にある府の総合庁舎へそれを取りに行くだけで終わりました。2017年6月のことです。
その日の夜、病院の作業療法士さんから電話があり、リハビリテーション科の先生に変わりました。「介護保険を使ってのリハビリは、うまく見つかりそうですか」と。昼間の出来事を話すと、「それは変ですね。私から役場に電話しましょうか」「とにかく、介護保険でのリハビリに繋がるまでは、医療保険でのリハビリは続けますからね」と、先生。
この言葉に勇気を得た私は、夫と共に再び役場を訪れました。
「体が不自由な者への対応が、立ったままというのは、あまりにも冷たすぎる」
「住民が困っているのだから、何とかしようと動くのが役場の仕事ではないのか」
そんなやり取りを経て、床にまで雑然と物が置かれた小部屋に通され、椅子に座って話を聞いてもらうことができました。
そして翌朝、「○○事業所のケアーマネージャーは手一杯とのことだったので、△△事業所のケアーマネージャーに、お宅へ行ってもらっていいでしょうか」と、役場から電話がありました。
取り戻せた安心感
自宅を訪ねてくださったケアーマネージャーさんは、「今望んでいることは何か」「困っていることはどんなことか」を、優しくもテキパキと聞いてくださいました。そして、介護保険で私が利用できそうなものを、即座に提案してくださいました。
「町内のデイケアー、デイサービスとも、実質的にはもっと高齢の方が対象となっており、harumatiさんに合うと思えるものは残念ながらないこと」
「理学療法士さんが家を訪れる、訪問リハビリという制度があり、要介護2の場合2単位=40分を週3回まで利用できること」
翌日には、早速理学療法士さんを伴って再訪問。2017年2月に退院してから5か月ぶりに受ける理学療法。私は、安心感に満たされました。また、入浴の負担が大きく、最も苦痛な時間になっていることを伝えると、お尻をホールドした感じで座れる風呂用の椅子が、介護保険利用で1割で購入できることも紹介してくださいました。
こうして私は安心して通院リハビリを終え、週2回40分ずつの訪問リハビリと、自ら考案したリハビリメニューとを生活に組み込んだ、新しいステップへと進み、7月には例年通り娘母子を迎え、1年も飛ばすことなく、プチ同居を楽しむことができたのです。
次回は、リハビリを通して取り戻せたこと、取り戻せなかったことを具体的に書きつつ、それに伴う気持ちについて書きたいと思います。
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