華正樓 新館売店|中華街の達人たちが絶賛する肉まん
2019.05.292019年07月12日
おしゃれな名店でゆったりと過ごしてみては?
ご当地グルメ|横浜レトロ喫茶の絶品スイーツ&ランチ
横浜には、ノスタルジックな気分に浸れるレトロな喫茶店がいくつも残っています。そんなおしゃれな名店で味わえる絶品スイーツやランチをご紹介します。
赤レンガ型プリンとあのコーヒーが味わえる「馬車道十番館」
横浜が開港したのは1859年。当時、海岸沿いには外国の商館が建てられ、一番館、二番館と呼ぶようになりました。「馬車道十番館」は、横浜開港100年の昭和42年に横浜の老舗レストラン「勝烈庵(かつれつあん)」の10番目の店として、開港当時の商館をイメージして作られました。現在は独立して、レストラン、バーに加え、ウェディングパーティーなどにも使えるお店になっています。
関東大震災や戦災で開港当時の商館はほとんど失われてしまいましたが、当時の建築様式を基に建てられた明治時代風の洋館は、いかにも横浜らしい雰囲気を醸し出しています。店がある場所は、ガス事業の創始者でもある高島嘉右衛門の旧邸があったのだそうです。建物の外観もさることながら、正面エントランス脇には大正時代に交通・運輸の主役であった牛や馬のために作られた水飲み場を移設するなど、レトロ感たっぷりです。
さて、中に入ると、1階はレトロでクラシカルな喫茶室があります。天井が高い店内は、ステンドグラス越しの光が優しく入り込んでいます。ホール係の女性のユニフォームもトラディショナルな雰囲気です。
この店を訪れて必ずいただきたいスイーツがあります。それは「十番館プディングロワイヤル」。赤レンガをイメージして四角く切られた自家製のプリンに、フレッシュフルーツやアイスクリームが添えられます。
プリンは少し硬めで、カラメルは苦みがしっかり、とても丁寧に作られています。玉子や牛乳のリッチさが生きた、甘すぎない仕上がりです。そこに、フレッシュなフルーツの酸味や甘味、さらにコクがありながら、くどくないアイスクリームが追い打ちをかけます。レトロなだけではなく、上質で異国情緒たっぷりの空間で、ゆっくり友人とおしゃべりをしたり、時には文庫本を開いて、午後のひとときを楽しみたいですね。
お店を出るときに、ぜひお土産にケーキや焼き菓子を。季節のフルーツを使ったケーキから、マドレーヌや人気の「ビスカウト」まで、クラシカルでオーセンティックなスイーツが並んでいます。
■馬車道十番館(喫茶・売店)
電話:045-651-2621
住所:神奈川県横浜市中区常盤町5-67
電話:045-651-2621
営業:10:00~22:00 無休
超高級ワイン入りコーヒーが1050円「ルミエール・ド・パリ」
「コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ」は、ちょっと不思議な外観ですが、中に入るとまさにレトロな喫茶店です。それも、ちょっと豪華! カウンター席はもちろん、テーブル席も、木製のバックが革張りのいすです。お店は分煙されていて、「奥の方に喫煙席がある」と案内されますが、筆者は禁煙席に。けむい中を歩かなくてすむのも、ノースモーカーにはうれしい配慮です。
「コーヒーの大学院」というからには、絶対にコーヒーがおいしいのだろうなとメニューを開くと、ブレンドからブルーマウンテン、モカマタリ、キリマンジェロなど、『コーヒールンバ』という曲を思い起こしてしまうような品種名が……。
どれを注文しようかと思いながらページをめくると「★仏蘭西最高のワイン シャトーイケム入り★」の文字を発見! シャトーイケム(ディケム)とは、フランス・ボルドーの貴腐ぶどうを使った極甘口のワインの中でも最高峰。2000年ころのヴィンテージのものでも、ワインショップで1本数万円はします。
そのシャトーイケムを注いだコーヒーがあるなんて。いったいどんな味なんでしょう? お値段はちょっとお高く、このお店のブレンドで1050円。こんなチャンスは滅多にありません。フレンチレストランで注文すれば1杯数千円はするワインですから、ここは勇気を出して注文してみました。すると、コーヒーが来る前に、靴のような形の木製のパニエ(ワインバスケット)に収められたシャトーイケムが登場します。
