お得に函館旅!市内電車で巡る食と温泉、坂の街
2019.10.202019年10月15日
ながまれ海峡号と市内電車で巡る!食の函館旅(前編)
お得に函館旅!ながまれ海峡号と100万ドルの夜景
大の鉄道好きなアラフィフマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、食を堪能する鉄道旅の楽しさをご紹介します。今回はお得な切符を使って巡る、北海道・函館の旅。道南いさりび鉄道「ながまれ海峡号」のおもてなしと絶景を楽しみます。
「三連休東日本・函館パス」を使ってお得に移動します
小学2年生から2年間、北海道に住んでいました。北海道の食べ物のおいしさには、子どもながらに大感動。給食がこんなに楽しみだったことはありません。人生において一番好きな食べ物と嫌いな食べ物が決まったのも北海道でした。
今回はそんな北海道・函館を旅します。いつにも増して食べすぎてしまいそうです。
東京駅から北海道新幹線で一気に新函館北斗駅へ。車内販売はないので、食べ物と飲み物は必ず買ってから乗りましょう。でないと約4時間半、何も飲み食いできません。
新函館北斗駅からは、はこだてライナーに乗車し、函館駅に到着。函館駅ホームにあるホーロー看板を見ると、ああ、函館に来たのだなあと感じます。自宅から2回の乗り換えで着いてしまうなんて、北海道も近くなったものです。
今回は、「三連休東日本・函館パス」を使いました。
こちらは東日本と函館エリアの普通列車・普通車自由席が乗り放題になる切符。7月から翌年3月の間の三連休に使用できます。(GW、お盆、年末年始を除く)
青春18きっぷと違うのは、別途特急券を買えば、新幹線や在来線特急列車も利用できること。そしてJRだけでなく、図にあるフリーエリア内を走る各路線にも乗り降り自由なのです。
東京—新函館北斗間を新幹線で往復した場合、乗車券は7400円程度お得です。そしてこのきっぷは、はこだてライナーにも使えるので、函館までの往復乗車分を入れると8000円以上お得になります。
駅に着いてまず、今日泊まる駅近のホテルに荷物を預けに行きました。そして駅前にあるバス案内所で、今日使うバスの1日券と、明日使う市電の1日券を買います。日付は使う際に自分で削る方式なので、前もって買うことができます。
五稜郭に、何度だって食べたいラーメンがあります
最初に五稜郭へ行ってみます。JRにも五稜郭駅がありますが、実は五稜郭駅から五稜郭まではとても遠いのです。通常は函館からバス、もしくは市電に乗ります。私は「五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス」で五稜郭タワー前へ。このバスは目的地に直行な上、バス停も五稜郭タワーに一番近くて便利です。
おなかが減ったので、五稜郭タワー向かいにある、いつも行くラーメン屋さん「あじさい」に寄りました。今日も行列。しかし並んででも食べたい味なのです。
頼んだのは、一番好きなコーンバター塩ラーメン。函館は塩ラーメンが有名ですが、初めて食べたときは今までの塩ラーメンの概念を覆されました。透明なスープなのにしっかりと深みのある味わい。スープにからむ麺はいくらでも食べられそう。このおいしさ、やはり水が違うからでしょうか。
さて、食欲が満たされたところで五稜郭タワーへ「あじさい」には何度も行っていますが、タワーに登るのは2回目です。エレベーターで一気に展望台まで上がります。この日はお天気もよく、五稜郭がくっきり。星のような五角形なのがわかりますでしょうか。
星型なのは、敵の攻撃からこの場所を効果的に守ることができる形だからだそう。五稜郭は、江戸時代末期に江戸幕府が箱館奉行所の移転先として築城した城郭でした。そして五稜郭の戦いで、土方歳三が最期を遂げた地であることでも有名です。
それにしてもこの日は夏のような暑さでした。すっかり喉が乾いたところ、下のフロアにジェラード屋「ミルキッシモ」を発見。函館産の牛乳をはじめ、北海道の豊かな恵みを素材にしているそうで、全部食べてみたくなります。選んだのはミルクとピスタチオ。濃厚ですが口当たりが軽く、今の気分にぴったりでした。
本日のメインイベント、観光列車「ながまれ海峡号」に乗車
函館駅まで戻り、さあ、いよいよ本日のメインイベント、観光列車「ながまれ海峡号」に乗車します。
三連休東日本・函館パスは道南いさりび鉄道の普通列車なら使用できますが、ながまれ海峡号には使えません。こちらは日本旅行の旅行商品なので、事前申し込みが必要です。
「鉄旅オブザイヤー2016」にも選ばれたながまれ海峡号は、景色を楽しみつつ沿線のグルメも味わえて、料金は1万円前後とリーズナブル。手作りのおもてなしが楽しめる観光列車です。「ながまれ」は道南の古い方言で「のんびりして」という意味だそう。私もかつて住んでいたのは八雲町という道南にある町でしたが、この言葉を知りませんでした。
函館駅の出発は15時51分。終点・木古内駅まで途中停車・下車しながらゆっくり走り、再び函館駅に戻ってくる約4時間のツアーです。食事付きなので夕食の心配はいりません。
