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- 【書評】老後の生活を豊かにする3冊を編集部員が紹介
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、森林セラピストとして活動し、幼少期から自然の力を肌身に感じて育った著者が八ヶ岳の森を見つめ、森での生活から感じたことをつづったエッセーなど3冊をご紹介します。
紫苑著『72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40』
物価が上昇し続ける一方で、年金額は変わらない……。厳しい現実を前に、節約しなくちゃというあせりや、将来への不安を感じている人も少なくないはずです。
そんな中、年金月5万円ですべての生活費をやりくりし、心豊かな暮らしを送っているのが72歳で一人暮らしの紫苑(しおん)さん。
この本は、シングルマザーとして二人の子どもを抱え、仕事を失い、お金に左右されながら生きてきた過去を持つ紫苑さんが、どのようにして「自分を幸せにしてくれるお金の知恵・工夫・考え方」を身に付けたのかを丁寧に追った一冊です。お金の専門家ではない、一人の生活者としての知恵とたくましさに元気をもらえます。
Naoko Grass(柳生直子)著『森が教えてくれたこと』
昨年亡くなった俳優の柳生博(やぎゅう・ひろし)さんは、八ヶ岳の山麓で暮らし、森の中にレストランやギャラリーなどを備えた「八ヶ岳倶楽部」のオーナーでもありました。
その「八ヶ岳倶楽部」で森林セラピストとして活動しているのが、柳生さんの義理の娘で著者の直子なおこさんです。
本書では、幼少期から自然の力を肌身に感じて育った直子さんが、八ヶ岳の森を見つめ、森での生活から感じたことをつづったエッセーに、柳生さんの長男で園芸家だった故・真吾(しんご)さんと、八ヶ岳倶楽部スタッフでもある杉坂信(すぎさか・しん)さんによる写真が添えられています。
自然体であること、本来の自分を感じて生きることなど、著者の思いの込もった言葉が心に染み込んできます。
樋口恵子著『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』
「老いの地平線」にはいったい何があるのか?本書は、今年5月に91歳を迎え、「老いのトップランナー」を自任する評論家、樋口恵子(ひぐち・けいこ)さんによる最新エッセー。
年相応に「ヨタヘロしつつ、ボケつつ」の自らの老いを実況中継し、「老いても老いても、その先にまた新しい老いがある」と語る日常には、きれいごとではない、老い方のヒントが満載です。
クスッと笑える痛快なエッセーの他、本書には東北大学教授で脳科学者の瀧靖之(たき・やすゆき)さんとの対談も収録。「昔の話をする」「本を捨てられない」といった習慣は「どれも脳にとっていいことばかり」と太鼓判を押され、樋口さんと一緒にホッとした気持ちになります。
※この記事は2023年10月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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