なになに、1975年産!? はしたなくもその場で、相場をスマホで検索していまいました。なんと1本……、15万円以上!? 歴史のあるお店ですから、昔むかし、まだワインの値段が安かった頃に仕入れたのかもしれません。そんな貴重なワインを入れたコーヒーは、どんな味がするのでしょう。
サイホンで入れたコーヒーです。お店の方がカップに注ぎ、そしていよいよ、イケムを注いでくれます! おそらくショットグラス1杯分くらい入っています。25ml注いでくれたとして、ワインだけで5000円! それがわずか1050円で楽しめるなんて、スゴイ! 歴史のあるお店ならではです。
甘やかで独特の香りが混ざっています。コーヒーの香りが絡み合って、ちょっとジャコウのような怪しい香りです。そして口に含んでみると、その香りが鼻からすっと抜け、口の中にはコーヒーの上品な苦みと酸味に、イケムの甘さと酸味もが加わり、いままで味わったことがない幸せな液体が体中に広がっていく気分になります。ぐいぐい飲むのではなく、少しずつ、口に含んで、舌の上で転がす、そんな楽しみ方ができるコーヒーです。
イケムが注がれた一杯を飲み終わり、まだサイホンの中に残っているコーヒーを注いでもう一杯。こちらは、ストレートにおいしいコーヒーです。お酒が苦手な方でも、このコーヒーを飲むためだけにくる価値があります。さすがはコーヒーの“大学院”です!
そして、気がつけばお昼時。いつの間にかお店の中はランチのお客さんでいっぱいです。この店はカレーやハンバーグなど、おいしいランチメニューが楽しめます。様子を見ていると、一番人気はハンバーグのようで、あっという間に売り切れていました。けれど、実はメニューを見たときから狙いを定めていた料理がありました。それは「仏蘭西風海老フライ」。こちらも、一日限定20食です。
大ぶりのエビが2本、からりと揚がっています。お皿には「仏蘭西風」というだけあり、ソースが敷かれています。ホワイトソースやハーブを使ったグリーンのソースなど、ボリュームたっぷりのエビを飽きずに食べられる工夫でしょう。噛むとその香ばしさの奥からエビの甘みと香りがやってきます。付け合わせも、洋食らしいニンジンのグラッセなど、上質で丁寧に作られた料理ならではの懐かしさを感じます。お昼時のピークを過ぎると、お客さんも落ち着き、また静かな空間が戻ってきます。ランチメニューにはコーヒーがついてくるので、さらにコーヒーをいただきました。
お会計の伝票の裏には、通常1杯分で使う豆の2倍の量、20gを1杯のコーヒーに使ってあると書かれています。サイホンで丁寧に入れられたコーヒー、いまではお目にかかることもまれになりました。横浜に行かれたら、ぜひ寄ってみてください(次回はハンバーグも食べてみたいです)。
■コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ
住所:神奈川県横浜市中区相生町1-18
電話:045-641-7750
営業: 9:30〜20:00(月〜金)
10:30〜20:00(土) 10:30~19:00(祝) 日曜定休
ショートケーキと紅茶を注文したくなる「横浜 かをり」
「しきしまの やまと心を人問わば 朝日ににほう山桜花」
江戸時代の国学者・本居宣長が詠んだ歌です。この歌の山桜の香りをイメージして付けられたという「かをり」は、ツタが絡まるビルにある、フランス料理と洋菓子のお店でした。現在は、レストランはお休み中なのですが、お店の入り口左には、ケーキショップが併設されていて、レーズンサンドやブランデーケーキ、桜ゼリーなど手みやげにぴったりの洋菓子や、フレッシュな生クリームを使ったケーキなどが売られています。
入り口を入ると右手には、まさに昭和レトロなソファとカウンター席があります。ここでは、お茶やカレー、ハヤシライスなどの軽食を楽しめます。
メニューを見てみると、懐かしい雰囲気のケーキが並んでいます。モンブラン、チーズスフレなども魅力的ですが、やはりハルメク世代のケーキといえばストロベリーショートケーキですよね。セット(1000円)を注文してみました。飲み物は、コーヒーではなく、レモンティー。デートで喫茶店に行った時、定番の組み合わせだったのではないでしょうか。
