お得に函館旅!ながまれ海峡号と100万ドルの夜景
2019.10.152019年10月20日
ながまれ海峡号と市内電車で巡る!食の函館旅(後編)
お得に函館旅!市内電車で巡る食と温泉、坂の街
大の鉄道好きなアラフィフマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、食を堪能する鉄道旅の楽しさをご紹介します。今回はお得な切符を使って巡る、北海道・函館の1泊2日旅。2日目は、市電専用1日乗車券を使ってグルメ、温泉を楽しみます。
朝食は、函館朝市へ!
函館旅1日目の「ながまれ海峡号と市内電車で巡る!食の函館旅(前編)」を読む
函館に来たら毎回早起きして、函館朝市に行きます。
市場は好きなので全国各地で訪れていますが、私にとって函館朝市は特別。なぜならおいしいとうもろこしを売っているから。だいぶ時期を過ぎましたが、果たして大好きなとうもろこしに出会えるのでしょうか。
函館朝市にはどんぶり横丁など、海鮮丼が食べられる食堂がたくさんあって迷います。今回は函館朝市の海鮮丼発祥のお店と言われる「きくよ食堂」に来ました。朝早くなのにすでに行列。しかし回転が早いので、割とすぐに入れます。
食べたのは、三種お好み丼。うに・いくら・ほたて・かに・えび・さけの中から3種具が選べます。無添加の塩水につけたうには、お醤油をささずにそのまま。ほたてやえびもすごく甘くてとろけるよう。ご飯があたたかくて酢飯でないところも私好みです。
食べてから市場をうろうろ。いか釣りには大行列ができていました。こちら、自分で釣ったいかをその場でいか刺しにして食べることができます。さばいたばかりのいかは、まだ動きます。以前、どんぶり横丁で活いかを食べた際、私は口の中で動く活いかがどうしても飲み込めず、動きが止まるまで待ってから食べました。
キャーキャー言いながらいかを釣る人々を眺めながら、目の前のカワムラ商店でカットメロンを買いました。食べやすいよう、細かく切り込みが入っていて親切です。これがジューシィで、極上の甘さ! 同じメロンを食べていたカップルの、「今まで食べたメロンの中で1番おいしい!」との言葉に、心の中でうなずきました。
さて、とうもろこしがなかなか見当たりません。もう時期が終わってしまったか、と少しがっかりしつつ路地を歩いていたら、ようやく売っているお店を発見。
「あった……」
思わずそうつぶやくと、「このとうもろこしでもう最後。そろそろ収穫も終わるよ」とお店のお兄さん。試食をいただき、小学生の頃に感動した味を思い出しました。とうもろこしは鮮度が命。朝収穫した段階から、どんどん糖度が下がっていきます。持ち帰ってすぐ食べるための数本を買い、メロンを実家などに送ることに。少し安くしてくれました。
市電専用1日乗車券を使いこなして街巡り
朝市が楽しくて長居してしまいました。今日は市内電車(市電)に乗って街中の観光に出かけます。
昨日買っておいた市電専用1日乗車券の今日の日付部分を削って使用します。乗車時に整理券は取らず、降りるときに1日券を運転手さんに見せればよいのです。
函館駅前から乗車したのは、古いタイプの車両でした。旧車両の方が揺れるのですが、乗れるとラッキー、と思ってしまいます。木の床が味わい深いですね。
末広町で降りて街歩き。こちらは1913(大正2)年に建てられたルネサンス風の商家建屋で、相馬株式会社という会社の社屋です。この辺は旧イギリス領事館などもあり、さまざまな西洋建築に出会えます。
有名な写真スポットの八幡坂に来ました。市電が横切るタイミングを狙って撮影。市電の向こうに函館港、そしてかつて青函連絡船として活躍した摩周丸が見えます。左側に黄色い消火栓が写っていますね。消火栓というと赤色のイメージですが、函館の消火栓は海外のものを手本とした黄色いデザイン。それがますます洋風な景色をかもし出しています。
各地のマンホールの写真を撮るのも趣味ですが、函館もかわいいものが多いです。このカラー版は毎年4月下旬〜11月中旬に登場。雪の降る時期は滑りやすく、除雪で傷がついてしまうので、無着色のものに交換されるそう。雪国ならではの苦労があります。
マンホールを探しつつ線路沿いに歩いていくと、こんな建物が。こちらは1911(明治44)年に函館郵便局として建てられた赤レンガ造りの「はこだて明治館」。現在はお土産などを売るお店となっています。
市電を撮影していたら、とてもレトロな外観の「箱館ハイカラ號」が走っていました。これは1日3便しか走りません。ちょうど信号で停まったので、運転士さんに手を振ると、手を振り返してくれました。後ろに車掌さんも乗っています。こちらが運行しているのは4月半ば〜10月末までで、冬の間は走っていないそう。未乗車なので、今度こそ乗りたいです。
湯の川温泉駅のブルートレインでラーメンを食べる!?
