50代からの女性のための人生相談・180

人生相談:子どもが巣立った後の生きがいがなくなる…

名取芳彦
回答者
元結不動・密蔵院住職
名取芳彦

公開日:2024.03.24

更新日:2024.03.24

読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は55歳女性の「子育てが一段落して誇らしい気持ちはあるけれど、これから生きがいがなくなって寂しくなりそう…」という相談に、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く、住職・名取さんが回答。

55歳女性の「子どもが巣立った後の生きがい」についての相談

今春、子どもたちが全員自立する予定です。誇らしい気持ちと、子育てが一段落した安堵もあるのですが、寂しくなるだろうな……という気持ちもあります。

子どもたちが巣立っていった後、ほかにやりがいを見つけられるか?ハリのある人生を送れるのか?などと考えると、少し悲しくなってしまいます。

みなさんはどのように乗り越えて、子どもたちがいない生活を充実させているのでしょうか?一人でもふさぎ込まずに、前を向いて生きていける指針のようなものを教えてもらえるとうれしいです。

(55歳女性・ぼくさん)

名取さんの回答:悩む期限を決めて「やりがい」を見つけて!

名取さんの回答:悩む期限を決めて「やりがい」を見つけて!

子どもたちが自立して巣立っていく、否、親として子どもたちを自立させ巣立たせるという大きな仕事が一段落。大きな責任を果たされました。その功績を称えるために表彰状を差し上げたいくらいです。

ご安心ください。子育て終了後の寂しさを抱えたまま、何をしていいかわからずに鬱々と日々を過ごしている親には、いまだかつて出会ったことがありません。

巣立っていった子どもたちと二度と会えないわけではありませんから、心配していらっしゃるような心の脱力感や寂しさは長くは続きません。

ぼくさんさんの心配を解消するのに、まずおすすめするのは「やりがいを見つけられるか?ハリのある生活を送れるか?とモヤモヤするのは〇〇まで」と期限を決めてしまうことです。

3か月、半年、1年くらいがいいところでしょう。工事現場で使われるカラーコーンのようなものを、期限の日にポンと置けば、心はそこに向かって自然に前向きになります。カレンダーの期限の日に、好きなキャラクターシールを貼っておくのもいいかもしれません。

それまでに、やりがいになるようなことをゆっくり見つければいいでしょう。期限を決めることで心のアンテナが張れるので、きっと見つかります。

子どもが巣立ったからこそ「新しい夫婦時間」の楽しみを

子どもが巣立ったからこそ「新しい夫婦時間」の楽しみを

具体的に、子育てに代わる、やりがいにつながりそうなことをご紹介します。

ぼくさんさんが結婚していらっしゃるなら、これからしばらくは夫婦二人の時間を過ごすことになります。しかし残念ながら、結婚当初のように、見つめ合う互いの瞳にハートマークがいくつも灯っているようなことはないでしょう。これからは、夜空にある一つの星を、肩を並べて見ていけばいいと思います。

その星は「品のいい夫婦になる」「一日に一回、必ずダジャレを言う」「世界の料理を食べ尽くす」など、誰も共感してくれないようなもの、思わず吹き出すようなものでもかまいません。これを探すのも、おおよその期限を決めた方がいいでしょう。二人で共有できる夢について、楽しく話し合ってみてください。

「人を賢くするのは過去の経験ではなく、未来への責任感である」はアイルランドの劇作家バーナード・ショウの言葉です。

ぼくさんさんはこれまで、子どもたちの将来に対する責任感があったので、その場に即して多くの智恵を発揮してきたことでしょう。これからは、自分(たち)の将来の夢を実現させるという責任感を少し持ってください。そうすれば、状況に応じた智恵がふたたび発揮されます。

「子どもは親の言うようには育たない、親の背中を見て育つ」と言われるように、夢に向かうぼくさんさんの後ろ姿は、子どもたちにもいい影響を与えます。子どもたちに、どう生きるかを背中で伝えるのも、大きなやりがいになります。

子どもが巣立ったからこそ「新しい夫婦時間」の楽しみを

1年ほど前に、3人の子どもたちが全員自立して、私も今は家内と二人暮らしになりました。

家内は「食べるものも2人分用意すればいいし、お料理も楽、食費も減って、大いに助かる」とリアルな感想を述べつつ、多種少量の好物を次々に口に放りこんでいます。

もちろん、子どもたちがいない寂しさはあります。しかし、その寂しさを埋めて余りある楽しみができました。

子どもたちから連絡が来て、食事を一緒にするのがわかれば、家内は「何を作ろうか」とソワソワしはじめ、私は私でスーパーで食べきれないほどの食材を買ってしまうのです。結果的に、子どもたちは残った食べ物をおみやげにして「助かる」と言ってお袋の味をそれぞれの家で堪能することになります。

この種のうれしさは、今まで経験したことがありません。子どもたちが巣立ったからこそ感じられる、愉快で、貴重なもので、寂しさの代償として十分な心のハリが得られます。

お肌のハリがなくなったぶん(失礼)、心にハリを取り戻して、3か月後、半年後、1年後に、子どもたちから「お母さん、最近イキイキしているね」と言われるぼくさんさんになれるのを期待しています。

この先、今日より若い日はありません。何かやるなら、早く始めた方がいいですよ。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

回答者:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所所長。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)『気にしない練習』(三笠書房)、『心がすっきりかるくなる般若心経』(永岡書店)など、著書多数。


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