ケーキが来るまで、ゆっくりしながら店内を見回すと、横浜でこのお店がどんな役割を果たしたのかがわかるようなものがいろいろ飾られています。カウンターにはオリジナルラベルのワイン、棚にはグラスやカップと一緒にいろんなものが飾られているのですが、それもこのお店の歴史を感じさせてくれます。創業は昭和22年、70年以上も続いているお店なんですね。
そうこうしているうちに、レモンティーがやってきました。お店のシンボルでもある、壁面のツタがプリントされ、お店の名前が入ったオリジナルのカップです。
あとでカップの裏側を見てみると、NARUMIのボーンチャイナです。1989年とありますから、平成元年に作られたものでしょう。つまり平成から令和までの時代、ずっと大切に使われてきたカップアンドソーサーというわけです。一口飲むと、飲みなれた、いい茶葉を使って丁寧に入れられた紅茶です。浮かんでいるレモンをスプーンで少し沈めると、紅茶の色が少し明るくなります。少しお砂糖を入れてもおいしいかもしれません。
ケーキもやってきました。レモンティーと同じツタの柄のケーキ皿です。丸いケーキを放射状に切っているのではなく、四角いケーキです。
一目見て感じるのは、スポンジケーキのきめ細やかなこと。そして2枚のスポンジケーキに挟まれたクレームシャンティイの層は分厚く、中に入れられたイチゴも芯まで完熟して色鮮やかです。上にデコレートされたクレームもピシッと角が立って、その上のイチゴには粉糖が。まさに“ザ・ストロベリーショートケーキ”です。
ケーキフォークを入れると、ケーキが崩れずに、すっと中に入ります。クレームとスポンジの硬さがバラバラではないことの証明です。スポンジもクレームも甘さは控えめです。繊細で軽いクレームが口の中で溶け、乳脂肪の優しい味わい。そしてスポンジが舌に当たり、はらはらと溶けていくように崩れます。その崩れたスポンジとクレームが口の中で混ざり合い、そこにスライスしたイチゴの甘酸っぱさが加わります。70年受け継がれたお店の伝統が凝縮されたような一皿です。
今は、階上のレストランはお休み中で、パーティや会合などに使えるレンタルスペースとして使われているようですが、いつかこのお店のフランス料理も復活したら、ぜひ味わってみたいと思いました。
■横浜 かをり 山下町本店ティーラウンジ
住所:神奈川県横浜市中区山下町70
電話:045-681-3636
営業:11:30 ~ 19:00(月~土)
12:00 ~ 19:00(日祝) 無休
紅茶と料理が楽しめるレトロ喫茶「サモアール 馬車道店」
「サモアール」は紅茶の専門店として、1974年に横浜駅に隣接するジョイナスの中に創業して以来、45年続くお店です。この馬車道店は、紅茶に加えて、料理も楽しめる店として1983年にオープンしました。
店内に入ると、目に飛び込んでくるのはカウンター席の奥に据えられたエスプレッソマシン。紅茶専門店なのになぜ、と思われるでしょうが、これには理由があります。それは、このお店でぜひ一度は飲んでみたい「ロイヤルミルクティー」のためなのです。
ロイヤルミルクティーは、少量の水を鍋に入れて紅茶の茶葉を煮だしたあとに牛乳を加え、鍋で温めるスタイルが一般的です。けれど、このお店では、蒸気の力でふわふわと泡立てたミルクを注ぐのです。見た目はまるでカプチーノですが、味はもちろんロイヤルミルクティー。けれど、上にこんもりと乗せられたミルクのふわふわがなんとも楽しく、アイスでもいただけます。
レジの後ろにはオリジナルの紅茶の缶が並んでいます。もちろん、ロイヤルミルクティー以外にも、おいしい紅茶がずらり。お値段もお手頃です。また、アレンジティーも豊富で、バナナ、アップル、ストロベリー、スイートココナッツ、マンゴーなど、およそ40種類のフレーバーティーをベースに、ティーフロートがあったり、グレナディンやブランデーを加えてシェイクした大人のためのお茶もあります。