ただしドリンク類は別途買う必要があります。車内販売がありますが、なんと持ち込み自由! 通常ならありえない対応に驚きつつ、ビールや飲料、おつまみを買って乗車しました。
さあ、出発です。「進行方向右側で社員たちがお見送りしております」という添乗員さんの説明にこちらも手を振り返します。「今度は左側道沿いに函館水産高校の生徒さんたちが……」との言葉に左を見ると、大勢の生徒さんたちがずらりと並んでお見送りしてくれていました。地域をあげてのおもてなしに、気持ちが温かくなります。
道南いさりび鉄道は初乗車ですが、添乗員さんが通過する駅や景色の説明をしてくれるので、前知識がなくても大丈夫でした。昔ながらのディーゼル車の音と振動は、まさに旅気分に浸ることができます。
最初に停車するのは上磯駅。ホームでは地元商店街の方々が、立売をしています。駅弁はありませんが、地元のお菓子やおつまみなど、どれもおいしそう。この車両は窓が開くので窓際からやりとりもできます。私はホームに降りて買い求めました。
北海道といえば、カニやイカ、そしてホッキ貝も有名。最近は全国のお寿司屋さんなどでも食べられますし、北海道の駅弁にもあります。そのホッキ貝のお寿司をキャラクターにしたのがこの「ずーしーほっきー」。なかなかシュールなキャラクターです。
立売で私が狙っていたのがこの「ホッキしゅうまい」。名物ホッキ貝と豚肉を使い、さらに上にホッキ貝がのっています。味も香りも濃厚! ここでようやく、私は我慢していたビールを開けました。大好きなビール、サッポロクラシックと、とてもよく合います。
列車は矢不来信号場でしばらく停車。ここは駅ではないのでドアは開きません。
目の前には函館山がくっきりと。函館は湾になっているので、山の左からこちらまでは陸続きになっています。通過するタラコ色の車両は、道南いさりび鉄道の普通列車です。
海沿いの景色を見ながら、今度は茂辺地駅で5分停車。貨物列車のすれ違いを待ってから、終点、木古内駅へ向けて走ります。木古内駅は新幹線も乗り入れている駅で、駅前には、「道の駅 みそぎの郷 きこない」があります。42分間のフリータイムがあったので、道の駅でお土産や帰りの分のお酒などいろいろと買い込みました。空がだいぶ暗くなってきました。
列車に戻ると、テーブルに食事が準備されていました。季節野菜のサラダと木古内みそぎの塩を使った塩パン、パスタはしっかり辛めのアラビアータ。イタリアンだったので白ワインを買って正解でした。さて、ゆっくり堪能……と思ったら、30分ほどで次の停車駅に着くようで、みなさん次々と食べ終えています。私も少し急いで食べました。
次の停車は再び茂辺地駅。ホームにいい匂いが漂っています。駅舎の横で、バーベキューをしているのは漁協・農協・地域のみなさま。いさりび焼きはここで食べるわけではなく、焼いた貝類をその場で箱に詰めて渡してもらえるとのこと。なんだかワクワクします。
席に戻るとおにぎりといなりずし、コーヒー大福、お茶が各テーブルに用意されていました。受け取った貝類も並べると、かなり豪華な夕食です。先ほどのパスタは前菜だったのでしょうか。貝類は焼きたてで香ばしく、少し甘めのおいなりさんも好きな味。おにぎりは、おなかいっぱいで食べきれなかったので持ち帰ることにしました。
19時47分、夜の函館駅に帰ってきました。約4時間の旅はあっという間でした。もっとながまれ(のんびり)してもよかったくらいです。
ながまれ海峡号は例年5月〜10月の隔週土曜日に運行されています。人気のツアーなので、早めの予約をおすすめします。道南いさりび鉄道の観光列車としては、冬の間もおでん列車やクリスマス列車などがあるようです。
さて、今日はまだこれから行きたい場所があります。
フリーパスでも行ける!函館山の夜景
函館駅前から今度は函館山登山バスに乗車。そう、100万ドルの夜景を見に行くのです。
いつもはロープウェイで向かいますが、毎回かなり混雑するので、バスで行ってみようと思い立ったのでした。この路線もフリーパスが使える上、空いていました。大正解! しかも山を登って行く途中、走行しながら車内の電気を消して夜景を見せてくれるサービスも。あまりの美しさに思わず車内から「おおっ」という歓声が上がりました。
そして函館山に到着。展望台はバス停を降りてすぐでした。案の定混んでいましたが、やはり混むだけの理由はあります。湾と湾に挟まれた独特の地形が素晴らしい。
昼間の五稜郭タワーから函館山が見えましたが、夜の函館山からも五稜郭タワーが見えます。先ほどながまれ海峡号で走った場所も指でなぞれます。やはり函館に来たらこの景色を1度は見ておきたいですね。
ピンポイントの市内観光はバスが便利。バスと市電、列車をうまく使い分けて巡りましょう。
次回「ながまれ海峡号と市内電車で巡る!食の函館旅(後編)」は、市内電車で函館を巡ります。
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