夫との結婚が転機でした

12回の転勤人生(11)東京都武蔵野市 父の死

公開日:2019.02.17

北は福島県、南は福岡県まで。夫の転勤に伴って各地へお引っ越し。その回数はなんと12回! 各地での思い出や、遭遇したエピソード、今も続く仲間との出会いなどを振り返ります。今回は東京都武蔵野市でのお話です。

自転車でよく行った東京都・吉祥寺

いつも住みたい街上位に選ばれているのが、東京都・吉祥寺です。社宅から近かったので自転車でよく出かけました。公民館で無料のパソコン講習会があったので参加しました。数回の受講後どうにか基本的な操作はできるようになりました。

駅前には小さな店が並ぶハーモニカ横丁があり、見て回るのも楽しみでした。羊羹を売る店は特に有名でいつも行列ができていました。一日150本限定なので朝から整理券を求めて並ぶのです。
 

井の頭自然文化園の風景

はな子
はな子

 

井の頭自然文化園では、はな子という名の象が飼われていました。1949年に日本に初めて来て、2017年に69歳で死んだのですが、当時象は珍しかったので人々に可愛がられていたのです。ただ、異国の地でつながれての生活を思うと哀れです。安らかに……。

井の頭公園の池にはボートが浮かんでいます。恋人同士で乗ると祀っている弁財天が嫉妬して二人は別れる等の噂がありましたが、どうでしょうか? 大道芸人のパフォーマンスもあり、いつも多くの人で賑わっていました。

父の死

ベッド
※イメージ

 

父と母を岡山に残して転勤を繰り返していましたが、父が体調を崩し入院しました。80歳近いので仕方ないのですが、母が心配でした。二人姉妹の長女の私が看病の手助けをするしかなく、東京と岡山を往復しました。入院して環境が変わったのを機に、父は見る見るうちに頭の中が混乱するようになりました。やがて足の静脈瘤から肺塞栓を起こした父は容態が悪化し、お盆に亡くなりました。

父が私に買ってくれたオルゴールが手元に残っています。曲名はトロイメライです。かつててきぱきとワープロを使いこなしていた父を知っているので、晩年の弱り方を見るのは辛かったです。義母が亡くなったのもお盆でした。夏は体力を消耗するのだと思います。義母は信心深い人だったので、ご先祖様がお盆にお迎えにいらっしゃったのならば、なんだか安心できます。

玉川上水と太宰治の記念碑

三鷹の森ジブリ美術館も近くでした。アニメファンにはあこがれの場所です。悲しい場所でもあります。JR三鷹駅から「風の道」と名付けられた道を玉川上水に沿って真っ直ぐ進むと記念碑が建っていました。太宰治が38歳で愛人と入水心中した場所です。「人間失格」を書きあげた一か月後、しかも39歳の誕生日を一週間後に控えた時に命を絶ったのです。絶望の深さを思うとやり切れない思いがします。現在は水流も少ないのですが、当時は流れが速く深い水路だったそうです。

武蔵野市にはもう少し住んでいたかったのですが、わずか1年で転勤が決まりました。辞令の話を聞いたときは正直、ガッカリしましたね。再度、大阪に引っ越します。

のりたの母

倉敷市生まれ。23歳で結婚し夫の転勤に伴い、引っ越すこと12回! 住まいを転々とする中でも、習い事をしながら趣味を広げました。そして、かけがえのない友にも出会うのです。 転勤順に思い出をたどってみます。

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