サモアール本店は「紅茶専門店」とうたっていますが、この「馬車道店」は“紅茶と料理”のお店です。おいしい紅茶はもちろんのこと、日替わりのランチメニューのほか、お魚やお肉料理など多彩。毎日、ツイッターでつぶやかれる、その日のメニューを見てからやってくる常連さんも少なくないようです。そして、絶対に裏切らないのが、定番中の定番、ふわとろのオムライスです。たっぷりのケチャップ! ボリュームもたっぷりのとろとろのオムレツ! そして、その下にはキノコがたっぷり入ったピラフ! “紅茶と料理”と名乗るだけのことはあります。
「サモアール」の名前の由来は、紅茶を入れる時に用いられる、お湯を沸かす道具。起源はロシアとされ、スラブ諸国やペルシャ、トルコなどで広く使われているものです。
紅茶は、もともと中国で栽培されていたお茶の木から作られていたものが、18世紀前半にインドのアッサム地方にあった木からも作られるようになり、ヨーロッパに広まったお茶の文化は、イギリスでも花開きます。そして、それよりも早く「茶」がもたらされ、茶の湯の文化が発達した日本にも、1887年にイギリスから初めて「紅茶」が輸入されるのです。
お茶一つとっても、この文化が複雑に絡み合いながら、世界を巡ります。まさに世界中の文化が押し寄せてきた横浜にぴったりの店名だと思いました。
■サモアール 馬車道店
住所:神奈川県横浜市中区弁天通4-67-1 馬車道スクエアビル1F
電話:045-201-3050
営業:11:00~22:00(L.O 21:30) 無休
初恋の味!? “レスカ”を注文したくなる「純喫茶 モデル」
純喫茶。今はあまり聞かなくなってしまった言葉ではないでしょうか。ハルメク世代の皆さんが学生の頃には、街のそこここに「純喫茶」があったはず。JR石川町駅前にある「モデル」は、そんな懐かしい、今はほとんど見かけなくなってしまった空間なのです。
お店は古いビルの2階にあります。入り口やビルの脇にはたくさんの看板がずらり。不思議な空気です。
お店の中に入ってみると、客席の仕切りはレンガです。昭和の純喫茶はどこもこんな雰囲気でした。レンガの仕切りに、オレンジがかったレザー張りのソファ。時を重ねて少しクリーム色になったメラミン化粧版のテーブルや、仕切りの上に置かれたシャコバサボテンも純喫茶の雰囲気を高めています。
初めてのデートで、映画を見た後に入った喫茶店は、こんな感じだったのではないでしょうか。注文したのは、コーヒーとか紅茶ではなく、そう、レモンスカッシュ! 初恋の味“レスカ”です。
丸いコースターの上に置かれたゴブレット。シロップで黄色くて、レモンスライスが浮かべられています。これぞ「ザ・レモンスカッシュ」ですね。昔はアクセントに真っ赤な缶詰のチェリーがのっていたりしました。
そして、男子は飲み物だけじゃ我慢できなくて、フードメニューを注文します。女子はサンドイッチなんかを一つつまむ程度なのに、男子は米モノに行きます。メニューを見ると、懐かしいものがありました。「ジャンバラヤ」です。
「ジャンバラヤ」はスペインのパエージャ(パエリア)が、アメリカへの移民のなかで変化していったケイジャン料理で、鍋で炊き込みます。けれど、ピラフ同様、日本の喫茶店では、「ジャンバラヤ」は焼き飯の変形です。ウスターソースやタバスコ、カレー粉やたっぷりの胡椒を使ったチャーハンというか、ソバメシというか、そんな感じのもので、フライパンで炒めて作ります。
粉チーズ、タバスコ、あらびき胡椒のセットが置かれるのが、まさに正しい純喫茶の作法。まずは一口。記憶通りの味です。思わず頭の中でカーペンターズの『ジャンバラヤ』が鳴り始めます。カレー同様、福神漬けが添えられているのも純喫茶のお約束です。
純喫茶の代表的メニューといえばナポリタンですが、横浜はナポリタン発祥の地といわれています。ナポリタンを前面に押し出したお店や、最初にナポリタンを出したとされる「ホテルニューグランド」もありますから、このお店では、ジャンバラヤを注文して大正解でした。
このお店は、映画などのロケで撮影されたことがあるそうで、お店に行くと「どこかで見たことがある」と思うかもしれません。時をかける喫茶店、いつまでもこのままで続いてほしいものです。
■純喫茶 モデル
住所:神奈川県横浜市中区吉浜町1-7 房州ビル1F
電話:045-681-3636
営業:10:00〜16:00 木曜定休
※掲載情報は2019年7月取材時のものです。