落語会体験記

落語自由自在~白酒×兼好落語会へ~

公開日:2019.02.23

古き良き日本文化である落語を聴いて楽しく笑うことで、身も心も元気になることができます。今回は白酒師匠、兼好師匠の落語会の体験レポートをお伝えしていきます。

CD発売記念落語会

師走の銀座、冷たい風の中を博品館へと急ぎます。間もなく、五街道雲助師匠のお弟子さん桃月庵白酒(とうげつあんはくしゅ)と三遊亭好楽師匠のお弟子さん三遊亭兼好(さんゆうていけんこう)のCD同時発売記念落語会「白酒×兼好 毒を盛って毒を制す」の開演です。兼好さんを聞くのは今年4回目、白酒さんに至っては何と7回目です。

なぜこの二人の落語をこんなにも聞いているのかといいますと、まずは白酒師匠の艶のある声が何とも魅力的です。聞きやすいし、噺家として得だなと思います。またマクラ(噺の導入部分)が皮肉たっぷりで、共演者のことも厳しくと言うか、ボロクソに言いますが嫌味がなくて面白いんです。日時の都合さえつけば、ついチケットを予約してしまいます。

兼好師匠は世の中を見る視点が違うと言うか、目の付け所が素晴らしくて、何回聞いてもこの人すごいなって思います。芸歴20周年記念公演「まるっと兼好」が2019年2月から3月にかけてありますので、楽しみなんです。

さて今夜はどんな噺が飛び出すやら、ワクワクしながら8階会場へと向かいます。

19時きっかりに出囃子に乗って、高座の左手より白酒師匠、右手より兼好師匠の登場。まずはオープニングトークです。

オープニングトークのある落語会は珍しく、これだけ足を運んでいる私でも、過去2回程しかありません。白酒師匠と兼好師匠の面白トークの始まりです。まずは白酒さんの艶のある声が響きわたります。

「柳亭小痴楽と神田松之丞が真打になります」に、お祝いの拍手が沸き起こります。続いて兼好さんの良く通る声の「窓ガラスの結露を拭くために、噺家の手拭を使っています。誰の手拭にしようかと毎朝楽しみで」に、大爆笑を呼びました。


「時そば」白酒

雲助一門の忘年会の話から、飲んだ後の締めはやっぱりラーメン、蕎麦でもうどんでもないと言い出したので、もしやと思いましたが、2018年12月1日に光が丘IMAホールで白酒さんの「時そば」は聞いたばかりなので、まさかと思っていました。正直演目があまりにもお馴染の「時そば」と判明した時は、隣の妹と顔を見合わせてしまいました。

「時そば」は非常に有名な古典落語で、有名なだけにこんなに短い期間にもう一度聞くとは思っていませんでした。

それでも銀座のお客さん向けでしょうか。前回より丁寧に描かれていました。私は瀧川鯉昇師匠や立川談笑師匠の「時そば」が好きですが、今日の白酒師匠なら、負けてはいませんでした。

「蛙茶番」兼好

好楽一門の大掃除の話から、「スプレーは全部噴射するように」で大拍手、「明日あたり『池之端しのぶ亭(好楽師匠の自宅兼寄席)」が爆発します」には、皆大笑いでした。

続いて急に浅草新春歌舞伎の話をし始めたので、演劇を題材とした「七段目」又は「一分茶番」もしくは「蛙茶番」が来るのだろうと演目予想を搾りました。このようにマクラから噺を予想するのは楽しい作業です。

定吉の侍、子役、女形と其々を器用に演じ分け、さすがだと思いました。「いょっ! 日本一」と大向こうから声を掛けたい気分でした。

「紙入れ」兼好

この「紙入れ」は浮気の証拠が入った紙入れ、つまりは財布を浮気先に忘れた新吉という男が、その家の旦那に他の家の話だとして告白し浮気がばれていないか探りを入れてみる、という話です。

いきなり後半部分の新吉の告白から始まるという珍しい噺の運びに、まずは驚きました。「紙入れ」なら、柳家喬太郎師匠か桂歌丸師匠が好きですが、この形は恐らく五代目圓楽一門のものなのでしょう。テンポよくストーリーが進み、サゲ、つまりはオチまでの展開が実に見事で「うまい」と、思わずひざを叩きたくなりました。

「富久」白酒

大神宮様と言うのがキーワードで、早い段階で「富久(とみきゅう)」とわかりました。

この「富久」は久蔵という男が体験する年末のドタバタ劇で、大神宮様に富くじ、今で言う宝くじが当たるように祈る場面があるのです。まるでジェットコースターに乗っているような年の瀬の一コマ、特にお酒のシーンには、思わず引き込まれてしまいました。

2018年の落語会はこれでお開き。熱射病や思いがけない怪我で、一カ月間歩行が出来ない時期もありましたが、それでも29回も足を運びました。2019年も(すでに10回分予約済み)また大いに楽しみたいと思っています。

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

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