ところで路線の端、つまり「終点」って気になりませんか? 私は座席でも「端っこ」が好き。市電なら終点までそう遠くない。1日券のある強みで、路線の「端っこ」に行ってみました。市電は道路の真ん中で突然線路が切れて終わります。なんだか不思議な感じです。
湯の川駅から1つ戻って、湯の川温泉駅で下車。この辺は温泉がたくさんあり、お湯はかなり熱め。しかし今回の目的は温泉ではなく、駅からすぐのラーメン屋「ブルートレイン」です。なんとこちら、旧国鉄の廃車両(緩急車)をラーメン店に改造しています。
店内に入ると、鉄道資材や実際に使われていたプレートなどがずらり。コレクションされているのかと思ったら、実はご主人は鉄道のことはそんなに詳しくないそう。元JR社員の方がアドバイスくださったり、お客さんが持ってきて飾ったりしているとのことでした。
メニューが特急ラーメン(2ヶ入)、急行ラーメン(1.5ヶ入)とあり、チャーシューの数かと思ったら、麺の玉の数だそう。もちろん普通ラーメン(1ヶ入)にしました。
運ばれてきた塩ラーメンには背脂が浮いています。スープは昆布と赤穂の塩、豚の背脂を調合しているようです。コクがありつつも、ちゃんと塩味。他の味も食べてみたいです。
今は走らなくなった北斗星車両を見て、谷地頭温泉へ
さて函館駅に戻りまして、今度は市電ではなく、昨日乗車した道南いさりび鉄道に乗ります。「三連休東日本・函館パス」があるので、普通列車なら乗車可能です。
ホームに行くと、おや? 昨日乗った車両が……。実はイベント時以外は、普通列車として運行しているのです。しばらく会えないと思っていた旧友に、すぐに出会ってしまったような気恥ずかしさがあります。昨日は「団体」と掲示されていた方向幕が、今日は「ワンマン」となっていますね。
目的地は、茂辺地駅から歩いて5分の場所にある茂辺地北斗星広場。かつて上野-札幌間で運行されていた、私が大好きな寝台特急「北斗星」の客車が2両保存展示されています。展示から数年たち、かなり傷みが目立っていました。
車内は土日祝10時〜15時の間に、無料で見学することができます。7回も乗った北斗星を見ると、やはり懐かしい気持ちになります。一番よく乗車したのはB寝台個室。私の漫画作品『おんな鉄道ひとり旅」の表紙も、北斗星B寝台個室に乗車している場面です。実際に乗った時のこともこちらに描きましたので、ご興味ありましたら、ぜひお手に取ってみてください。
ノスタルジー気分のまま、函館駅から再び市電に乗車します。今度は先ほど行かなかった方面の終点・谷地頭駅へ。函館で必ず行く場所のひとつ、谷地頭温泉が終点から歩いて5分ほどの場所にあるのです。この坂と市電含め、谷地頭温泉が気に入っています。
谷地頭温泉は日帰り温泉で、ナトリウム-塩化物泉の源泉掛け流し。鉄分を含んでいるので茶褐色をしています。内風呂の湯船はとっても広く、露天風呂は五稜郭をかたどった五角形。手ぶらセットもあるので、気軽に行けますよ。
温泉に入った後は北海道限定のジュースを飲み、市電で戻りつつ十字街に向かいます。十字街付近もレトロな建物がたくさんあります。夜はライトアップされている建物も多く、昼間とはまた違う雰囲気です。
函館でハンバーガーといえば、函館発のご当地ハンバーガーレストラン「ラッキーピエロ」。私はチャイニーズチキンバーガーが1番好きです。注文してから作るので、しばらく待機。函館駅近くにもありますが、いつも並んでいるので、駅に帰る途中に寄れる店舗の大きなベイエリア本店に来てみました。
帰りの新幹線に備えて駅弁を買おう
さて、急いで函館駅に戻ります。行きのルートの逆、函館駅から函館ライナーに乗って新函館北斗、そして最終の北海道新幹線で東京に帰ります。そうそう、その前に函館駅のスタンプを押してみてください。全国の駅スタンプの中でも、函館駅は私のお気に入り上位です。
あとは駅弁です。函館みかどの駅弁といえば、「鰊みがき弁当」が有名。しかし今日はかにの気分だったで「みかどのかにめし」を買いました。今はおなかが空いていなくても、函館駅から東京駅まで約5時間かかります。帰りも車内販売がないことをお忘れなく。
今回は1泊2日の旅をご紹介しましたが、もう1泊すれば、教会など街中をゆったり回れます。「三連休東日本・函館パス」を、自分の予定に合わせて上手に活用してくださいね。
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